飲み終わったワインの瓶を再利用して、スピーカーを作ってみました。
実は、ずっと前からワインボトルを利用したスピーカーを作りたい!と思って、どんな感じで作ろうかと計画していました。やっとのことでそれが実現できた!ってかんじですね。
以前もスピーカーを作ったのですが、今回のワインボトルスピーカーは自作スピーカーの三個目ということになります。設計やアイデアなどまで位置から全部自分でやったのが初めてなのですけどね。
完成したワインボトルスピーカーはスピーカーユニットが上部についている、ちょっと変わった形状のものになりました。
今回のワインボトルスピーカーは、スピーカー製作の初心者が設計したものだし、正直な所、こんな方式でまともな音が出るスピーカーになるのかさっぱりわかりませんでした。でも、「失敗したらそれはそれで!」という気持ちであまり期待しないで実験的にやってみたら、意外と良い音が出るスピーカーができちゃいました。
予想以上にまともで高音質だったので、自分で作ったのにびっくりしました。やっぱりこういう感動があるからスピーカー作るのは楽しいんだよね。
完成してから数日間ずっとこれで音楽を聞いていますが、けっこう気に入って毎日使っております。
<目次>
ワインボトルスピーカーの製作工程
この記事では、飲み終わったワインボトルを使用したスピーカーの製作工程を紹介していきます。
誰でも作ることができるようにと思って、なるべく詳しく書いたら記事が長くなってしまいました。
今回作ったスピーカーについて
バスレフ方式とワインボトル
ワインボトルを使ってスピーカーを作ろうと思ったきっかけは、ワインなどを飲みながら「この形ってスピーカーに使えるんじゃね?」と思ったことです。ちょうど、ボトルの口の辺りとかが「バスレフ型スピーカー」の「ダクト」っぽいし、おもしろい物が作れそうな気がしました。
実は、ワインボトルを利用したスピーカーは昔から存在しています。だから、まあ・・・みんな考えることは一緒ってわけですね。
さて、ここでバスレフ型のスピーカーとはなんぞや?という話を少しだけ書いておきます。(基本的な話なので、知ってる人は読み飛ばしてください。)
バスレフ型のスピーカーとは、「スピーカーユニット」がついている「エンクロージャー(箱)」に「ダクト」が付いているスピーカーのことを言います。
「ダクト」と言うのは、ちょうどワインボトルの口の部分みたいなものです。簡単に言うと、バスレフ型スピーカーとは、ワインボトルに息を吹きかけると「ボ〜ッ」という音が出るのを利用して、いい感じに低音を出すため方式のことを言います。
スピーカーユニットの背面から出る音を、ダクトの部分でいい感じの音(低音が主)に変化させて、再生する音の帯域を拡大させよう!っていうわけです。まあ、自作スピーカーでも市販スピーカーでも、よくある方式のスピーカーですよね。
ちなみに、前回と前々回作ったスピーカーもバスレフ型のスピーカーです。
なぜこの形になったのか
↑最初は、ワインボトルの側面に穴を開けて、そこにどうにかしてスピーカーユニットをはめ込もうと考えていました。
しかし、曲面になっているワインボトルにどうやってユニットを装着すれば良いのか?僕の頭では、あまりスマートなやり方が思いつきませんでした。
そこで、今回のようにワインボトルの底を切り抜いてしまって、逆さまにするという方法を思いつきました。
んで、今回のワインボトルスピーカーはボトルの口の細くなった辺りが「ダクト」とすることで、バスレフ型スピーカーとして動作してくれる(はず)です。
そして、ユニットは上向きの状態になるわけです。上向き状態だと、少し高音が減衰するらしいですが、これはこれで問題ないはず。そして、低音は床面に反射していい感じに増強されるんじゃないかな?という予想をしました。
使用するユニットはワインボトルの太さと容量的に「5cm」という非常に小型のものを使用するのが妥当だと思われます。小さいユニットは一般的に高音が得意で、低音があまり期待できないと言われています。なので、上向きのユニットと下向きのダクトを組み合わせることで、いい感じのバランスの音になるんじゃないかな?と考えました。(初心者の考えたことなので、間違っていたらごめんね!)
