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日本の美大生を悪く言う奴こそ◯んだほうがいい

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上記の記事を読みました。

完全に釣りタイトル&記事の内容は自分の制作した映画の宣伝が半分以上で非常に薄い記事なのですが、あえて釣られてみたいと思います。

上記の記事の内容をすご〜く簡単にまとめると、「自分は日本の美大は好きじゃないし、海外の美大では学生が皆めっちゃやる気あってめっちゃすごいんだけど、日本人は皆で仲良くしてるばかりで小さなコミュニティでこじんまりやってる奴ばかりだからしんだほうが良い。」っていう内容であると解釈しました。

まあね、これはある意味正解な部分もあります。ある意味で半分くらいは共感できる内容だったりします。

でもさ、それを言ってちゃ始まらないよね?

日本の美大でも頑張ってる奴はいる

そのなかで一番僕が日本と違うと思ったのはそこにいるやつらのハングリー精神だったと思う。「俺がやりたいことやって何が悪い」「金がなくても、絶対やってやる」って考え方を持っていて、だからアートや音楽が育つんだというのを感じたんだ。

日本の美大生なんて死んだほうがいいー映画監督・木村太一インタビューより引用)

僕には、海外の美大に行った経験はありません。

だからまあ、海外の美大生はそういう感じでハングリー精神に溢れている連中ばかりの世界だったのかもしれない。

だけど、日本の美大生にだって、ハングリー精神に溢れている学生がたくさんいますよ。

僕は、芸大を卒業後、2年位助手もやったりしたんだけど、同級生にも後輩にもめちゃくちゃ苦労している奴もたくさんいて、すごくつらい環境だっただろうに、休まずに作品制作を頑張っている連中がほとんどだったよ。

中には、家庭環境だとかの関係で、学費や生活費なんかも全部バイトで稼ぎながら、休まずに学校に来ている奴もいた。そういう奴に限って、めちゃくちゃ我も強くて、自分のやりたいことをやりたいようにやっていた気がする。

あの状況でよくぞやっていたもんだと、思い出すと今更になって思います。

苦労しながらも頑張っている美大生や、そうでなくても真剣に芸術を向き合っていた人間をバカにするなんてのは許せないです。

だからさ、冒頭で紹介した記事を読んでまず最初に思ったのが、「日本の美大生」っていうくくりで一般化し過ぎだって言うことなんですよ。

世の中には、同じ職業の人でも良い人も悪い人もいるでしょ?

最近、芸能人の人が性犯罪を犯して話題になっているけど、芸能人の全部が性犯罪者というわけではありません。だから、日本の美大生にだって、本気で頑張っている人はたくさんいるんです。

もちろん、その中にはやる気がなくて、狭いコミュニティでワイワイ遊び半分でアートやってる連中がいることも否定しませんよ。日本という民族主義な国の美大生に特に多いかもしれないというのは否定できません。だけど、それは海外にだっているでしょ?

そうやって頑張っている美大生もいるのに、それを全否定するというのは、ちょっと強引なんじゃないかなと思うわけです。

それに、海外に行きたくても、費用やその他の家庭環境等のおかげで海外に行けない人もいるはずです。

日本のアートに対する理解

いいものを作る人はゴマンといる。だけど日本にはそれをいいって言ってくれる人が少なすぎる気がする。

日本の美大生なんて死んだほうがいいー映画監督・木村太一インタビューより引用)

↑これも、実はすごく共感できる部分だったりします。

確かに、日本人で、アートについてなんとなくてもいいんだけど、まともに話せるような人は少ないです。

これは間違いないです。

そして、アートを作りながらそれで食っていくのも、アートに対する理解が深い欧米の方が断然有利です。そもそも日本という国は、芸術の分野に関しては文化的なレベルがものすごく低いんですよ。今はまだね。

それはなぜかというと、明治維新とか、戦後の高度経済成長とか、歴史的に大きな変革がいろいろとあって、それまで積み重ねられてきた歴史がリセットされてしまったからです。

今現在の日本は、日本の伝統的な感覚と欧米の文化が混ざり合ったカオスな状態にあって、ものすごく未熟な状態にあるんですよね。だから言ってしまえば、欧米などと違って、文化的な意味での歴史が浅いんですよ。

だから、何か作ってそれを「良い」と言ってくれる人が少ないというのは、仕方がないことなんです。

でもさ、それはこれから育てていけば良い話だったりすると思うんですよね。実際の所、日本でもアート系の文化は一昔に比べれば、受け入れられつつあるようになりつつある・・・という印象はあります。

僕は、アートとか芸術だとか呼ばれる分野が、世の中の多くの人に理解が得られる世界になったらいいなと思います。そうなれば、人々の生活がもっと豊かなものに変化するのではないかと思うからです。

そして、そうやって日本の芸術の分野のレベルを底上げする役割は、やはり日本の美大なのではないかと思うわけです。

まあ、それは当然ですよね。日本国内の、美術や音楽を専門に研究している大学がその役割を担わないのであれば、誰がそれをやるのか?という話ですから。

育てていかなくては、文化は成長しませんよ。

しかし、自分の出身国で、将来そういう活動の担い手となるはずの美大生をしんだほうがよいとまで言っちゃう日本人の映画監督というのは何様なのか?と思ってしまいます。

個人の好みは、もちろんあると思います。

僕自身も、現在の日本の美大のあり方には、疑問を持つことがあります。

例えば、大学の先生が教える内容が技術の面に偏っていたりとか・・・まあ、そもそも教えられる内容がそれくらいしかなかったというだけではあるのですが・・・それに、「他人に教えてもらおう」なんて考え方はアート的に似合わないということもあります。

だけど、そういう状況であっても、これから良くなっていくことを期待して「応援してあげる」のが筋なんじゃないかなと思うのですよねぇ・・・今は、それなりに美大の立場というのが悪くなっている側面もあったりするのですから。

実際の所、僕が学生時代〜大学院時代〜助手時代と、かなり長い期間を芸大で過ごしていく中で、徐々に窮屈になっていく感覚は感じていました。(少なくとも僕が通っていた大学では)

あんまり大学の裏事情なんかはわからないのですが、徐々に学生の(学内で)制作できる時間が少なくなったりとか、教員の仕事量が増えて研究に充てられる時間が減ったりとか、いろいろと肩身が狭くなっていったような印象はあります。(たぶんお金の問題だと思う。)

それはおそらく、日本の政治家が芸術の分野を軽視しているせいだからでしょう。

そんなきつい状況にあるのに、頑張っている美大生もたくさんいるにもかかわらず、それを全否定してしねとまで言うのは正しいことだとは思えません。

僕、勉強不足でこの映画監督の方のことは知らないのだけど、「気鋭の映画監督」と書いてあるからすごい人なのかな?そういうすごい人なのだったら若い芸術を志す若者のことを、もうちょっと真剣に応援してあげようよ。

しんだあとどうしたら良いか?というところまで書いてあるわけじゃないし、何よりも自分の映画の宣伝記事で釣ったりしてるし、とりあえずそういうのは僕は嫌いだな。

まとめ

釣りタイトルで釣って自分の映画の宣伝をしつつ、日本人なのに日本の美大生のことを悪く言う奴こそ◯ねばいいと思う。

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