MIKINOTE

作品制作とその他思った事を書くブログ

初心者でも本格オーディオが楽しめる初めての自作スピーカー

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先日から計画して、製作し始めていた手作りのスピーカーがついに完成しました。

初めてにしては、見た目的にも音質的にも、かなりいい感じに出来上がったので、満足しています。いやあ、なんというか、こういう本格的なスピーカーが自分で作れちゃうんだなあ〜と、感慨深いものを感じますね。

初めて音が出た瞬間は感動しました!

作ってみて思ったのは、スピーカーの自作は意外と簡単であるということです。

もちろん、見た目的に綺麗に仕上げるのはそこそこの経験が必要だけど、とりあえずいい感じに使えるスピーカーを作るだけならば、初心者でもできます。

一番大変なのは塗装かな・・・でも、スピーカーなんて無塗装でも普通に使えますからね。

スピーカー自作のための参考書もわかりやすいものが売られているし、図面なんかもネット上で公開しているサイトもあったりします。

作ること自体も楽しいし、本格的なオーディオを(金額的な意味で)手軽に楽しめるのも魅力ですね。

いい感じの気晴らしをすることができたと思います。

<目次>

スピーカー製作の基礎知識

この記事は、自作スピーカーの製作や、オーディオの初心者の方でもわかりやすいように、ものすごく簡単にわかりやすく、なるべく専門用語を使わないようにしながら、いろいろと説明していきます。(これを書いてる僕自身も勉強中なので、初心者みたいなもんですから。)

まずは、スピーカーを手作りするためには「具体的に何をすればよいのか?」「どんな仕組みで音が出るのか?」「何が必要なのか?」というような基本的なところから説明をしていきます。

この記事のメインである、スピーカー製作の作業工程は後半で書きますが、前半は初心者向けの基本的な内容を書いていきます。知っている人からすると「いまさら!?」みたいな内容も多いです。

したがって、本題の前の前置きが長くなってしまうので、適当に飛ばしながら読んでいただければと思います。

参考書

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今回のスピーカー製作で主に参考にしたのは長岡鉄男氏の「世界でただ一つ自分だけの手作りスピーカーを作る」という本です。

www.mikinote.com

先日、この本を購入してから、時間があるときにはこの本を読んで勉強していました。

この本、スピーカー自作のための基本的な知識や、スピーカー図面などが載っている本です。オーディオの基本的な用語説明等のコーナーもあったりして、初心者にもわかりやすく書いてあり、非常に勉強になりました。非常に読みやすい良い本だと感じました。

今回は、この本に載っている「バスレフ型」のスピーカーの図面を使ってスピーカーを作っていくことになります。

新装版 世界でただひとつ自分だけの手作りスピーカーを作る (講談社の実用BOOK)

新装版 世界でただひとつ自分だけの手作りスピーカーを作る (講談社の実用BOOK)

ちなみに、長岡氏の本は自作スピーカーの世界では超有名でして、スピーカーの基礎が学べる本や、図面集などが探せば売られています。まだ一冊しか持ってないけど、そのうち他の本も買いたいです。

長岡鉄男のオリジナルスピーカー設計術 基礎編 SpecialEdition 1

長岡鉄男のオリジナルスピーカー設計術 基礎編 SpecialEdition 1

長岡鉄男のオリジナルスピーカー設計術 図面集1 Special Edition

長岡鉄男のオリジナルスピーカー設計術 図面集1 Special Edition

長岡鉄男のオリジナルスピーカー設計術 図面集編II Special Edition

長岡鉄男のオリジナルスピーカー設計術 図面集編II Special Edition

必要な技術は木工

実は、スピーカー自作のために必要な技術は、電気的な回路とかを作る技術・・・ではなくて、主に木工の作業です。意外ですよね。

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↑これが、本に載っていた「バスレフ型」スピーカーの外観図ですが、実際に作るのはこの「箱」の部分だけです。

他に必要な「スピーカーユニット」や「ケーブル」や「ターミナル」と呼ばれるような部品は既成品を買って、木材を組み立てた「箱」にそれらの部品を取り付けるだけです。

しかも、木材は、東急ハンズ等で購入して、図面を渡せば正確にカットしてくれます。だから、組み立ても非常に簡単です。

ある程度の道具は必要ではあるのだけど、木工やDIYに慣れてないような人でもなんとかなるレベルです。

ね、簡単でしょ?

バスレフ型とは

週末のDIYのような木工作業で作ることになる「箱」のことを「スピーカーボックス」だとか「エンクロージャー」などと呼びます。(この記事では「エンクロージャー」と書きます。)

実は、このエンクロージャーの形状と言うのは、ものすごく奥深いものでして、世の中にすっごくいろんな種類が存在しています。

すごくシンプルな四角いボックス型の物もあれば、めちゃくちゃ複雑な内部構造の物も存在しています。そして、それぞれの方式で、スピーカー完成時の音色が全く異なるのがおもしろいところです。

そして、今回制作するのは、「バスレフ型」と呼ばれるタイプのスピーカーですね。

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↑これが今回製作するバスレフ型スピーカーの横から見た断面図です。

バスレフ型スピーカーの特徴は「ポート」と呼ばれる穴がエンクロージャーに開いている点です。

後でもうちょっと詳しく書きますが、「ダクト」と呼ばれる部分で低音を増強するような仕組みですね。ちょうど、空き瓶の口に息を吹きかけると「ボオ〜〜」という音がする原理を利用する方式です。

ポートの形は、丸い形だったり四角い形だったり、今回のようなスリット型だったりといろんな形状のものがあります。

バスレフ型スピーカーは、世の中の市販のスピーカーにも非常に多く採用されている方式で、非常にスタンダードです。形的にシンプルで、作るのもそんなに大変じゃないので、今回の初めてのスピーカー製作でやってみるには調度良いと思ったというわけですね。

なぜ箱が必要なのか?