そして、それを実現するために、合板と木の棒をうまいこと使って、3本足で立たせるデザインを思いつきました。3本足なので、安定感も抜群のはず!
また、上向きのスピーカーは「無指向性スピーカー」なんて呼ばれることもあります。つまり、どの方向から聞いてもOKな、方向性のないスピーカーというわけです。
しかし、調べてみたら世の中の無指向性スピーカーは、リフレクターとかデュフューザーとか呼ばれる、いわゆる上向きのスピーカーの音を拡散させる部品がついているのが普通っぽいです。なので、今回作ったワインボトルスピーカーが無指向性スピーカーかと言われると・・・よくわかりません。
まあ、定義はよくわからないんだけど・・・今回のは無指向性っぽいスピーカーということにしてください。
買ったもの
さて、前置きが長くなりましたが、早速スピーカーの製作の話をしていきましょう。
まずは、今回のワインボトルスピーカー製作にあたって、購入した主なものを紹介します。
まずはワイン。
これは近所のスーパーで1200円位のものを買って飲みました。赤ワインと白ワインを一本ずつ飲んだのですが、同じところのワインなので、ボトルも全く同じものでした。
安いワインだけど、なかなか美味しかった!
これはスピーカーの心臓部。スピーカーユニットです。
「HiVi」の「B2S」という5cmのフルレンジユニットです。これを選んだ理由は、値段&なんとなくです。片方2300円位なので安かったです。
今回はうまくいくかどうかもわからないし、リサイクルしてワインの瓶を使う的なコンセプトなので、あまりお金をかけたくありませんでした。
他には、アンプとつなぐためのスピーカーケーブルを接続するためのターミナルです。
これも安くてそれっぽいのをAmazonで探しました。
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他にも内部配線用のスピーカーケーブルや、吸音材が必要ですが、それは以前スピーカーを作ったときの余りを使用しました。また、その他製作に工具などは、基本的には元々家にあったものを利用しました。
あっ!でも木材に関しては、丸い棒だけはなかったのでハンズで買いました。(ラミンとかいう一番安い木の棒です。)板材は、家の木材置き場に転がっていた、以前棚を作るのに使っていたと思われる適当な合板を使用しました。
ワインは普通に飲むために買ったものだから、ノーカンということにして・・・今回は純粋に「スピーカーの部品」という意味では、使ったお金は6000円ちょっとくらいでした。
まあ、けっこう安く済んだほうなんじゃない?
ワインボトルの加工
印をつける
まずはワインボトルを加工していきます。ラベルは水に漬けておいたらいい感じに剥がれました。
油性のサインペンで加工する箇所の印をつけます。
ターミナル用の穴と、底の切り抜くところが決まりました。
穴を開ける
ワインボトルにガラスドリルで穴を開けていくわけですが、その前にリューターにダイヤポイントをつけて軽く傷をつけておきます。こうしておかないと、おそらく狙った場所に穴を開けることができないかと思われます。
ガラス瓶を万力に噛ませて、ボール盤の所におきました。我が家のは卓上ボール盤なので、サイズが小さすぎて多少無理したセッティングとなっております。
↑この部分に水を垂らして、池みたいにして、常に水に触れさせて冷却しながらダイヤドリルを使用します。
↑この白いのは「ひっつき虫」という、練りゴムみたいなアイテムです。これは本来の目的だと、ポスターとかを壁に仮止めしたりするときに使うものなのですが、今回は堤防みたいにして、水を溜めるために使いました。(Youtubeで誰かが似たようなことをやっていたのを真似しました。)
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わざわざ水を使用するのには理由があります。
他の素材であればドリルで普通に穴を開けることができるのですが、ガラスと言う素材は非常にやっかいでして、一気に切削加工をしてしまうと、熱であっという間に割れたりヒビが入ったりしてしまいます。
なので、ガラス瓶に穴を開ける際には、水をつけながら作業を行う必要がありというわけです。
2つのワインボトルに合計4つの穴を開けました。
そしたら、今回は使用するターミナルの部品の関係で5.5ミリの穴を開けなくちゃなりません。しかし、ダイヤドリルは4ミリのものしかありません。
なので、リューターのダイヤポイントを使用して、穴を広げる作業をします。
ピッタリ!
