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MIKINOTE

作品制作とその他思った事を書くブログ

カメラを腰にぶら下げて便利に使える真鍮製カラビナの製作工程【GRケース用】

先日、iPadのスタンドを真鍮という金属で製作した話を書きました。そしたら、その記事を読んでくれたストリート系ライフスタイルマガジン『 BACKFLOW (バックフロー) 』id:varevoさんが「GRのケースのカラビナの販売はまだでしょうか?( ;´Д`)」というコメントを残してくれました。

これ、何のことかというと、愛用しているリコーのGRというコンパクトデジカメのケースに取り付けるための真鍮製の金具の話です。カメラを持ち歩くのが不便だったので自作しました。それ以来、ずっと使っている手作りのカラビナみたいなものです。

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↑こんなやつです。これをベルトに引っ掛けて腰にぶら下げて持ち運びできるようにすると言うもの。

ああ〜そう言えばGR仲間だったんですよね!しかも同じGRの純正ケースを使っている!ってことで、その後も少しやり取りした結果・・・

・・・再度同じものを作ることになりました。

当時と同じ厚みの真鍮板や、図面などが残っていなくて、完全に同じものは作れなかったんですけどね。でも、人に使ってもらうものなので、いつもよりも丁寧に作ったつもりです。

<目次>

GR純正ケース用、真鍮製金具の作り方

この記事では、GRのケース用、真鍮製カラビナを作る工程を紹介していきます。

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前回のiPad真鍮スタンドの作り方と似たようなもんだけど、形が前回よりも複雑なので、作り方も多少変わっています。

作った真鍮製カラビナについて

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今回作った真鍮製カラビナは僕が愛用しているリコーのコンパクトデジカメ「GR」を持ち運ぶために作ったものです。リコーの純正のケースに入れて、そのケースにカラビナを装着して使用します。

下記の2つの記事にも少しだけ、このカラビナについてのことが書いてあります。

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使い方は簡単。

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↑このように、ケースの裏側にある金属製の輪っかに、真鍮製カラビナをカシャッとはめ込んで・・・

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↑ズボンのベルトに引っ掛けて、腰にぶら下げて使うことができるようにするという代物です。こうやって持ち運ぶことで、外に出かけるときも瞬時にカメラを取り出して撮影することができます。ブログを書いてるので、そのための写真撮影にすごくすごく便利なんですよね。

これ、なんて名前で呼ぶべきか迷う感じなのだけど、カラビナというよりもクリップみたいなものと言えるかもしれません。だけどややこしいので、ここではカラビナと呼ぶことにします。

バーテックス(VERTEX) カラビナ ラッジド6mm VEX-66

実はカメラを買った当初は市販されている普通のカラビナを使っていたんですけど、非常に使いにくくて嫌でした。普通のカラビナだと、一箇所だけで引っ掛ける感じだから、腰につけていると、めちゃくちゃブラブラしてしまってウザくてダメだったんですよねえ。

そこで、使いやすいやつを自分で作ってしまうことにしたんですよ。

この真鍮製カラビナ ならば、ベルトに引っ掛ける部分の面積が大きいので安定感があります。腰にカメラをつけた状態で、外を出歩いても気になりにくいです。また、慣れるとガンマンみたいにカメラを取り出して素早く写真を撮ることもできるようになります。

RICOH デジタルカメラケース ブラック GC-5 175790

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図面作成

さてさて、そんな感じの真鍮製のカラビナを作るわけですが、これを作るためには図面が必要です。製作の手順として、最初にどんな形に真鍮の板を切り抜くのかを、紙に書く必要があるんですよ。

しかし、困ったことにこれを作ったのが2年半くらい前のことでして、当時作ったときの資料などが残っていません。

なので、寸法だとかが微妙にわからない感じになってしまっています。

それともう1つの問題点が、当時作った真鍮カラビナに材料として使用した「1.5mm厚の真鍮板」が手元になかったということ。

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「1.2mm厚の真鍮板」だったらちょうど良いのが家にありました。だけど、全く同じ幅で真鍮板を切り出してしまうと、強度的にも見た目の印象的にも弱い感じになってしまう可能性があります。