スピーカーと言うのは、スピーカーユニット(音が出る部分)とエンクロージャーの組み合わせで、使用するものです。スピーカーユニット単体でも音は出るっちゃ出ますが、とてもじゃないけど良い音とは言えません。

スピーカーユニットとエンクロージャーを組み合わせて、初めていい感じの音が出るようになります。

では、なぜエンクロージャーがあると良い音が出るのか?なぜ必要なのか?という話です。

エンクロージャーの形と方式によって細かく違うのだけど、大雑把に言ってしまうとエンクロージャーの役割は、ユニットの裏面から出る音をいい感じに処理するためのものです。

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実は、スピーカーユニットからは、普通に正面からだけ音が出ているわけではありません。上記のイメージ図みたいな感じで、後ろ側からも同じくらいの量の音が出ています。

これ、実は、非常に厄介な問題でして、後側から出る音は、正面から出る音とは全く逆の波長の音なのだそうです。(「逆位相」とか言うことがあります。)

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そして、スピーカーユニットを裸の状態で鳴らしてしまうと、正面から出る音と、裏面から出る音が混ざり合ってしまい、お互いを打ち消し合ってしまうという事態になってしまうのです。プラスとマイナスを足すとゼロになるのと同じことですね。

そうすると、本来出ているはずの音が消えてしまい、非常にしょぼい音になってしまうというわけなのです。

そこで、必要になってくるのが「エンクロージャー」というわけです。

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バスレフ型の場合、正面から出る音はそのままで、ユニットの裏から出る音は、ダクトを通ってポートから出てくることになります。

そして、ダクトを通ることによって低音が増強されるのと同時に、マイナスの状態になっている音が「プラスの状態に変化する」のだそうです。不思議だよね。

スピーカーユニットの裏面から出る音も最大限に有効活用しちゃおう!というのがバスレフ型スピーカーの仕組みというわけです。

フルレンジスピーカー

また、自作スピーカーと言うと、フルレンジスピーカーを作るのが一般的です。

フルレンジスピーカーと言うのは、左右のスピーカーにスピーカーユニットが一つずつしかついていないスピーカーのことを言います。

スピーカーには片方に2つとか3つとかのユニットが装着されているものがあります。それを2ウェイ、3ウェイスピーカーなどと呼ぶことがあるんだけど、簡単に言うと、低音や高音などを専門で担当するユニットを追加するようなかんじですね。

  • 低音を担当→ウーファー
  • 中音を担当→スコーカー
  • 高音を担当→ツイーター
  • 音全域を担当→フルレンジユニット

それぞれのユニットの得意な音域を担当することによって、より広くてダイナミックな音を出せるように工夫しているってわけです。

だけど、自作スピーカーの場合は、2ウェイ、3ウェイのスピーカーを作るのはちょっとだけ大変なんです。と言うのも、ウーファーやツイーターを追加するには「ネットワーク」と呼ばれる、部分を作らなくてはならないからです。電子工作的なテクニックが必要になってしまうんですよね。

そのため、自作スピーカーの世界では、片方に1個だけのスピーカーユニットを搭載しているフルレンジスピーカーを作るのが主流なのです。

フルレンジスピーカーは音のつながり感がいい感じになりやすいので、その点に関しては、片方に複数のユニットが付いているマルチウェイスピーカーよりも優秀です。だけど、フルレンジだと、どうしても音の帯域が狭くなってしまいがちです。主に低音が不足することが多いです。

そこで、エンクロージャーの形状を工夫して、どうにかして低音をいい感じに出せるようにする!というのが、一番大事なことになってくるってわけなんです。

スピーカーの図面

また、スピーカーの図面は今回は長岡氏の本に載っていた「BS-89」というバスレフスピーカーを使用しました。だけど、ここでその図面に載っていた寸法などを紹介することはできません。

だから、それが知りたい人は本を買うしかないのですが、それとは別で、ネット上でもスピーカーの図面を公開しているサイトがあったりします。

スピーカーユニット | FOSTEX(フォステクス)

FOSTEXのスピーカーユニットのページには、それぞれのユニットに適合する図面が載せてあったりします。

本を買って、基礎的なところから勉強しながら作るのが一番楽しいとは思うけど、上記のようなサイトの図面を参考にしながらスピーカーの製作をするのもありだと思います

かんすぴセット

ちなみに、もっと手軽に自作スピーカーを楽しみたい!という場合にはFOSTEXの「かんすぴセット」を買ってしまうという手もあります。

FOSTEX かんすぴセット 8cm KANSPI-8

FOSTEX かんすぴセット 8cm KANSPI-8

これは、エンクロージャーがあらかじめ組み立ててあって、あとはスピーカーユニットとターミナルを取り付けるだけ!という非常にお手軽なものです。アンプやケーブルも付いてきますので、これさえ買ってしまえば、他には音楽プレイヤーさえあれば、オーディオを楽しめてしまうという便利なセットです。

ちなみに「かんすぴ」とは「簡単スピーカー」の略称なのだそうです。

「自作はしたいけど、色々めんどい!」という場合には、自作気分もある程度味わうことができるし、音質もかなり良いという話も聞いたことがあるので、良い商品なのではないでしょうか。

買ったもの

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今回のスピーカー製作にあたって、いろいろと買い物をしました。

自作スピーカーで必要な材料は基本的には以下のようなものになります。

  • スピーカーユニット
  • ケーブル
  • ターミナル
  • 吸音材
  • 塗料
  • 木工用ボンド
  • エンクロージャー用の板(今回はシナ合板を使用しました。)

代表的なものとしては上記のような道具が必要で、プラスアルファでこまごました物も少し必要なものがあったりします。(必要にならない場合もあるけど、今回はハンダゴテやハンダなんかも使いました。)