これで、ワインボトルへの穴あけは完了です。
底を切り落とす
次は、ワインボトルの底を切り落とす作業です。
切り落とす箇所にマスキングテープを巻いて、油性マジックで切る場所に線を書きます。
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これ、どうして直接ワインボトルに油性マジックで線を書かないのか?と思うかもしれませんが、実際にやってみると、こうして見やすい色のテープに書かないと、油性マジックの線が非常に見づらいんですよね。(これも、海外の人がYoutubeでやってたのを真似しました。)他にも、多少の衝撃吸収の意味もあるのかもしれません。
切断に使用するのは、ドレメル(ハンドルーター)とダイヤカッターです。ディスク状の刃にダイヤがついている円盤状ポイントを回転させながら当てていくと、あっという間にワインボトルくらいだったら切り落とすことができます。(ちなみに、先程のダイヤドリルでの穴あけや穴広げは、ドレメルだけでもやれますよ。)
ワインボトルの切断方法は先日いろいろと考えたり試したりしたけど、これが一番確実な方法であると思いました。
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台所に移動して、ドレメルにダイヤカッターを装着します。
水道からチョロチョロと水を出して当てながら切っていきます。ちなみにマスキングテープは耐水性ではないのですが、切断する間くらいはなんとか耐えられるようです。
ドレメルも耐水性じゃないはずだけど、なるべく水がかからないように気をつけながら何度かやってみた感じだと、このくらいの作業なら平気っぽいです。(壊れるかもしれないからやるなら自己責任でお願いします。)
それと、台所は水が飛び散るので、水が飛ぶ付近は何かでガードした方が良いと思います。また、顔にも水が盛大にかかるので、防塵メガネ等を必ず装着するようにしましょう。(ひょっとしたら破片などが飛んできて、目に入るかもしれません。)
ダイヤカッターでのワインボトル切断のコツは、回しながら少しずつ切っていくことです。ハンドルーターとダイヤカッターだとびっくりするくらいガラス瓶がよく切れるので、調子に乗りすぎないことです。
急に一気にやってしまうと、最後のところでパキッと割れてしまって、切断面が変な形になってしまう可能性もあります。
3周くらいゆっくり回転させながら作業したら切れました。
慣れたら簡単です。
2つのワインの瓶を切り終えました。
そしたら、120番位の耐水ペーパー(耐水の紙やすり)で切断面を整えます。今回は、この部分は完成時に見える部分じゃないので、大体で大丈夫です。ある程度平らになって、指とかが引っかかっても怪我しない程度に滑らかにすれば良いでしょう。
油性マジックで書いた場所はエタノールをティッシュに染み込ませて拭くと簡単にとることができます。
木材加工
図面作成&貼り付け
次は、ワインボトルやスピーカーユニットを固定するための、木材を加工していきます。
そのために、まずは設計図面を作ります。ワインボトルの大きさと、ハンズで買ってきた直径2cmの木の丸棒にあるように製図します。
手書きだと面倒なので、iMacでIllustratorでやっちゃいました。
基本的な外形は、角丸の正三角形みたいな感じです。そこに、ユニットやワインボトルや木の丸棒をはめ込む穴を開けていくような感じです。
出来上がった図を、プリンターでプリントアウトします。
パソコンソフトでやっちゃうと、サイズも正確にできるし、楽だし、失敗してもデータがあるので良いですね。
板材カット&穴あけ
木の丸棒は家になかったので買ったけど、板材は家にちょうど良いのがあったので、これを使います。
今回使用する板材は厚さ9mmの合板です。たぶんラワンかな?表面とかザラザラしていて、お世辞に質感が良いとは言えませんが、ちょうど良いので使います。ちゃんと丁寧に磨けば綺麗になるはずですしね。
この合板に先程プリントアウトした図面をスプレーのりで貼り付けます。切り終わったら図面は剥がすので、スプレーのりは貼ってはがせるタイプのものを使用しました。
