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【まるでパズル】大工さんに二階の床張り方法を教えてもらった

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前回、断熱材の施工が終わりまして、次の作業は2階の床板を張る作業になります。使用する床板は、断熱材を入れているときにすでに届いていて、1階の入り口辺りにまとめて置かれています。

厚みが30mmの杉の無垢板でかなり分厚いので、結構な分量ですよね。

今回は、この床板材を張る作業の前に、今回のセルフビルドでお世話になっている風の森建築の大工さんに来てもらって、床板の張り方のレクチャーをしてもらいました。

床板張りは普通に必要な長さに切って固定していけば良いというだけではなくて、パズルように考えながら作業しなくてはならない箇所もあったりするようです。想像していたよりも慣れるまでは大変そうです。

<目次>

2階の床板(杉の無垢材フローリング)の張り方について

youtu.be
今回の動画です。内容的には床板張りのレクチャーだけでセルフビルドの作業はありません。

動画を撮っておくと後で見返して復習ができるので良いですね。

レクチャーは今回の新築の(自分でやる以外の)工事をしていただいた風の森建築の大工さんに来てもらいました。

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断熱材は後の方が良かった

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さて、まず2階の東側の端っこから床板を張っていくわけですが、ここで衝撃的な事実が判明。

建物の床には非常に大きな力がかかります。例えば、本棚などを置いたりしたら長年に渡って相当な重量を床板は耐え続けなくてはならないわけです。

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そして、その大きな重量を耐えるためには床板は壁面の断熱材の下側の隙間の部分に入れ込んでしまうのがベストであるとのこと。

つまり、断熱材を入れるのは床板を張ってしまってからのほうが良かった!ということです。

せっかくタッカーで固定した断熱材も床板を入れる下側の部分は全部外さなくてはなりません。

あとで実際にやってみてからも思ったのですが、みっちりと入れ込んだ断熱材を押し分けながら床板を差し込んだり造作をしたりするのはかなり大変です。

もうちょっと確認してから作業をすればよかったのですが・・・やってしまったものは仕方ありません。こういうトラブルもセルフビルドの醍醐味なのでしょう。(あとで聞いてみたら、設計した人と大工さんとで考え方の違いがあったようです。どちらが正解というわけでもないし、まあそういうこともあるのかなと・・・)

張り方の基本

さて、気を取り直して床板の張り方についての話に戻します。

今回張る床板は2階の床板であると同時に1階の天井でもあります。床板を張ると、その裏側部分は下から見えて、それが天井になります。そのために杉の無垢材30mmという太くかなり頑丈な板材を使用しています。

そのため、2階部分には根太(ねだ)がなく、梁(はり)に直接釘かビスを打って固定していくだけでOKです。

しかし、強度を増すために壁の断熱材の隙間の部分に入れ込むことと同時に、実(さね)同士をぴったりを合わせていかなくてはなりません。

f:id:takayukimiki:20190319222816j:plain 実というのは、床材の側面の凸と凹のことです。実は凸と凹がピッタリと嵌まるようになっていて、それによって床板が面で重量をもたせることができるようになります。また、見た目的にもピッタリと合うのできれいです。

ちなみに、実の凸が雄実(おざね)で凹が雌実(めざね)と言うそうです。(初心者過ぎてこれすらも全然知りませんでした。)

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床張りは基本的にはこのように雄実と雌実を合わせて、実の部分に釘かビスで打って張り合わせていくだけの作業です。雄実の凹み部分に斜めに打っていくので、次の床板を実にはめ込んでしまえば、釘やビスは隠れて見えなくなります。

釘でも良いのですが、ビスのほうがしっかり固定されて動きにくいかも・・・ということで今回はビスで留めていくことにしました。ビスは、30mmの床板に斜めに打っていくために75mmくらいの長めのものを使用します。特別なビスではなく普通にホームセンターに売っているコーススレッドで良いそうです。

パズルのような張り方が必要なことも

しかし、ただ単純に何も考えずに順々に張っていけばよいというわけではありません。ときにはパズルのように順番や寸法を考慮しながら造作をしていく必要があるような箇所もあります。

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例えば、このように床板の途中で柱があるような場合です。このようなときには、普通に床板を順々に張っていくと実にはめ込むことはできません。

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図を見てもらうとわかりやすいと思うのですが、この状態では絶対に無理ですよね。この場合、床板の同じ厚み分、柱を彫り込むような加工をする必要があります。(柱を削ってしまうのはちょっと怖い気がしてしまいますが、家作りのときにはちょっと柱を削るようなことは普通にやることなのだそうです。)

