前回の記事までのところで床板を2階の張るための準備が終わりました。
で、床板を張り始めているわけなのですが、きれいに張るのは思った以上に難しいです。杉の無垢材の床板なので反りがあって修正しないと隙間ができてしまったりとか、柱や床板を削って差し込まなくちゃならなかったりとか・・・毎回微妙に張るときの条件が違います。したがって、初心者なので毎回やり方を考えながら作業をする必要があります。
苦労する部分が多いのは確かですが、個人的にはこれまでの家作りの作業の中では一番楽しいかもですね。床張り、おもしろいです。
<目次>
2階の床張りの作業について
今回の動画です。床板を張る作業は要素が多いので動画もこの記事もちょっと長めです。
作業工程の説明と作業上の注意点などを重点的に書いていきたいと思います。
作業的には、先日大工さんにレクチャーしてもらった内容を実際にやってみる・・・というような感じです。しかし、一度説明してもらっただけで全部が簡単にいくわけではなくて、いろいろと苦労しながら床張り作業を進めていくことになります。細かい部分などは実際にやってみないとわからないですもんね。
トラブルが起こったりうまくいかない部分も、自分で考えながら解決していく必要があるので楽しいです。
作業の流れについて
まず、2階床張り基本的な流れから説明していきます。
最初に1階に置いてある床板をちょうど良い長さに丸ノコでカットする作業から始まります。
↑あると便利かなと思って、こんな感じの丸ノコ用の台座を作ってみました。何も無いところで丸ノコで切ると、切っている最後のところが急に落ちて端っこが割れてしまったりすることがあるので、それを防止する役割もあります。
こんな感じで、小さめの台座も含めて3点で支持して置いて・・・
先日作った丸ノコのガイドを使って直角にまっすぐ切ります。
切った床板は2階に持っていきます。
2階に前回作った作業台(ペケ台)を設置しました。ちょうど良い長さに切った床板は張る前にエッジを削ったり溝を彫ったりなどの加工をしなくちゃならないので、それらの作業はこの上で行います。
加工が終わった床板は西側の隅から一列ずつ順々に張っていきます。
1階で床板をちょうど良い長さに切る。
↓
2階に持ち上げる
↓
作業台の上で加工
↓
床板を張る
シンプルにまとめると2階の床張りの基本的な流れは以上になります。
一見簡単そうに思えるかもしれませんが、実は実際にやってみると細かいところで気をつけなくちゃならないことがたくさんあるんですよね。
新しい列にいくたびにいろいろいろんなことがあるので、常に悩みながら作業していた気がします。
板材を切る
少し詳しく各工程について書いていきます。
まず丸ノコで床板をカットするときは直角が出ているか本当に本当に気をつけたほうが良いです。正確な直角でないと、木口の合わせ目のところに隙間が空いてしまうからです。
きっちり作ったつもり丸ノコのガイドですが、使っていると直角ではなくなってしまうことがあります。実際のところ何日間か作業したある日、原因はわかりませんがほんのちょっとだけ丸ノコガイドが直角ではなくなっていました。
角度を修正してネジを打ち直して修正したら大丈夫になりましたが、その日使う前に一度直角がちゃんと出るかチェックしたほうが良さそうです。
丸ノコガイドで簡単に直角を切ることができるのは良いのだけど、そもそもの角度が狂っていると台無しですよね。
それと、丸ノコも刃の角度が正確に90°になっているかしっかりと確認します。
実は、僕の使っている丸ノコの刃もほんのすこしだけ傾いていました、そのおかげで床板張りの特に序盤では木口の合わせ目に大きめの隙間が空いてしまっています。
木口の合わせ目のところはよく確認して完璧に直角を出してから張らないとだめですね。
2階に上げる
切った床材は2階に上げます。
短い板は脚立でそのまま脇に抱えて持っていくことができるので簡単です。
しかし、長い板はそのまま手で持って2階に行くには長すぎて無理です。なので1階の天井の穴のところに立てかけておいてから2階にまわって引き上げるような方法で2階に上げました。
ここで1つ注意なのが、2階は狭いので長い床板の方向転換が非常にし辛いということです。なので、2階に引き上げる時点で床板の向きを合わせてから引き上げるほうが後々の作業が楽です。
鉋で削る
2階に引き上げた床板は、作業台の上に乗せて木口のエッジの部分を鉋(かんな)で削ります。
表面の木口のエッジは軽く少しだけ削るようにします。鉋の刃の出し方にもよりますが、数回かけるだけでOKです。
床板をひっくり返して裏側のエッジを大きめに削ります。
裏側の方は万が一合わせ目のところにゴミなどが入ってしまったとしても、それが原因で床板が浮いてしまうのを防ぐ効果があるのだそうです。