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まずは穴あけ作業です。木の丸棒を通す20mmの穴と、ワインボトルの口側を通すための35mmの穴を開けていきます。
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これらがたまたま家にあったので、使いました。
家にあった木工用ドリルなどをインパクトドライバーに装着して、できるだけ正確に穴を開けます。
ちなみに、家にある卓上ボール盤だと、20mmと35mmの穴を開けるにはパワーが足りなすぎて無理でした。インパクトドライバーみたいにガガガッと強引にいけるような機械じゃないと無理っぽいです。
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綺麗に穴あけできました。
スピーカーユニットネジ止めするときの下穴もこの時に開けておきます。(1.5mmのドリル刃を使用しました。)
次は、ジグソーを使って使用する部分全体を切っていきます。(曲線カット用の刃を使用)
ジグソーは曲線をカットできる切断工具です。ですので、こういう形状のものを切り抜くこともできます。(本当はここまで細かいと、電動糸鋸とかのほうが正確にやれて良いのですが、うちにはないので・・・)
スピーカーユニットや、ワインボトルの底の部分をはめ込む大きな円形の穴も、最初に穴を開けておけばそこにジグソーの刃を通して切り抜くことができます。
とりあえず大雑把な感じですが、なんとかできました。
ジグソーは便利な電動工具だけど、正確な作業はしにくいです。なので、形はあとで綺麗に整えなくちゃならないですね。
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穴を削る
お次はドレメルに木工用のポイントを装着して、先程開けた穴を整える作業をしていきます。
スピーカーユニットをはめ込む穴は、48mmの穴です。きっちりとユニットが装着できるように実際にユニットをあてがいながら微調整していきます。
それと、ユニットを装着する裏側の穴のエッジを削っておきます。こうすると、音質も少し良くなるのだそうですよ。
ワインボトルもピッタリとハマるようになりました。
板材の切り抜きはこれで終了です。
次は接着です。
板材接着
スピーカーユニットを装着する板と、ワインボトルの底を装着する板は、貼り合わせて1つに合体させます。
木工用ボンドをたっぷりと塗って、圧着させます。木工用ボンドは「タイトボンド」というアメリカのボンドが最近お気に入りなので、これを使っていきます。
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クランプを使用して、ピッタリと貼り合わせます。適当な大きさの端材を間に挟むようにすると、スピーカーに使う板材に傷がつかないので良いでしょう。
この時、余計なボンドが垂れてくるので、それはティッシュか濡れた布などで拭き取るようにしましょう。そうしないと、変なところがくっついちゃうかもしれないので。
このままくっつくまで、しばらく放置します。
木の丸棒を加工
接着の間、時間が空くので、その時間を使って木の丸棒の加工をしていきます。木の丸棒は32cmの長さに出来る限り正確に切っていきます。
木の丸棒の切断にはオルファのクラフトのこを使って少しずつ木の棒を回しながらやっていくと、うまくできました。
こういう時は、こういう精密な作業ができる系のノコギリがあると便利だよね。
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木の丸棒の接地面となる部分は、↑のような感じに紙やすりで削りました。
最終的に400番の紙やすりで、棒の側面も含めて滑らかに仕上げました。
板材を仕上げる
しばらく放置したら、ボンドが乾いて板がくっつきました。
内側にはみ出したボンドは乾く前に拭き取ることができなかったので、リューターで削ってしまいます。
これを削らないと、ガタガタしてしまうので、先にうまいことやって拭き取っておけばよかったです。
さて、こちらの三角形の板材も紙やすりで表面を磨いて形を整えていきます。