なので、手元にある、いつも自分が使っている完成品を参考にしつつも、少しだけカラビナの幅を広くして、新しいサイズの図面を作り直すことにしました。

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まずは、すごくラフな感じにスケッチブックに寸法を書きます。

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そしたら、iMacでIllustratorを使って正確な図面をちゃちゃっと作り、プリンターで印刷します。

当時は、これを定規とかを使って手書きで図を書いたんですけどね。今ならパソコンでやっちゃうほうが慣れてるので楽ちん!

図面を貼り付ける

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こんな感じで印刷できました。

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そしたら、紙の余分なところはハサミで適当に切り落としつつ、両面テープで真鍮板に貼り付けます。

両面テープは切り抜きが終わったら剥がすので、貼ってはがせるタイプの物を使いました。

糸鋸で切り抜く

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1.2mm厚の真鍮板を切り抜くための道具としては「糸鋸」を使います。糸鋸と言うのはその名の通り、糸のような細いノコギリの刃を使って材料を切断する道具ですね。

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糸鋸の扱いは地道な作業で、ちょいとばかり慣れが必要だけど真鍮等の金属だったらサクサクと切れます。

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糸鋸のサイズに対して、切り抜く板のサイズが大きめなので、何回かに分けて切っていきます。

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切り終わりました。

終わったら、はがせる両面テープで貼り付けた紙を剥がします。

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関係ないけど、なんか既視感ある形。エヴァとかで見た気がする。

刻印を打つ

サイン入りが良いとのことだったので、今回作るカラビナには「刻印」を打つことにしました。

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刻印というのは、金槌で打つと文字を打ち込むことができるタガネみたいなもんですね。既製品だと、アルファベットや数字の刻印が工具屋さんで売られています。他には地金の種類を表す刻印、例えば「K18」「SILVER」「PT900」とかがよくある刻印ですね。

でも、僕が持っているのは学生時代に工具屋さんで作ってもらった「T-MIKI」という名前が彫れる特注の刻印です。これがあると、一発で自分のサインができるので非常に便利です。

刻印は「金床」の上に先程切り出した真鍮板を置いて「オタフク槌」という小さい金槌を使って打ち込みます。

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↑すごく細かいんだけど、こんな感じになります。(マクロレンズで撮影しました。)

形を整える

刻印を打ち終わったので、次は糸鋸で切った切断面をヤスリでを整える作業です。

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前回のiPadスタンドのときと比べて、今回のGRケース用真鍮カラビナはそこそこ形が複雑です。なので、用意するヤスリの種類も多めです。

これらのヤスリを削る場所と段階に応じて使い分けていきます。

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まずは中目くらいのヤスリで、大雑把に広い面を削れるところは削っていきます。

できるだけ、直面になるべきところはきっちり直面になるように丁寧に削ります。

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細かい部分は細いヤスリを使います。凹凸がある形状だと、道具を使い分けなくてはならないので、削るのも時間がかかります。

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中目のヤスリで側面全体を整え終わったら、次は細かい目のヤスリを使って削っていきます。

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このままだと切断面の角が尖っていて痛いので、少し滑らかになるように角を丸めるようにやすります。

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以上のような手順で糸鋸の切断面全体を整えたらヤスリがけは終了です。

磨く

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次はヤスリを使った面を「キサゲ」と「ヘラ」で磨いていきます。

まずはキサゲを使って、ヤスリの削り跡を取り去る作業なのですが・・・その前に最近キサゲをあまり研いでいなくて、切れ味がにぶってきているのを感じていました。なので、まずはキサゲを研くところからです。

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キサゲは油砥石で研ぎます。油砥石ってのは、水の代わりに油を使って研ぐ砥石のことですね。最初は中目の砥石で。

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最後は仕上げ砥石、アルカンサスと呼ばれる油砥石でピカピカになるまで研ぎます。