他には、木工用の道具や工具があると非常に便利です。だけど、工夫次第では必要ない場合もあります。

また、最後に塗装をしてエンクロージャーを仕上げるのが一般的ではあるけど、塗装はしなくてもスピーカーとして使えるものはできます。だけど、見栄え的な意味でも、音質的な意味でも塗装したほうがおすすめではあります。

それと、スピーカー製作とは直接関係ないのだけど、スピーカーを鳴らすために絶対必要なプリメインアンプも買いました。

スピーカーユニット

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まずはスピーカーの心臓部である、スピーカーユニットです。

これは定番のFOSTEXの「FE103En」を買いました。10センチのフルレンジスピーカーユニットですね。

これはまあ、初めての自作スピーカーということで無難なところを選んだつもりです。

FOSTEX フルレンジ FE103En

FOSTEX フルレンジ FE103En

ケーブル

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ケーブルは「BELDEN」の「8470」というケーブルを10メートル買いました。

白黒のカラーリングで、かなり硬く丈夫で、業務用として使われることも多い定番のケーブルですね。「癖が少なくてフラットな音質である」話もあるので、値段的にも手頃だし、まあいいかなと思いました。

本当は10メートルも必要ないかもしれないけど、なんとなく多めに買っちゃいました。

ケーブルもこだわり始めると、めちゃくちゃ高級な製品などもあるので、まあこのくらいのケーブルがコスパも良くて妥当なのではないかと思いました。

BELDEN スピーカーケーブル 8470-10m

BELDEN スピーカーケーブル 8470-10m

ターミナル

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ターミナル」とは、スピーカーの背面に取り付ける、ケーブルを接続するための部品のことです。

今回買ったのは、円形の穴を開けて嵌めこむようなタイプの製品ですね。(ネジは付属していないので、別途で用意する必要があります。)

だけど、FOSTEX製のターミナルの方が穴を開ける面積が少なくて済むので、そっちの方が良かったかも?とは、買ってから思いました。

(長岡氏の本にも、大きな穴を開けないタイプのターミナルの方が音質的には良い、と書かれていました。)

FOSTEX ターミナル(1個) P24B

FOSTEX ターミナル(1個) P24B

吸音材

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それと、「ミクロンウール」という吸音材を買いました。

吸音材と言うのは、スピーカー製作にはほぼ必須な材料の一つで、エンクロージャーの内側に貼り付けたりして使います。そうすることで、エンクロージャーの内部の変な反響音を抑えてくれるような効果があるのだそうです。

吸音材にはいろんな種類がありますが、ミクロンウールは、非常に細かいガラス繊維でできているそうです。昔からの吸音材の定番と言うと、「グラスウール」と呼ばれるものだそうですが、触るとチクチクして痛いのが難点なのだそうです。

その点、ミクロンウールは、材質的にはグラスウール似たようなもの?なのだけど、チクチクしないのが良いところですね。

塗料

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塗料は、ワシンの油性ニス2種類使いました。刷毛で塗るタイプのものと、スプレーのタイプの塗料ですね。

色は刷毛塗りタイプが「チーク」で、スプレータイプが「つや消しクリヤー」です。

「なんで2種類も使うの!?」みたいな感じですよね。

これは、やり方は後で詳しく書いていきますが、いい感じに味があるような雰囲気に仕上げることができたので、わりと上手く塗装することができたと思います。

木工用ボンド

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エンクロージャーを組み立てる際に使用する木工用ボンドは普通の白いボンドでも良いのですが、ちょっと変わった製品を買ってみました。

アメリカのフランクリン社の「タイトボンドⅢ」という木工用ボンドです。

これ、普通の国産のボンドと違うのは、乾くとヤスリで削れるくらいに硬くなるということです。そのために、スピーカーの音質的には、乾いてもふにゃふにゃな木工用ボンドよりも、より良いのだそうです。

また、音質とは関係ない(と思う)けど「タイトボンドⅢ」は乾くと耐水性があるので、家具なんかに使用されることが多いのだとか。

乾くと、色的も黄色いような茶色いような微妙な色になるので、いつもの木工用ボンドよりも、かなり違う雰囲気ですね。

絶対に必要なものとというわけではないけれども、せっかくなので、買ってみました。

クッション材(スピーカー底面用)

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それとポリウレタン製の小さなクッション材も買いました。シールタイプで、簡単にペタッと貼り付けることができるタイプのものです。

これも、必須というわけじゃないんだけど、スピーカーの底面に貼って、安定感をアップさせるために使ってみることにします。(そもそも、このクッション材が音質的に有効かどうかもわからない。)まあ、直接床にベタッと置くよりは良いのではないでしょうか。

ハンズに行ったついでに売られているのを見かけたので、買ってみました。安いですしね。

エンクロージャー用の板

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エンクロージャー用の板として、シナ合板の15ミリ厚を買いました。

もっと価格的に安い、MDF等の選択肢もあったのだけど、見た目的に綺麗で、音質的にも優れているシナ合板を選んでみました。

ハンズの木材コーナーで図面を渡して、切ってもらいました。やはり、ハンズの木材カットは正確に仕上がるので良いですね。組み立てがものすごく楽ちんです。

円形の穴は、頑張れば自分で開けることもできるのだけど、頑張りたくないのでハンズでやってもらいました。ワンカット300円くらいだったかな?板厚や穴の大きさによって金額が違うそうですが、ハンズにお願いすれば正確な円形の穴を開けてももらえるので非常におすすめです。

プリメインアンプ

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それと、プリメインアンプも、新しく出来上がってくるスピーカー用に余分なものが家になかったので、新たに購入しました。