まずが側面からやっていって、最後は400番くらいの紙やすりで全体を磨いて仕上げとします。
角も面取りして、見栄えと触ったときの質感を良くします。
きっちりと削っていくと、あれだけザラザラしていてジグソーで切ってガタガタだったのが、ものすごく滑らかになります。触るとサラサラします。ちょっと気持ちの良い瞬間です。
磨き終わったら、木材関係の加工はこれで終了です。
次は配線等の作業をしていきます。
組み立て〜仕上げ
ターミナルの装着
お次はターミナルをワインボトルに装着していく作業です。
まず、内部配線用に用意したスピーカーケーブルを適当な長さにカットして、被覆を剥いておきます。ちなみに使ったのはBELDENの8470というケーブルです。
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ターミナルのパーツをバラバラにしちゃいます。
その部品の中で、金メッキされた板みたいなのを卓上万力に噛ませてハンダ付けします。ハンダも一応、音響用のものを使っております。(ケスター44というハンダです。)
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小型のスパナを使って、分解した部品とハンダ付けしたケーブルを組み立てつつ、ナットをしめます。おそらく、あまり力いっぱいにしめすぎるとワインボトルが割れるので、程々にしときましょう。
それっぽくなりました。しかし、この状態だと、グラグラしてしまって、とてもじゃないけど使い物にならない状態です。
そこで、エポキシ接着剤を使用して、ターミナルの根本をガチガチに固めてしまうことにしました。作業時間をゆっくりとれるようにしたかったので、30分硬化型のエポキシ接着剤を使用しました。
表側と裏側のターミナルの根本全体を固めるように接着剤を盛り付けたら放置します。
固まったら、非常に丈夫な感じになりました。これで、バナナプラグの抜き差しなどを普通にやっても強度的に問題ないでしょう。
吸音材を入れとく
エポキシが固まったら吸音材をボトル内に入れておきます。あとで入れることもできますが、なるべくならば、ワインボトルの口が大きい状態のときに入れたほうがやりやすいと思いました。
吸音材は以前のスピーカー製作で使って余っていた「ミクロンウール」を使用します。クラフトハサミで適当な大きさに小さくカットして使用します。
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↑こんな感じで、ふわっと入れとけばOKです。ワインボトルの直径よりもちょっとだけ大きめに切っておけば内部で動いてしまうことも、よっぽどの衝撃が加わらない限りは大丈夫でしょう。
ワインボトルと木材の組み立て
さて、ここまで来たらいよいよワインボトルと加工した木材を組み立てる作業です。
まずは、ワインボトルと2枚重ねにした三角形の板材の接着です。
これは、エポキシ接着剤をたっぷりと使用して固定してしまいます。はみ出るくらいにたっぷり使って、完全完璧に密着させるようにすると良いと思います。
そしたら、他のパーツも組み立てをしてしまいます。木材同士のの接着部分は木工用ボンドで、ワインボトルと接するところはエポキシ接着剤という感じで、2種類の接着剤を使い分けます。
接着剤が固まったらOKです。
やっとのことで、完成のイメージが見えてきました。
塗装
木部は塗装をします。
今回は、家にあった「ワトコオイル」という塗料を使用します。色は「ナチュラル」です。
これはいわゆるオイルフィニッシュと呼ばれる木材の塗装の一種ですね。木材に油を染み込ませて、いい感じの表面に質感を得るためのものです。
また、ワトコオイルの場合、染み込んだあと重合作用によって固まるのだそうです。なので、ある程度木材の表面を硬くするような効果もあると考えられます。
ちょっと独特な匂いがするけど、美しい仕上げ面が得られるので、けっこう好きですよ。ワトコ。
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また、ワトコはオイルなので、普通の塗料と違ってガラスには塗装できません。なので、それを逆に利用して、今回はできるだけ作業を簡略化するためにも、組み立て後に塗装をすることにしました。