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写真、キサゲが光りすぎて色が飛んじゃったけど、研ぎ終わりました。

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研ぎたてのキサゲで真鍮の側面をキレイにしていきます。

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キサゲというのは、金属のヤスリ跡やバリを取り去るような役目の道具で、使うと↑こんな感じの切り粉が出ます。

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側面全体にキサゲをかけたらOKです。

次はヘラで磨いていきます。

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前回も説明したけど、ヘラと言うのは「超硬」というとてつもなく金属がピカピカに磨かれてできています。

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これを他の金属にコリコリとすると、このピカピカが移っていい感じにピカピカに磨かれるってわけです。だけど、ヤスリがけした直後の大きい傷は消せません。なので、キサゲなどを使って、ある程度キレイにしてからヘラがけをするってわけです。慣れると、紙やすりとかを使うよりも楽ちんですよ。

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全体にヘラがけをすれば、側面は完成ですね。

あとは表面の加工です。

ヘアライン加工

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表面はヘアライン加工にします。

紙やすりを一定方向に動かすことでヘアライン加工を実現するわけなのですが、今回は180番の紙やすりを使いました。

全体にヤスリが当たるまで削ったらOKです。

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なかなかそれっぽくキレイにできた気がします。

曲げる

いよいよ最後の仕上げ。曲げる作業です。

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使う道具はテープを巻いて真鍮カラビナに傷がつかないようにした「やっとこ」と自分の「」です。

というか、メインは「指」で。つまり手の力で曲げます。やっとこは、最後の微調整で使うかんじですね。

iPadスタンドを作ったときに使った「ベンダー」なんかも使いません。

金属というと、手で曲げたりして加工するのは硬くて無理!と思われがちです。しかし、場合によっては指を使って曲げるのが、最も正確でキレイにできる場合もあるのです。

思った通りに曲げるためには、ちょっとした練習とコツが必要なんですけどね。

そんな感じなので、早速やっていきましょう。

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まずは大雑把に、以前作った真鍮カラビナを見本にしつつ、指で曲げていきます。

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それっぽくなった。

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カラビナの先端辺りは指の力だけでは角度をつけることができません。なので、そこはやっとこを使って調整していきます。

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ベルトに引っ掛ける部分は隙間が狭くなりすぎるとダメなので、木の棒を突っ込んで曲がりすぎないように気をつけながら調整します。

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使いやすいカラビナを作るためには、曲線の形がけっこう重要です。なので、実際に試しながら微調整を繰り返します。

そして、いい感じになったところで、表面についた汚れを洗浄して脱脂をしたら、完成とします。

完成

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完成しました。なかなかキレイにできた気がします。

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裏側にひっくり返すとこんな感じ。

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ちゃんと「T-MIKI」の刻印も入っています。

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2年半前に作ったのと、出来たてほやほやのを並べて写真を撮ってみました。写真でも分かると思うけど、今回作ったものの方が全体的に3〜4ミリくらい幅が広いです。これは、板厚が少しだけ薄くなったのをカバーするためです。

それにしても、えらい色の差ですよね〜

これ、真鍮製なので使っていると徐々に酸化して黒っぽいような茶色いっぽいような色に変色していくんですよ。だから、今回作ったカラビナも時間が経つと、徐々に古い感じになってきて味が出てくるかと思います。

好き嫌いがあると思うけど、この時間経過による変色が真鍮製品の良さでもあるんですよね。

以上がGRのケース用の真鍮製カラビナの作り方でした。

まとめ

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この真鍮製カラビナは、GRのケースに使うための専用のものとして作ったけど、金属製の輪っかがついたケース的なものだったら何にでも使えると思います。腰につけるために使うものではあるけど、一時的にカバンのポケットの部分に引っ掛けるような使い方もできたりします。

また、製なので、耐久性も高いです。何年も使い続けることができるのが金属DIYの良いところなんですよね。

一応、作ったカラビナは、すでにid:varevoさんに送ったので、そろそろ到着する頃なんじゃないかな?

頑張って作ったので喜んでもらえるとうれしいです。

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