12月も後半になりまして、非常に寒い日が続いています。外を出歩くと特に頭や耳周りが冷えるんですよねえ・・・
なので、1ヶ月ほど前から出かける際にはB&Wの「P7」というヘッドホンを使って音楽を聞くついでに耳周りの寒さをしのいでいます。
これ、以前から音質的に気に入っていてめっちゃ欲しかったヘッドホンなのですが、実はすでに生産終了品になってしまったそうです。そんな感じのタイミングで某専門店でセールをしていたのを見かけまして、定価よりもかなりお安く売られていまして・・・そんなわけで、勢いで買ってしまった代物なのでございます。
さて、このヘッドホン非常に気に入って使っているわけなのですが、一つだけ不満点があります。それは付属ケーブルが長過ぎることです。長さを計ったら130cmほどありました。いつもポケットにプレイヤーを入れてP7を使っている身長168cmの僕にとってはケーブルが余る余る!
満員電車とかに乗っていると、びろーんとはみ出たケーブルが他の乗客に引っかかりそうになるんですよね。駅でダッシュするOLのお姉さんにケーブルがばっちんばっちんと当たって怖い思いをしたこともあります。
P7を作っているB&W(Bowers & Wilkins)はイギリスのオーディオブランドなので、ヘッドホンのケーブルのサイズも欧米人仕様なのかもしれません。そりゃあ、図体のでかい欧米の人にとってはそのくらいの長さを必要ですよねえ。しかし日本人としても決して高身長とは言えない僕は、このヘッドホンを使い始めた日から付属ケーブルを交換したいと思い続けていました。
また、このP7というヘッドホンはネット上ではリケーブルをすると音質もアップする!という報告もよく目にします。
てなわけで、①取り回し改善と②音質アップ。この2つの目的のために、今回はこのヘッドホンのケーブルを自作してリケーブルをしてみようと思い立ったというわけです。
<目次>
ヘッドホンケーブルケーブルを作って付属ケーブルと交換してみた
このP7というヘッドホンの特徴の1つとしてリケーブルが可能であるということがあげられます。
イヤーパッドがマグネットで接着されていて、これを外すとケーブルを着脱できます。
ヘッドホン側の接続端子は、普通の3.5mmのプラグではなく2.5mmのプラグなので更に小型のミニプラグです。これがイヤーカップの内側の部分に刺さっています。このへんのデザインはホントよく出来ているなあと思います。無駄がないし見た目的にもかっこ良い構造だと思います。
このヘッドホンは音質も良くて非常に人気のあるヘッドホンなのですが、残念ながら現在は生産終了品です。(ワイヤレスバージョンのP7は今でも普通に売られていますが。)
でも、今でも普通にこのヘッドホンの交換ケーブルはアマゾンなどでも購入することが可能です。自分で作るのが面倒だったり、道具が家に揃っていない人は、既製品を何処かで買ってしまったほうがコストがかからなくて良いかもしれません。
- 出版社/メーカー: B&W
- メディア: エレクトロニクス
- この商品を含むブログを見る
買ったもの
今回使用する主な材料であるプラグとケーブルはオヤイデ電気さんのオンラインショップで買いました。
オヤイデ電気(電線・オーディオケーブル専門店) :オヤイデ電気オンラインショップ
プラグは3極のヘッドホン側の2.5mmとプレイヤー側の3.5mmのものを一本ずつです。コンパクトに仕上げたかったので、なるべく小型のプラグを選びました。
ケーブルはヘッドホンのケーブルとしてちょうど良さげだった「HPC-24W V2 ヘッドフォン用2芯シールドケーブル」というケーブルを選びました。太さが3.5mmのケーブルですね。(余談ですが、ケーブルはいつかまた何かに使うだろう!ということでちょっと多めに5mも買っちゃいました。)
P7の付属ケーブルの太さはノギスで計ってみたら3mmほどだったので、それよりも一回りほど太めのケーブルということになります。
固さも少し硬めです。個人的には硬いケーブルは好きですね。丈夫で断線に対する安心感もあるし、音質的にも良さそうな気がするので。
このケーブルをちょうどよい長さにカットします。どのくらいの長さにするか迷いましたが、自分の使い勝手等を検討した結果、今回は90cmにカットにしてみました。
プラグを削る
2.5mmのプラグのカバーは使わないので外してしまいます。カバーを付けた状態ではP7のあの細い溝には太すぎて刺さりません。
しかし、カバーを外してもまだまだ太いです。