ムジカのint30というアンプです。生産終了品なのだけど、ヨドバシカメラのアウトレット品を買ったので、安く手に入れることができました。

詳しい購入した経緯などは、先日書いた記事を読んでいただければと思います。

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合計金額

いろいろと買ってしまったおかげで、合計金額は60000円くらいでした。

スピーカー自作用の材料に関しては、Amazonと東急ハンズでほとんど揃えることができてしまいましたが、そこそこのお値段になってしまいましたね。まあ、今回は「とにかく安く済まそう!」って言う訳ではなくて、(できる範囲で)高い物も買ってしまったので、仕方ないですね。

アンプなんかは、30000円近くのものを買ってしまったのだけど、数千円くらいの製品もあったりするので、それでも良いと思います。(最近は、低価格アンプでも音質的に良い物も売られているそうです。)

また、すでにアンプを持っているのであれば、わざわざ買い足す必要もありません。

それに、スピーカーユニットやケーブルなんかも、もうちょい安い値段の物も売られていたりします。

オーディオは、こだわればいくらでもこだわることができる世界です。だからオーディオ趣味は「沼」であるとか言われることもあります。10万円100万円が当たり前な世界ですからね。

だから、この程度の金額で、本格的なオーディオが楽しめるというのであれば、かなり安い!と言うことができると思います。

スピーカーの製作工程

さて、前置きが大変に長くなってしまいましたが、ここからはスピーカーの製作の工程を紹介していきたいと思います。

作り方と寸法などは、長岡氏の本に載っていた方法を参考にしていますが、部分的にアレンジしていたりしますので、ご了承ください。(例えば、接着に「釘を使う」と書いてあるけど、ボンドだけでくっつけていったりします。)

下準備

先程も書きましたが、スピーカー製作の作業は、基本的にエンクロージャーを作るための木工の作業がメインです。

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スピーカーのエンクロージャーを作るために、早速ハンズでカットしてもらった板材を接着していきたいところですが、その前にちょっとした下準備をします。

板材はボンドだけで接着していくわけですが、そのためには圧着する必要があります。そのためには平らな板で抑えながら、その上に重りを乗せたりするような方法が考えられます。

しかし、木の板をそのまま木工用ボンドがたっぷりついた上に置いてしまうと、抑え用の板もくっついてしまう恐れがあります。

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そこで、抑え用の板を用意して、あらかじめ養生テープを表面に貼っておきました。

これで、木工用ボンドがはみ出しても、くっついてしまうことはありません。これが下準備その1です。

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↑また、下準備その2として、板を接着する場所を間違えないようにするために、鉛筆で印を書いておきます。

シンプルな構造のエンクロージャーなので、間違えてしまうことは滅多にないとは思うのですが、作業をしていると夢中になってしまうので、念のためです。(けっこうやらかすことがあるので、注意しながら作業するに越したことはありません。)

板材をボンドで接着していく

ここからはシナ合板を木工用ボンドでどんどんくっつけていく作業です。

長岡氏の本に従うのであれば、釘を使って打ち付けていく作業が必要になるのですが、今回はスピーカーの見た目をすっきりさせたいので、木工用ボンドのみでの接着になります。

まずは、接着する面に木工用ボンドを塗りつけます。はみ出すくらいにたっぷりつけたほうが良いそうですよ。(その方が音質的にしっかりした強度がでるから有利?)

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だけど、あんまりたっぷりと木工用ボンドをつけすぎると、外側にもドバっとはみ出してきます。外側にはみ出した分は、見栄え的に良くないので、要らないボロ布などを濡らしたものを使って、早めに拭きとってしまいましょう。

ちなみに、普通の木工用ボンドだったら、多少乾いてしまっても水分があれば多少溶けて拭き取ることが可能です。

しかし、今回使用したタイトボンドⅢの場合は、乾いてしまうと耐水性になってしまうので、乾いてしまうと濡らしても拭き取ることはできませんのでご注意ください。今回の場合は、表面はヤスリで削ってしまうので、多少はみ出しても影響はないのでOKです。

木工用ボンドが内側にはみ出した分は、はみ出したまま乾かしてしまって大丈夫です。

ちなみに、下に銅板を敷いているのは、木工用ボンドが垂れてしまっても、くっついてしまわないようにするためです。

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板を所定の場所に配置して圧着します。真鍮製のハタ金という木工用の道具を使用すると非常にらくちんです。

真鍮ハタ金 2本組 300mm

真鍮ハタ金 2本組 300mm

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ハタ金で固定した状態のまま、その上に、抑え用の板と重りを置いて圧着します。まだ、ボンドがくっついていなくて、下手をしたら動いてしまう状態なので、そっと乗せます。

重りは筋トレのダンベルのプレートを使用していますが、重たければ何でも良いです。縦方向と横方向から圧着していきます。

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木工用ボンドがある程度乾いたら、重りとハタ金を取り外します。このようにして、何回かに分けて、接着作業をしていくってわけです。

↓2回目の接着作業です。

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実は、所有しているハタ金がサイズ的に足りなくて、エンクロージャーの一番長い部分にはハタ金を使用することができませんでした。そこで、上記の写真のように、養生テープで固定して接着をしています。

もちろん、ハタ金などを使用するよりも強く圧着することはできませんが、まあ無いもんはしょうがないよね・・・一応、この方法でも普通に綺麗に接着することができたので結果オーライです。

でも、もうちょい大きなサイズのハタ金が欲しい。

鉄製 ハタ金 メッキ仕上げ 540mm

鉄製 ハタ金 メッキ仕上げ 540mm

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ちょっとだけ困った部分もあったけど、なんとかなりました。

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当然だけどスピーカーは左右が必要なので、もう片方も同時に作業を進めていきます。

一応、左右対称になるように作ってみたんだけど、長岡氏の本にも、いろいろな自作スピーカーのサイトにもそういうことが必要とは書いてなかったので、そこんところは関係無いのかもしれません。