けれどもただ単に柱に入れ込む分ちょうどの深さに彫るだけでは足りなくて、実を入れ込む分だけ余分に彫り込む必要があります。

また、順番に通りに床板を設置していくのではなく、一個先の床板を先にはめ込んでおいて、その間に一個前の床板をはめ込み、一個前の床板をスライドさせるようにして雄実と雌実をはめ込みます。

文章だけで説明するのは非常に難しいので、図と一緒に説明します。

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まず、↑この状態だとそのまま床板を設置することはできないので、柱をのこぎりやノミで彫り込みます。

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彫り込む深さは、最終的に床板が入り込むよりも少し深めに彫っておきます。

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まず、先に一個前の床板をはめ込みます。柱に彫った溝の奥まで入れて一個前の床板が入る隙間を確保します。

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一個前の床板をはめ込みビスで固定します。

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深めに彫っておいた柱の溝に入れていた床板をスライドさせてバックして一個前の床板の実にはめ込みます。

これで、表から見る分にきれいにはめ込まれたように見えます。本当にパズルか知恵の輪のようですよね。これは頭使いますわ。

このようにして、柱などが関係する箇所の床板を張っていくわけです。

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これ、おそらく彫り込む深さが肝になってくる作業なのですが、彫りが浅すぎると床板をはめ込むことはできないし、深すぎても家の構造の柱を削るわけですから良いことではないかと思います。なので、ここの部分が床板張りの難しいところでもあり、おもしろいところなのではないかと思いました。

丸鋸のガイド

さて、これから実際に床板を張る作業を見せてもらうわけですが、その前に板材をちょうどよい長さに切らなくてはなりません。

床板は丸ノコで切ります。切った場所は床板同士が突き合わせるような形になるので、ピッタリと木口が合うように正確に切らなくてはなりません。

そのために丸ノコの直角を切るためのガイドが必要となります。

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市販されているものもあるらしいのですが、大工さんは木材で自作した丸ノコガイドを使用することが多いそうです。薄い合板と角棒だけで簡単に作ることができるし、45度とかの角度のものも作ることができるそうです。また、長めに角棒の部分を出しておけば、切る場所ちょうどの部分の印にもなって非常に便利です。

シンワ測定 丸ノコガイド定規 ジャスティーII 23cm 78176

シンワ測定 丸ノコガイド定規 ジャスティーII 23cm 78176


売られているのは多分こういうのです。しかし、いろんな角度に設定できて便利な半面、何度も使っていると微妙に90度ではなくなってきてしまうことも多いそうです。また、金属製なので冬場などは冷たいらしいです。今寒いし、標高高い場所なので寒いのは嫌だなあ・・・

というわけで、丸ノコガイドは作ろうと思います。

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一枚だけやって見せてもらえるということで、一列分の板材を切り出していきます。

木口に鉋がけする

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直角に切断した木口は鉋(かんな)をかけます。表面は合わせ面が見えてくるので、少しだけ角の部分を削ります。

裏面も丁寧にやるなら少し大きめに削った方がよいそうです。床板と梁が接触する部分はゴミが入ったりしてそのせいで板材が浮いてしまうことがあるそうで、裏面の木口の角を削ることでそれを防ぐことができるそうです。

サンダーなどで削っても良いのですが、鉋の方が決まった回数だけ鉋を動かせば決まった量だけしか削れないので、削る量の調整がしやすいとのことです。

鉋は一応持っているのですが、学生時代に買って使ってそのままなので、もしも使うのであれば研いだりしてきちんとしないとなあ・・・

ノミで床板を削る

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2階床張りの一番最初の床板はこのように柱と間柱のある部分に挿し込んでいくわけですから、床板がまっすぐのそのままの状態では挿し込むことはできません。なので、柱と間柱の部分に組み合わさるように床板を削る必要があります。

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家の図面を見ながら鉛筆で削る場所に印をつけます。

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のこぎりで削る部分だけ切れ目を入れます。

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最後に木目の方向にノミで打って溝を彫ります。

この作業、ずっと見入ってしまったのですが、めちゃくちゃ手際が良くてサクサク床板を削っていました。さすがプロですよね。

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また、ノミで打つと木目の方向に流れるように削れるので、特にこのように大きな箇所を削るときはそれを意識しながらノミを使います。

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木目の方向に割れるように削れてしまうので、目標となる箇所よりも少し手前辺りからノミをいれていきます。

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ノミも用意しなくてはならないのですが、よく使うのは幅が8分(24mm)のノミなのだそうです。この大きさのノミは持っていないので、次までに買って、研いでおかなくてはなりませんね。