なので出っ張った部分をヤスリで削りました。プラグそのものが非常に細かいのでヤスリの扱いに慣れない人には少し難しい作業かもしれません。余計な場所まで削らないように気をつけてください。「スリ板」という彫金用の道具を使うとやりやすいです。(細かいものにヤスリを使うと指先とか怪我することも多いので注意です。)
- 出版社/メーカー: シーフォース
- メディア: その他
- この商品を含むブログを見る
↑こんな感じに削れました。
削ったプラグを試しにヘッドホンに取り付けてみました。これでピッタリ入りますね。
最終的にはこれをホットボンドで補強したり熱収縮チューブをかぶせたりして仕上げる予定です。
はんだ付けする場所について
今回作るP7のケーブルは片方の太さは細いですが、それ以外は基本的には普通のmini-miniケーブルと作り方は一緒です。
↑この図だとわかりにくいかもしれないですが、図のように、両端のプラグの同じ箇所にハンダ付けすればOKです。両端のプラグのR(右)、L(左)、G(グランド)の該当する箇所同士をつなげていくイメージですね。
今回使用するケーブルは2芯1シールドのケーブルです。
ですので、グランドはケーブルのシールドの銅線を使って、右と左は同じ色の被覆のケーブル同士を両端のプラグの同じ部分にハンダ付けするって言う感じです。考え方としては非常にシンプルなので、左右を間違えにくいので気持ち的には楽です。
ハンダ付けする
てなわけで、ハンダ付けをしていきます。
ハンダは昔買ったオーディオ用のハンダを使用します。オヤイデ電気のSS-47というハンダです。
2.5mmのプラグの方からやっていきます。
まず、ケーブルの被覆を剥きます。ケーブルストリッパーを使うと楽なんですけど、カッターとかでも普通に出来ます。(内部の導線は傷つけないように注意しなくちゃならないけど。)
シールドの銅線は一箇所にまとめて少し短めに切っておきます。RとLの線もプラグに合わせて長さを調整しておくと、この後の作業が非常にスムーズです。
プラグにハンダ付けをする前に予備ハンダをします。予め少量のハンダを線に流しておいて、プラグを軽く温めるとそれだけで簡単にハンダ付けを完了することが出来ます。
プラグ側にも予備ハンダをしといても良いですが、経験上、こちらはハンダの量が多すぎると変なところが短絡したりするので、やるなら少なめのハンダを使用した方が良いです。
卓上万力にプラグを挟んで、サクッとハンダ付けします。くっつける部分を軽く温めながらハンダを流し込むようなイメージでやるとうまくいくと思います。
これで、2.5mmのプラグのハンダ付けは完了です。
で、もう片方のハンダ付けをしていきたいところですが、その前に、プラグのカバーや固定用の熱収縮チューブなどを忘れずに通しておきます。これを忘れてしまうと最初からやり直しなので、マジで気をつけて!(これ、やってみるとわかると思うけど本当に忘れやすいです。今までケーブルを作ってきて何度作り直ししたことか・・・)
準備OKならば、3.5mmの方も同じようにハンダ付けしてしまいます。ハンダ付けに時間をかけすぎると、ハンダが枯れたりプラグの絶縁体が溶けたりとかして良いことは何もないので、手早く作業を完了させます。
これで、両端のハンダ付けは(失敗していなければ)完了したということになります。
念のために両端のプラグをハンダ付けしたら、固定する前にテスターで導通チェックしました。どこかが短絡していて完成後に音が出なかったりすることもありますので・・・
今回は特に問題なかったけども、ケーブル製作は配線ミスがあることも多いので、こまめにテスターは使った方が良いと思います。(この段階で問題なくてもカバーを閉じた後に短絡している部分ができちゃったりすることもあります。)
補強する
さて、これで一応ブラグをヘッドホンとプレイヤーに挿せば音は出る状態になりました。ここからは先は仕上げです。プラグの補強などをして、実際にヘッドホンケーブルとして使っても問題ないような状態にしていきます。
まず、ハンダ付けした部分を補強していく作業ですね。
2.5mmのプラグにハンダ付けした隙間にホットボンドを流し込みます。適当な量をつけたら、柔らかいうちに指で摘んで形を整えます。(これ、なかなか完璧にキレイな感じにはならないし、隠れてしまう部分なので適当で良いです。)
ホットボンドで補強した上から熱収縮チューブを被せてさらに補強します。