ここまで来たら、あとは蓋をすればエンクロージャーの(おおまかな部分は)完成だ!となるのだけど、その前に一つだけやることがあります。

吸音材を貼り付ける

吸音材をエンクロージャーの内側に貼り付けなくてはなりません。蓋を閉じてしまうと、この場合はちょっとやりづらくなってしまうので・・・忘れずにやっておくべき作業です。

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まずは、吸音材のミクロンウールを大きさを測りながら切っていきます。(ハサミで切れます。)

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そして↑こんな感じで、エンクロージャーの内側に貼り付けます。貼り付けはタイトボンドをベチャベチャ〜っと塗ってくっつけました。

ちなみに内側全部に吸音材が必要というわけではなくて、本に書いてあったとおりにエンクロージャーの3面にだけ貼り付けました。あまり吸音材が多すぎると言うのも良くないのだそうです。

蓋を閉じる

吸音材を箱の内側に貼り付けたら、木工用ボンドをたっぷり塗って接着して、蓋を閉じます。

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↑少し板が反ってしまっていたのか、微妙な歪みが気になったので、ハタ金と重りを同時に使って圧着しました。

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これで、左右のエンクロージャーの組み立てが終了です。

ここまで形になっていると、なんかそれっぽい感じがして嬉しいですね。やっとスピーカーらしくなってきた!って感じです。

ぶっちゃけて言うと、この段階まできたら、後はスピーカーユニットやケーブルやターミナルを取り付ければ、音を出すことができる状態になります。見た目さえ気にしなければ、この状態でフィニッシュ!ということにしても、大きな問題はありません。

ここまでの工程だったら、板材はハンズでカットしてもらえるし、部品は通販で購入可能だし、組み立ても木工用ボンドでくっつけるだけです。プラモデルを組み立てるようなものなので、誰でもできるくらいに簡単な作業だと思います。

しかし、今回はもうちょっとこだわって、エンクロージャーの表面の処理なども、きっちりとやっていくことにしましょう。むしろ、ここからの作業の方が難易度が高いです。

表面を削って形を整える

ここからは、エンクロージャーの塗装などをしていく作業をしていきます。

そのための下処理として、紙やすりを使用して、表面を削って整えていく作業を行います。

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紙やすりは120番〜400番くらいの番手のものを使用します。上記の写真のようなかんじで、小さな木の板を当てながら削っていくと、平らに削っていくことができます。

ちょっと注意しなくてはならないのが、ここまでの組立作業の時に「ちょっとくらいずれててもいいよね?」みたいな感じで、いい加減に板材を接着していると、紙やすりで削るのがめちゃくちゃ大変になってしまいます。

1ミリくらいの板の食い違いを、削って平らにするのがどれだけ大変か・・・

もしも、きっちりと表面をフラットに綺麗に仕上げたいというのであれば、板材の食い違いは0.1〜0.3ミリ以下くらいにしたいところです。

今回は、ハンズでの木材カットも正確で、接着する際にもかなり気を使って丁寧に接着をしたので、誤差はほとんどありません。なので、削るのはそこまで大変ではありませんでした。

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一時間半くらいかけて、エンクロージャーの表面を削り終わりました。

角のところも、持った時に痛くないように多少削ってエッジを取りました。

最初は120番くらいから始めて、240番とかを真ん中に挟みつつ、最終的に、400番くらいの紙やすりで仕上げることができればよいかと思います。(紙やすりでの作業は基本的に番手を倍々にしていく感じでやっていくと良いです。)

塗装:下地

さて、いよいよ塗装です。たぶん、スピーカー製作の工程の中で塗装が一番厄介なんじゃないかなと思います。

もちろん、どんな塗料を使用して、どんなふうに仕上げるのかによって、難易度は全く変わってくるんですけどね。

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まずは、床が汚れないように、養生します。今回は油性の塗料を使用するので、ビニール袋みたいな素材の養生シートを使用しました。

今回使用したのとは違うものだけど、こういう時は養生テープと一体になっている養生シートが非常に便利です。

パイオラン マスカー550mm×25m MASKER550MMJN

パイオラン マスカー550mm×25m MASKER550MMJN

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養生した上で塗装するのであれば、汚しても全然大丈夫!

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まず、さっきもちょっとだけ紹介したのだけど、使用するのはワシンの油性ニスです。色はチークです。

これを、刷毛で塗っていきます。

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一般的に言われている塗装のコツは、一度に塗る量はできるだけ少なく、そして薄く均一に塗ることです。

そうすることで、液だれすることもないし、乾きも早くなって作業効率もアップします。変な色ムラができることも少なくなります。

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エンクロージャーの全体にニスを塗ることができたらば、乾燥させます。

脚立に適当な木の板をクランプで取り付けて、スピーカーユニット取り付け用の穴に突っ込んで、空中に浮かせるようにしながら乾かします。この方法だったら、どこにも塗料がくっつかないし、下面なども一気に乾かすことができるから便利でしょ?

油性ニスなので、臭いもかなりキツイです。普通の家で作業を行う際は、家族の方にも「クサイよ」と事前に言っておかないと怒られるかも知れません。

また、手についたりしたら、ゴシゴシこすってもなかなか落ちません。

だから、そういうところが気になる人は水性塗料や水性ニスなどの方が良いでしょう。

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一度目に塗りが終わってから数時間後、いい感じに乾いた状態になったら、紙やすりで表面を削ります。紙やすりの番手は240番くらいがいいかな?と思いました。

そして、使用する紙やすりは、耐水ペーパーよりも、木工用の空研ぎペーパーが良いです。耐水ペーパーだと、変な黒い跡がついちゃうので、この場合はやめといた方が良いですよ。

TRUSCO 空研ぎペーパー228X280 #240 5枚入 TDSP2405P

TRUSCO 空研ぎペーパー228X280 #240 5枚入 TDSP2405P

塗料を塗ると、微妙に板の表面が盛り上がったりとか、ハケ跡の部分などが、凸凹した状態になります。その凸凹をうす〜く丁寧に紙やすりで削りとってあげるようなイメージですね。