こんな感じにできました。
以上で床材を貼る前の基本的な加工は完了です。
実にはめ込んで固定する
加工が終わった床材を梁の上に乗せて、1つ前の床板の実(さね)にはめ込んでいきます。
一列につき、長いのと短いので二枚の床板を使用します。木口の合わせ目のところは千鳥になるように次に張る床板は長短を交互に逆にしながら張っていきます。そのほうが見た目もいい感じだし、強度的にも増すのだそうです。
しっかり隙間なくはめ込む。
はめ込んだら、実の凹みのところに45°くらいの角度でビスを打ち込んでいきます。今回は75mmの長さのコーススレッドを使用しました。
できました。
木口を合わせるのが難しい
木口の端っこの辺りにビスを打ってしまったために割れてしまっています。床板の合わせ目のところは梁のギリギリを狙ってビスを打ち込む必要がありますね。
それと、ビスを打ち込む角度もすごく重要で、垂直に近い角度よりもなるべくビスを寝かせて、45°くらいの角度で打ち込むと割れにくいです。最初60°くらいの角度で打ち込んでいたのですが、それだと端っこ以外のところも割れることが多かったです。
また、この床板同士の合わせ目の部分で一番むずかしいのは、木口の隙間を完全になくすことです。
先ほども書きましたが。ここの隙間を完全になくすためには完璧に直角に真っ直ぐに床板を丸ノコでカットしなくてはなりません。上記の画像のように特に初期の頃は直角が出ていなくて、0.5mmとかくらいのかなり大きな隙間が空いてしまっている箇所があったりします。
途中でそのことに気づいて、丸ノコと自作した丸ノコガイドの角度の調整をかなり念入りにやってかなりマシになりましたが・・・
なので何度も書きますが、丸ノコで床板を切るときにはものすごく注意してまっすぐ直角が出ているのか、しっかりと確認してから張るほうがよいですね。
間柱のところにはめ込むには
次の板はそのままでは間柱が邪魔で壁の内側に挿し込むことができません。
そこで、その対策としては以下の2つが考えられます。
1. 柱に溝を彫ってはめ込む
2. 床板に溝を彫ってはめ込む
どちらでも大丈夫なのですが、今回の場合は先にすでに断熱材が入ってしまっています。なので、断熱材が邪魔でのこぎりを使うことがほとんどできない状態です。となると、床板を削る方が作業的に楽なのではないかと考えました。
というわけで、今回は間柱をはめ込む際には、床板に溝を彫ってはめ込むという方向で作業を進めることにしました。
ただ、この溝も間柱と全く同じ大きさに彫れば良いと言うわけではなくて、実(さね)にはめ込むための若干の余裕を持って溝を作らなくてはなりません。
↑これは床板の端材で溝を彫る練習をしたものなのですが、間柱よりも広めに溝が入れてあります。
これをまず間柱にはめ込みます。
はめ込んだら、床板をスライドさせて実にピッタリとはめ込みます。
以上のような流れで床板を張るようにしないと、間柱のところはどうやってもはめ込むことができないのです。
前々回の記事にも書いたのですが、床板張りは頭を使わないとできないところが多々あって、まさにパズルのようです。
床板に溝を彫る
床板に溝を彫る方法ですが、ノコギリとノミを使います。
まず鉛筆で印をつけた場所にのこぎりを入れます。
2本ノコギリを入れたところの間を落とすようなイメージでノミをいれます。
線のところを垂直にノミを入れたら斜めにノミを入れて・・・という手順を繰り返して少しずつ削っていくような感じで良いと思います。
最後に余分なところを微調整して完了です。
溝に間柱をはめ込む
溝を彫った床板をはめ込んでいきます。
角材をクッションにしつつ、スライドさせて実にはめ込みます。
インパクトトライバーでビスを打ちます。
うまくいきました。
はめ込んだ間柱のところはこんな感じ。
多少隙間がありますが、この部分は最終的には石膏ボードを張るので、多少の隙間は見えなくなるので問題ありません。
柱を削る方法を考える
4列目が完成。ここまでは順調です。
しかし次の列はまた1つやり方を考えなくてはならないところだったりします。
というのも次の列は間柱ではなく、柱があるところに床板を挿し込む必要があるのですね。
柱は幅が120mmあるのでかなり太いです。となると、柱に挿し込むための床板の溝も相当に大きくなってしまう気がします。それだと、床板が壁面内部の梁に乗せることができる面積が減るので強度的に少し心配です。
なので、柱のところは「柱に溝を彫ってはめ込む」という方法にしたほうが良いと思うんですよね。
しかし、問題なのはすでにみっちりと入れてしまってある断熱材です。断熱材が邪魔をしてノコギリを使用して溝を削り取ることができないのです。もちろんノミだけで削り取ることも可能ではあるのですが、ノミだけで削るのはちょっと大変そうです。