多少、ワインボトルにワトコが付着してしまっても、布で拭けば取れますので。
細い刷毛でワトコをムラなく塗っていきます。
ワトコは時間が経つと、勝手に木材に染み込んでいくので、そんなに神経質になる必要もないでしょう。
↑濡れたようになると、合板の断面が綺麗です。
もっと丁寧に面を仕上げるのであれば、ワトコで濡れた状態で400番程度の紙やすりをかけていくと良いのだそうです。しかし、今回は形状が複雑なので止めときました。普通に塗るだけです。
陶芸用の回転台に乗せて、回しながら塗っていくと楽です。
左右の2つのスピーカーにワトコを塗り終わりました。
このまま15分〜30分ほど放置します。今回は、季節的に寒いので長めに待ったほうがいいかな?と思ったので、30分待ちました。
30分後、いらないボロ布を用意して、ワトコを塗った箇所全体を拭き取っていきます。
すると、余計なワトコがとれます。そうやって、全体を拭き取り終わったらOKです。
本来であれば、このまま12時間〜24時間乾燥させれば、ワトコオイルによる塗装は完了なのだそうです。
しかし、触っても、(見た感じは)手に塗料がついたりしないくらいに表面が乾いているように見えます。匂いはつくけどね。
なので、ここまで来たら早く完成させてしまいたいので、最後の作業、「スピーカーユニット取り付け」をしてしまうことにしました。
スピーカーユニット取り付け
次はいよいよ最後の仕上げです。スピーカーに心臓部であるユニットを取り付ける作業です。
スピーカーユニットは木ねじで固定しますので、あらかじめ下穴を開けてあります。
まずは、ユニットに付属していた、両面テープ付きの薄いスポンジみたいなやつを貼り付けます。これは、ユニットとエンクロージャーを密閉するために必要なものですね。
そして、ワインボトルの中にしまってあったスピーカーケーブルを引き出して、ユニットにハンダ付けしてしまいます。
僕は個人的にハンダ付けに慣れているから、ハンダ付けでやっちゃったけど、自信がない人はファストン端子とかを使えば、ハンダ付けなしで簡単にやれるのだそうですよ。あとでユニットを別のものに交換するのも容易になります。
左右のユニットをハンダ付けしたら、穴に収めます。ピッタリです。
今回買ったHiViのスピーカーユニットにはネジが付属していません。なので、近所のホームセンターでそれっぽいネジを探して買ってきました。黒い色のなべネジです。
ネジを下穴に差し込んで、しめていきます。これは、4つのネジを対角線上に少しずつやっていくとうまくいきますよ。
インパクトドライバー等で一気にやっちゃうと、締めすぎてユニットの板が変形してしまうかもしれないので、面倒でも普通のドライバーで手で回していくほうが無難だと思います。程よいところで止めないと、ネジ穴も潰れてしまうかもしれませんしね。
きっちりと隙間なくネジを締めることができたら、完成です。
完成
外観
やっとのことで完成しました。
表面の処理はけっこう真面目に綺麗にやったので、なかなかに美しい感じにできたと思います。400番の紙やすりで最後は削ったので、指で触るとサラサラしていて非常に気持ち良いです。
適当にその辺にあった合板を使ったわりには、断面なんかも綺麗にできたと思います。
ワインボトルを再利用しているので、スピーカーユニットや配線などが丸見えです。普通だと、スピーカーの中身なんて見えないからおもしろいよね。
後ろから見るとこんな感じです。ターミナルが目玉みたいな感じでついています。
完成したこのスピーカーを見たうちの奥さんに、「具が入ったおにぎりみたい」と言われたことを僕は一生忘れない。
微調整
音質については、このあと書きますが、音を鳴らしてみて少し低音が過多な印象だったので、ダクトの部分に細く切った吸音材を詰めてみました。ギュウ〜っときつく詰めたわけじゃなくて、ふわっと差し込んだような感じです。
こういうバスレフスピーカーのダクトに吸音材を詰める方式のことを「ダンプドバスレフ」と言うんだそうですよ。これも、一応その「ダンプドバスレフ」になってしまったってことなのかな?