こうやって、削って塗って削って塗ってを繰り返して、いい感じになるまで続けるってわけです。

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左右2つのエンクロージャーの表面を紙やすりで削り終わったら、再度ニスを塗っていきます。

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実は、一度目の塗りの時にニスが少し硬いなと感じたました。ネチャ〜っとしていて、ちょっと塗りにくく感じたんですよね。なので、少し薄めてから塗ることにしました。

ワシンの油性ニスを薄める際には、ペイント薄め液を使用します。

アサヒペン お徳用ペイントうすめ液S 400ML

アサヒペン お徳用ペイントうすめ液S 400ML

適度にニスの中に薄め液を入れて、使いやすい状態にしてから塗り作業をしていきます。

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どんどんニスを塗り重ねていきます。

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何回も削っては塗ってを繰り返すと、段々といい感じの風合いになってきます。シナ合板だから、木目を活かすような感じにはあまりできないのだけど、なんとなくあたたかみを感じる雰囲気になっていきます。

塗り重ねる回数は特に決まっていないのだけど、今回は4〜5回?くらい繰り返しました。(正確な回数は忘れました。)

塗装:仕上げ

かなりいい感じかな?ってところまで塗り重ねたら最後の仕上げです。

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紙やすりは400番の空研ぎペーパーを使用して、丁寧に表面を削ります。この時、せっかく塗ったニスを削りきってしまって、下の合板が出てこないように注意しながら慎重に作業をします。(削るのも、チークのカラーニスを刷毛で塗るのも、これ以降は行わないので、下の合板が出てしまったら塗り直しです。)

TRUSCO 空研ぎペーパー228X280 #400 5枚入 TDSP4005P

TRUSCO 空研ぎペーパー228X280 #400 5枚入 TDSP4005P

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全部、削り終わりました。

本来であれば、チークのカラーニスを刷毛で丁寧に塗って終了!なのですが、今回はちょっと違った方法で仕上げたいと思います。

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↑仕上げとして、ワシンの油性ニススプレーのつや消しクリヤーを使用します。

これを最後にまんべんなくかけることによって、つや消しだけど透明感あって、チーク色で、良い感じの雰囲気のニス塗装みたいな感じに仕上げちゃおう!という作戦です。(同じワシンの油性ニス塗料なので、塗料としての相性的にも大丈夫なはずです。)

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こういうスプレータイプの塗料を塗る際にも、コツとしては薄く均一に塗ることです。

そのためには、塗るものから、30センチ以上くらい離して、常に平行移動させながら、ふわ〜っとスプレーするのがコツです。

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そうやって、エンクロージャー全体にスプレーしてから乾燥させます。これを2回繰り返しました。

ツヤ消しで、けっこういい感じの雰囲気じゃない?

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何度もきっちり削って作りだした、表面のフラット感がたまらんです。

つや消しクリヤーのスプレーを最後にかけたおかげで、表面を触るとさらさらしていて、さわり心地的にも気持ち良い感じになりましたよ。

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ニスが乾燥したら、エンクロージャーの塗装は完了です。

ちょっと、ニスがムラになっちゃった部分もあるんだけど、これはこれで味があって良いのではないかと思います。

自分で言うのもなんだけど、「ツヤ消しなニス仕上げ」って感じで、高級感あるのではないかと思います。

シナ合板なので木目とかはあんまり見えないけど、シナ合板の部分も、そういう模様みたいに見えるので、割と良い感じに塗装出来たのではないかと思います。

塗装に関しては、失敗して手間取ってしまったようなところはあまりなかったけど、単純に時間と手間がかかるので、やはり大変でした。たぶん、もっとこだわらない感じで普通に塗ったら簡単だったんだろうけど、今回は初めての自作スピーカーということで頑張ってしまいました。

部品の取り付け:下準備

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ここまで来たら、あとは仕上げということで、スピーカーの心臓部となる部品を装着していく作業をしていきます。

やっとここまで来たなあ〜って感じです。

さて、早速スピーカーユニット等を取り付ける作業をしていきたいところですが、その前にちょっとだけやることがあります。

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ケーブルを接続するためのパーツであるターミナルを装着した時に隙間ができないように、家にたまたまあった、厚さ1ミリくらいのウレタンスポンジシート?みたいな材料をドーナツ状に切って、エンクロージャーに貼り付けます。

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これは、絶対やらなくちゃならない作業というわけではないのだけど、より完璧に密閉できるようにと考えてやってみました。ここに、ターミナルをはめ込んで、ネジでギュッと止めてしまえば、かなりしっかりと固定できるのではないでしょうか。

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次に、スピーカーユニットのケーブルを接続する部分に、ケーブルをハンダ付けします。

ケーブルの先っちょの被覆を剥いて、入力端子部分に引っ掛けて、ハンダゴテで温めながらハンダを流しこむだけです。

ただ、ハンダ付けに関しては慣れていない人もいるでしょう。

その場合はファストン端子という部品を使って圧着することで、ハンダ付け無しでも、スピーカユニットとケーブルを接続することができるそうです。(詳しいやり方は僕もよくわからないので、検索して調べてください。たぶん他に圧着工具とかが必要です。)

オヤイデ ファストン端子 FTL-G

オヤイデ ファストン端子 FTL-G

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ターミナルは、ハンダ付けするべき部分を、ナットを外せば取り外すことができるようになっています。

そこで、取り外してからハンダ付けしてしまいました。そうすることで、後でエンクロージャーに装着するときに、ナットを締めるだけでOKになるので、取り付けが楽なのではないかと思いました。