作業場所を作ってから作業した方がよい

今回は、急だったしレクチャーだったので適当に場所を設定して作業をしてくださったわけなのですが、実際にたくさんの床板を加工するのであれば、作業場所の環境をしっかり作ってから作業をしたほうがよいとのことです。

例えば、腰辺りの高さの作業台みたいなのを作ってその上でノミを使ったりしたほうが良かったり、丸ノコで切るときもスムーズに切れるように場所を作る必要がありそうです。

なので、実際に床板張りの作業が始まったら、作業のための下準備から始めなくてはならないですね。

木口を合わせて張る

さて、以上のような感じで床板を何箇所か削っていきまして、この床板を床に置いて壁に挿し込んで行くわけです。

ところがこの日帰宅してビデオカメラに装着していたSDカードを確認したところ問題が発覚しまして、なんと一番重要なこの部分が録画できていませんでした。

一応ずっとカメラを回していたつもりだったのですが、録画スイッチ押していなかったっぽい・・・

なので、実際に床板を張りつけている作業の部分の動画や画像が紹介できません。申し訳ありません。(床板設置後の画像は後日撮影したものです。)

撮れていなかったものは仕方ないので、気を取り直して床張り作業の実際の絵面は作業が始まってから紹介していきたいと思います。

掃除する

まず、床板を張り付ける部分をきれいに掃除します。ちょっとした木くずなどが落ちていて、それが挟まってしまいでもしたら、その木くずの分だけ隙間ができてしまいます。

なので、取り付ける部分はきちんと掃除してゴミが落ちていないことを確認してから作業を開始します。

梁に印をつけてから張り始める

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やり方ですが、まずこのように床板が置かれる箇所に鉛筆で印をつけます。この印を基準に家の梁に垂直水平になるように調整しながら張ります。

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レクチャーの後日撮影した映像です。

柱と間柱の間に挿し込む

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溝を削った床板を柱と間柱の間に挿し込んでいきます。挿し込む分量は15mm(5分)以上くらいあれば良いそうです。

ビスで打つ

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雄実の凹みの部分に斜めにビスを打つ
丸ノコで切って鉋で削った木口がピッタリ合っていることを確認したら、インパクトドライバーを使ってビスで留めていきます。

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梁のところに一箇所ずつ、挿し込んだ柱の間にも一箇所ずつビスを打ってしっかりと固定されたら完成です。

そして、次の板材は木口を合わせて前の板材のピッタリと実に挿し込んでいきます。床板張りは基本的にはこの繰り返しの作業となります。

ボンドで固定してもよい

こういった無垢材のような材料を使用すると、住み始めてからしばらくすると木材が乾燥して痩せてきます。一応、この床板もある程度は乾燥させてある床材ではあるし、今の季節は乾燥している時期でもあります。しかし、長い年月が経つと更に乾燥して微妙に隙間が空いたりして、そのせいで床のきしみなども出てくる場合があるそうです。

それを防ぐためには、実や木口などの組み合わせる部分に木工用ボンドを塗って強制的に固定するという方法もあるそうです。こうすれば、将来的な床のきしみなどを抑えることができるそうです。

しかし、今回は木工用ボンドは使用せずに作業をしていきます。木工用ボンドを毎回塗りながら作業するのは初心者の僕にとっては余裕がないし面倒なので・・・

まあ、将来的にきしみが出てきたとしても、それはそれで無垢の木材の味ということでいいんじゃないかなと納得しようと思います。

まとめ

以上が、床張りのレクチャーの内容でした。

最後のところの録画ミスは本当に痛かったのですが、レクチャーの内容的には新しく学ぶことが非常に多く、プロの大工さんのテクニックを垣間見ることができて楽しかったです。

淡々と作業をしているように見えますが、ノミで削る作業にしても丸ノコで切る作業にしてもきれいにやるのはかなりの技術が必要な気がしました。

それと新鮮だったのは、大工さんはセンチやミリではなく「寸」「分」などの単位を使って作業をしているのですね。(1寸は3cm、1分は3mmだそうです。)今回のレクチャーでは素人に気を使ってくれてわざわざミリで言い直して説明してくれていましたけれども、寸や分などの単位にも少し慣れていきたいなと思いました。

この記事を書いているときにはすでに床張り作業はもっと進んでいるのでいます。でも、実際にやっていくと実際にやらないとわからない細かい注意点なども多いです。具体的なことはまたその都度説明していきたいと思います。

次の記事では早速床板張りをしていきたいところですが、その前に道具を揃えたり作業台を作ったり、いろいろと準備をしなくてはならないことがあるのでそれをしてから床張りをスタートさせることになります。


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