音質について
最初、アンプを繋いで音を出した瞬間「うおっ低音めっちゃ出てる!すごい!!・・・いや、これいくらなんでも出過ぎなんじゃ?」みたいな感じで、5cmのユニットを使っているとは思えないほどの低音が出ていました。
これは、低音不足を心配していた僕にとっては嬉しい誤算ではあったのですが、正直いってボワンボワンしすぎていて、聞けたもんじゃない感じでしたね。
それが、ある程度音を鳴らしていたら、落ち着いてきていい感じになってきました。やっぱり、スピーカーはある程度慣らし運転しないと、ダメなんですね。
しかし、それでもまだまだ低音過多な印象だったので、いろいろと吸音材を入れたりして試行錯誤しました。
そして最終的に、先程のようにダクト部分に吸音材を詰めたらいい感じになったので、これで一応最終決定ということにしました。
すでに数日間毎日使っていますが、非常に締まった印象の低音が出るようになりました。
上向きのユニットだからと言って、高音や中音が不足する印象もなくて、フラットな音ではないと思うけど、わりとバランスの良い音になった気がします。
いろいろな場所に置いてみて音を確かめてみたのですが、Macの横においてPCスピーカーとしても使えますね。これ。
サイズ感もiMacとピッタリです。5cmという小型のフルレンジユニットを使っているせいか、比較的近い距離で音楽鑑賞しても違和感なく聴ける感じです。
上向きにユニットがついている無指向性スピーカーっぽいスピーカーなので、横から聞いてもそれなりに聞こえるのが、今まで使ってきたスピーカーと違う感じでおもしろいです。新鮮です。
その分、音量を上げると、他の部屋とかにもけっこう音が響いちゃうからこういうタイプのスピーカーは集合住宅に住んでいる人は音量に気をつけた方がいいかもです。
また、おもしろいのが普通のスピーカーとは音の空間の雰囲気が違うって所ですね。言葉じゃ表現しにくいけど・・・上を向いているせいか、広がり感のある音のように聞こえます。
しかしながら、小口径フルレンジユニットの恩恵なのか、音の鳴っている位置などははっきりとわかりやすい感じです。それでいながらも、広がり感のある音なわけだから、ちょっと不思議な感じです。人によっては好き嫌いある音かもしれないですね。
それと、やはり低音がいい感じですね。曲や楽器によるけど、すごく実体感のある低音が出てる感じがします。小さなユニットを使っているのに、低音が不足する感じがないです。むしろ最初多すぎたのが誤算だったけど、なんとか落ち着いて良かったです。
小さなユニットから出る低音だけあって、ちょっとこじんまりした印象もあるけど、逆にそれが楽しい感じです。大きなユニットを使っているスピーカーでは味わえない音だよねと思いました。
今のところ、曲のジャンルは何でもイケる感じです。何でもイケるけど、特に空間表現が豊かなスピーカーなので、エレクトロニカとか流すとすごいおもしろいです。
とりあえずは今のところの音の感想はこんな感じですね。また気づいたことがあったら追記します。
自分で作ったから・・・ということで思い入れ補正もあると思うけど、いい感じにできてよかったです。
まとめ
以上が、ワインボトルで作ったスピーカーについてでした。
心配だった低音もちゃんと出てるし、ユニットが上向きでも普通に聴ける音が出てます。
ちなみに、このスピーカーを寝かせて、普通のスピーカーみたいにユニットをこちらを向かせると、途端にバランスが悪くなります。やはり、このスピーカーはユニット上向きでダクト下向きが一番良いようです。
正直な所、こんなのでまともな音が出るスピーカーが出来上がると思っていなかった部分もありました。何しろ、素人の自分が一から考えて作ったスピーカーですからねえ。
実験するような気持ちで作ってみました。
ワインボトルでスピーカーが作れるってのは本当だったんだ!
なぜかいい感じにちゃんと音楽が楽しめるスピーカーが完成して嬉しかったです。