ちなみに、ハンダ付けに使用したハンダは、以前買って家にあった、オヤイデ電気の「SS-47」というオーディオ用ハンダを使用しました。

オヤイデ 音響専用合金ハンダ (50g) OYAIDE SS-47-50G

オヤイデ 音響専用合金ハンダ (50g) OYAIDE SS-47-50G

ハンダの違いでも、音が変わるそうなので、ホント、オーディオって沼ですよね・・・

また、ケーブル取り付け時にはプラス(+)とマイナス(−)を間違えないように注意しましょう。書いてあるので見ればわかります。

部品の取り付け:仕上げ

いよいよ最後の仕上げということで、スピーカーユニットなどの部品をエンクロージャーに取り付けていく作業です。

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まず、スピーカユニットを取り付け用の穴に入れます。

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↑この時、先ほどハンダ付けしたケーブルを、ターミナル取り付け用の穴から引っ張りだしておいてください。

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そして、引っ張りだしたケーブルが引っ込んでしまわないように注意しながら、柔らかい布などの上に、エンクロージャーを優しく寝かせます。

そして、穴の位置を基準にしながら、定規で上下左右を測って傾きがないように、スピーカーユニットの位置を調整します。

そして、付属の木ネジを使って固定していきます。

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早速ネジを入れていきたいところですが、その前に、キリで軽くネジを打つ場所をグリグリっとしておきます。

あらかじめ、キリであたりを付けておけば、せっかく傾きを確認して平行に置いたスピーカーユニットがずれてしまうという事故を防ぐことができます。

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ネジを4箇所のネジ穴に入れていきます。この時も、ちょっとだけ注意が必要なのが、一つのネジだけを一気にねじ込んでしまわないようにすることです。

4箇所のネジを、対角線上にドライバーを移動させながら、少しずつネジを回していきます。

こうして、均等にネジ締めをやっていくことで、一箇所だけ変にネジが入り込んでしまってゆがんでしまう・・・みたいな事故も防ぐことができます。

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取れないように・・・そしてしっかりと密着するように、きつめにネジを回して、スピーカーユニットの取り付けの完了です。

お次は、裏面のターミナルのネジ止めです。

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穴からピョコッと飛び出ているケーブルの先端の金具を、ナットを締めてターミナルに取り付けます。

小さいスパナを使って取り付けるだけですから、やはりこのやり方は思った通り楽ちんですね。

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そして、4箇所のネジ穴にネジをねじ込んで、完成です。

ここも先ほどと同じく、4箇所のネジを均等に締めていくイメージでギューっと、締めていきます。

ドーナツ型のウレタンのスポンジシートを貼り付けておいたおかげで、かなりいい感じに密閉できてる気がします。

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最後の最後の仕上げで、クッションシールを底面の4箇所に貼り付けました。

3箇所の方が安定感が出るかな?とも思ったのだけど、特にガタガタする様子もないので、4箇所の貼り付けで大丈夫だと思われます。

本当にもっとこだわるなら、高級なインシュレーターとかを買ってくるのが良いのだろうけど、まあこれでも悪くはないでしょう。

これで、全ての作業が完了しました。

自作スピーカー完成

外観

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ここまでの作業で、やっとのことで自作スピーカーの完成です。

なかなか、スピーカーっぽい外見になったのではないでしょうか。(当たり前だけど)

丁寧に作業したつもりだけど、手作り感溢れる雰囲気に仕上がって、大変によろしいのではないかと自画自賛してみたり・・・

ツヤツヤ〜ッと光沢のある感じも嫌いじゃないけど、最後にツヤ消しクリヤーをかけて正解でした。色の雰囲気もスピーカーユニットの白い色と合ってる気がします。

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裏側から見るとこんな感じです。

ターミナルの部分とアンプをケーブルを接続することで、音を鳴らすことができるようになります。

もうちょい後で音の感想については書きますが、不具合なく、ちゃんと問題なく音が出ましたよ。

鳴らしこみについて

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実は、このスピーカーが完成したのは数日前だったりします。

完成してすぐにこの記事を書かなかったのは、この長〜い記事を書く時間が取れなかったから・・・と言うのもあるのですが、まだ「鳴らしこみ」をしていなかったからだったりします。

と言うのも、自作スピーカーの完成したての瞬間と言うのは、あんまり良い音がしないというのが一般的なんですよ。

その理由は、エンクロージャーに使った塗料や木工用ボンドが(厳密に言うと)まだ乾いていなかったりとか、スピーカーユニットのコーンがこなれていなくて硬かったりかと、いろいろと理由があるそうです。

それを解消して、良い音が出てくるようになるのには、しばらく鳴らしこんで、完成したてのスピーカーをなじませる必要があるというわけなのですね。(音を出さないでも、単純に放置しておく時間も必要なのかもしれません。)

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そして、このスピーカーの鳴らし込みをする行為のことを「エージング」だとか「バーンイン」なんて言うこともあります。

本当にこのスピーカーが本領発揮をし始めるのは、1ヶ月後なのか半年後なのかわかりませんが、スピーカーのエージングにはかなりの時間がかかると言われています。

実際のところ、完成してすぐの瞬間は(今になって思えば)ちょっと微妙な音でしたね。

なので、完成してからは、なるべく多くの時間、このスピーカーから音を出すようにしていたんですよね。そうしていると、この数日間、日に日に音がこなれてきたような印象です。今はかなり良い雰囲気になってきて、スピーカーの音の特徴などもわかってきました。

初めて音が出た瞬間は感動したけど、今現在の方が、やはり良い音ができるようになったと感じますよ。

試聴した感想

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まだ、このスピーカーは置き場所も決まっていないような状態なので、とりあえず・・・ということで、椅子の上に置いたり、その他にもいろんな場所や配置を試しつつ、音を出して音楽を聴いてみております。(上記の写真だと窓を開けていますが、大きな音を出すと近所迷惑なので、後で閉めました。)