この柱の部分の溝の削り方に関しては、少し考える必要がありそうです。
次の日。ホームセンターで買い物をしてから現地に赴きました。
何を買ったのかというとΦ25mmの木工用ボアビットです。これを使ってギリギリのところまで溝を彫っておいて、最後の仕上げにノミを使って余計な部分を落として形を整えるというような手順で作業してみることにしました。
これだったら、ノコギリが使えなくても電動工具の力を借りることによって、かなりの時間短縮と労力の節約になるはず。
柱を削って床板をはめ込む
削る箇所に鉛筆で印をつけていきます。
ボアビットで深さ15mmの連続した穴を開けていきます。
余った部分をノミで削っていきます。
溝の奥側はボアビットを微調整で使って、平らにします。
床板の端材の木口に15mmの線を引いたものを挿し込んで、ピッタリと嵌まるようになればOKです。何度も書きますが、この部分は最終的に隠れる部分なので、多少隙間があいていても問題ありません。
関係ないけど、作業中は下に一階の地面が見えるのでけっこう怖いです。高いです。落ちそう。
もう一方の柱も同じように溝を彫ったら、床板をはめ込んでいきます。
二枚目の板は手前からスライドさせながら入れていかないとはめ込むことはできません。
できました。
削った柱の分だけしか壁にめり込ませることができないので、これまでと違って断熱材の隙間入れ込んで長さ調整をすることができません。柱の溝に挿し込む場合は、ピッタリとその幅に床板をカットしてから張っていく必要があります。
2階の床が1階の天井
引き続き床張りを進めていきます。
外は雪。
今作っている家は、2階の床が1階の天井になります。床板を張ってしまえば自動的に1階の天井もできちゃうというわけですね。
無垢材の反りを直す方法
木材を使って何かを作るのは基本的に木の反りとの戦いが高確率で発生します。床板を張る作業もその例にもれないわけでして、盛大に反ってしまっている床板も多いです。
例えばこれ。
拡大すると2〜3mmほどの隙間が空いているのがわかるかと思います。(この板はまだマシな方でひどいのだと最大5mmくらいの隙間が出てしまうこともあります。)
この隙間、分厚い無垢材の板を使用しているので仕方ないという部分もあります。しかし、これだけの大きな隙間があいてしまっているのは、かなり気になりますよねえ・・・
というわけで、その木材の反りを修正して隙間をピッタリと埋める方法を考えながらだましだまし作業していたのですが、いろいろと試行錯誤した結果かなりいい感じに反りを修正できる方法を発見したの紹介します。
まず床板が傷つかないように角材をあてがい、少し隙間を開けて適当な木材をビスで梁に打ち込み、仮固定します。
梁の部分はどうせ後で床板で隠れる部分なので、ビスで打ってしまっても問題ありません。
実の部分にビスを少しだけ入れておきます。この後、両手を使って作業するのでビスを持つ手が足りなくなるので、やっておくとこの後の作業が少しだけスムーズです。
隙間に斜めカットした木材を挿し込んで、テコの原理でぐいぐいと力を入れて手前に引いて隙間をなくした状態にします。
斜めカットした木材一本だけだと手を離すとすぐに戻ってしまうので、もう一本木材を入れました。これでいい感じ仮固定されて隙間も更に埋まります。
この隙に実にビスを打って床板を固定します。
梁に仮固定のために打ったビスを抜いて木材を外したら完了です。
以上のような手順で床板の反りを強制的に修正して隙間を直しながら作業しました。
床板張りは続く
以上で床張りの基本的なやり方の説明は大体できたと思います。(後日、また複雑な造作が必要な箇所も出てきますが)あとは、これをひたすら繰り返していくだけです。
これで2階の床板の約三分の一が張り終わりました。まだまだ床板張りはしばらく続きそうです。
まとめ
床板を張る作業はいろいろ細かいところでイレギュラーがあったりして、思った以上にすんなりと作業が進まない場合が多いです。しかし苦労した分、徐々に床板ができてくる様子も見えてきやすく、達成感を感じやすいのが良いですね。
なんというかすごく大工してる!って感じで楽しいです。
この少し後、部屋の真ん中の、柱の下に床板を入れ込むという、床板張りの最大の難所があるのですが、その様子はまた次の記事で紹介していきたいと思います。
それと、まだブログでは出せていませんが、実はこの作業は外壁の作業と同時進行でやっています。晴れの日は外壁の作業で、天気が悪いときは室内の作業という感じですね。
なかなか作業も思うように進まないのですが・・・なんとか頑張って作業して早く住めるようにしたいです。
※次の記事