熱収縮チューブは温めると縮む特殊なチューブなのですが、ヒーティングガンで温めると失敗すること無く楽に縮めることができるのでおすすめです。
ヒーティングガンで温めます。
この黒い熱収縮チューブだけでも十分だとは思ったのですが、実際にヘッドホンに接続するとほんの少し(0.5mm以下)だけ隙間ができているように見えました。
そこでさらにもう一層、上から赤い熱収縮チューブをかぶせてみました。
これで、ヘッドホン側のプラグは完成です。
3.5mmプラグの方も同じようにホットボンドで補強します。少しホットボンドがはみ出してしまったので、その部分はニッパで切り取って形を整えました。こちら側はプラグのカバーを被せなくてはならないので、余計な部分が残っているとカバーを被せることができなくなってしまいます。
↑プラグカバーをつける直前の状態。透明な短いストローみたいなのは、プラグに元々付いていた絶縁?のためのカバーみたいなやつです。赤い熱収縮チューブは、最も断線しやすいケーブルの根本の補強のために使ってみました。
あらかじめケーブルに通してあったプラグカバーをここに被せれば完成です。
↑プラグカバーはネジみたいになっているので、回せばピッタリとプラグに装着できます。
完成
完成です。
プラグが細い方がヘッドホン側で、太い方がプレイヤー側です。
見た目で気にはシンプルな雰囲気のケーブルに仕上がってよかったと思います。普段使っていても人目が気にならなそう。
ヘッドホン側の2.5mmのプラグは、追加で熱収縮チューブをかぶせたので少しきつめになってしまいました。
まあ、おそらく少しきつめなくらいの方が、使用時に思いがけない力がケーブルにかかったときも、すっぽ抜けたりしないだろうから良いと思います。
磁石式のイヤーパットを再び装着。ピッタリですね。問題なさそうです。
音質や取り回しの変化について
まだ、使いはじめたばかりですが、このP7用の自作ヘッドホンケーブルでリケーブルをした感想も少し書いておこうと思います。
まず、わかりやすいところで言うと取り回しが良くなりました。今までが自分の身長としては長すぎたというのもあるけれども、使用時にケーブルが余らないので不意に変な所に引っかかりそうになることはなくなりました。
また、断線しにくそうな少し太めで硬いケーブルなので、安心感ありますね。
音質も一聴してすぐに分かるくらいに印象が変わりました。まだ自分の中で感想が固まってない部分もあるのですが、明らかに違う音のヘッドホンに変化した気がします。
低音や高音の量はあまり変わらないと思います。
付属ケーブルと比べて最もわかりやすいのが、輪郭がくっきりしたような音になったような印象です。このヘッドホン、元々空間の表現力がいい感じだと思っていたんですけど、その部分の良さがさらに際立ったようなかんじです。
てな感じで、少しだけレベルアップした音が外出時に楽しめるようになったというわけです。
今後使い込んでいって、取り回しや音質などで気づいたことがあれば、追記していこうと思います。
まとめ
いやあ〜久しぶりに軽くDIYをしてみたのですが、やっぱり楽しいですね。
特にオーディオ系のDIYは良いですね。きちんと音が出た瞬間は脳内で何らかの汁が出ます。
ヘッドホンのリケーブルは今までもずっと興味を持っていたのですが、残念ながらリケーブルが簡単にできるヘッドホンの機種を所有していなかったので経験できていませんでした。(実はリケーブルできないヘッドホンを、無理やりリケーブルしようとして1個ヘッドホンをぶっ壊したことがある。5000円くらいのだから良かったけど。)
その点、B&WのP7というヘッドホンは、多少ヘッドホン側のプラグを削らなくてはならない点を除けば製作難度は低い方だと感じました。材料も専門店であればネットなどで普通に買うことができるものですし、作り方の基本は3.5mmの普通のmini-miniケーブルを作るのとほとんど同じなので。
リケーブルの効果も感じやすい機種だと思うので、プロが作った交換ケーブルを購入してリケーブルするのも良いけれど、思い切って自作してしまうのも良いのではないでしょうか。
【国内正規品】Bowers & Wilkins P7 モバイルヘッドフォン P7/B
- 出版社/メーカー: Bowers & Wilkins
- メディア: エレクトロニクス
- この商品を含むブログを見る
- 出版社/メーカー: Bowers & Wilkins
- メディア: エレクトロニクス
- この商品を含むブログを見る