いやあ、やはりスピーカーは配置や角度でものすごく音の印象が変わりますね。

本気のオーディオマニアの方だったら、御影石の上とかにスピーカーを置いたりするんだろうけど、そういうのは、まだ持っていないもんで・・・

ちなみにアンプは、例のアウトレット品のムジカのint30というプリメインアンプで、プレイヤーはiPod Classicのフォンアウトから以前自作したケーブルでアンプと接続しています。(本当ならば、iPod ClassicのDOCKからラインアウト接続するほうが良いのだけど、それが可能なケーブルが現在手元にないのです。)

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スピーカーの音質については、まだまだエージングの途中だからはっきりしたことは言えません。

だけど、今現在で感じるのは音の質感がめちゃくちゃリアルだということです。

何かの楽器でもそうだし、人の歌声もそうなんだけど、本当にその場所で演奏しているんじゃないか?って思うくらいにリアルです。こんなに、音の質感がはっきりと再現できるのはイヤホン・ヘッドホンでも、スピーカーでも(僕の経験上では)初めてです。これにはびっくりしました。

それと、片方にスピーカーユニット1個だけのフルレンジスピーカーということで、低音は弱めに感じます。

だけど、ずっと音楽を聞いていると、むしろこのくらいの量感で十分なのかな?とも思えてきます。低音の量感は少なめなんだけど、その分、解像度が非常に高いような感じで、いろんな音が非常に細かく聞こえてくるような気がします。楽曲の「ちょっと微妙かな?」みたいなところとかも、わかっちゃうような・・・そんな感じです。

また、低音は弱めだけど、非常に軽快です。だから、ゴリゴリに低音が必要なロックなんかには合わない気がするけど、意外とテクノとかダンスミュージックなどとは相性が良いです。

高音はけっこういい感じに伸びる感じがするけど、ちょっとうざいかな?と思う時もあります。これは、今後鳴らしこんでいくと解消されるのかな?という感じはします。

また、ボーカル系は男女問わずすごく良いです。本当に息遣いが聞こえそうなくらいにリアルなので、ゾクッときますね。

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それと、もう一つ特徴的なのが、音楽を聞いていると各楽器がどこから聞こえてくるのか、ものすごくはっきりと分かるという点です。(オーディオ用語で「定位が良い」と表現する場合が多いです。)

音の質感もそうだし、空間関係も非常にリアルです。

だから、スピーカーの配置や曲によっては、ものすごい広がり感を感じることもできたりします。これは、市販の安いスピーカーだと絶対に味わうことができない感覚なんじゃないかなあ・・・

ああ〜そうそう!オーディオってこういうのを言うんだなあ・・・と、このスピーカーの音を聴いていて、しみじみと思いました。

今現在は、かなり適当な感じの設置&再生環境なんだけど、それでも十分に良い音がしますよ。

音質は鳴らし込みをすることで、まだまだ良くなっていきそうな感じはするけど、現在の時点での感想は以上のような感じですね。

作って良かったです。


追記:完成してから毎日鳴らしこんできて、一ヶ月くらい経ちまして、かなりいい感じにこなれてきました。でも、やはり低音はあっさりしていて量感はあまりありませんね。すごくハキハキしていて、もっさりすることも全くないのですが。

おそらくこれが、このスピーカーのユニットの音の特性なのではないかと思います。

なので、曲によっては物足りない感じもある場合もあります。だけど、生楽器を使用した曲や、ボーカルメインの曲、などは素晴らしい表現力があると感じています。

それと、定位感も非常に良いので、意外とエレクトロニカみたいな系統の曲も合いますね。音の位置がよくわかるので、聴いていてすごく楽しい!

低音が主張しない感じなのは間違いないですが、よくよく音を聴いていると低音は非常に低いところまで出ているような感じです。だから、奥行き感があるというか・・・曲によっては、非常に深い感じの低音を感じることができます。

高音は相変わらずいい感じにきっちり出てる感じですが、初期の頃と違ってなめらかな感じがします。全体として違和感なく音楽を聴くことができる音ができるようになってきたように思います。

いやあ、やっぱり鳴らしこんでいくと自作スピーカーは音が変わっていきますね。

また、何か大きな変化が感じられたら追記しますね。


さらに追記:完成してから一ヶ月半くらい経過。低音がかなり出るようになってきました。そのおかげで、今まで苦手と感じていたロック系やポップ系の曲も違和感なく聴けるようになってきました。思った以上に時間経過による変化が大きくて驚いている今日このごろです。

まとめ

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非常に長い記事になってしまいましたが、以上が、初めての自作スピーカーについての作業工程や、その感想などでした。

実は、前回前々回の記事にも書きましたが、このスピーカーはうちの奥さんにプレゼントする予定です。

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一応、音も聴いてもらって、見た目も含めて気に入ってもらえたようなので良かったです。まだ部屋の整理ができてなくて置く場所がないそうなので、今はまだ僕の部屋に置いてあります。


追記:結果的にリビング用になりました。そして別のスピーカーを作ったのでそれをあげることになりました。

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僕自身もオーディオや、スピーカー自作に関しては初心者なのですが、思った以上に本格的なオーディオが楽しめるスピーカーができてしまって、非常に嬉しく思います。

そして、何よりも自分で作ったスピーカーから、ちゃんと音が出た!という瞬間は感動しますね。ちょっと前までは、「スピーカーを自分で作る」という概念そのものがなかったもんですから、すごいことですよ。

それにしても、ハマるとやばそうな趣味を覚えちゃったなあ〜と思っていたりしています(汗)ホント、こういう趣味にこだわりだすとキリがないよね。

でも、思っていた以上に簡単に手作りのスピーカーが作れるということも、一度やってみてわかりました。自分で設計とかもできるようになると、もっと楽しいんだろうなあ。

いつになるかわからないけど、そのうちまた何か作ってみようかと思います。

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