実は先日Amazonで↑このようなものを買ってみました。
900円でした。
・・・袋に入ったままだとナニコレ?という感じですよね。
ビニールの袋を開けて中身を取り出すと何やら電子基板のようなものが出てきました。
これ、いわゆるアンプボードと呼ばれるものです。
簡単に説明してしまうと、(パッシブ)スピーカーを鳴らすために必要な機械であるアンプの中に入っているメインの部品です。
つまり、この電子基板に電源とスピーカーを接続すればそれだけでスピーカーから音を出すことができるのです。
もう少しアンプとしての実用性を考えるのであれば、簡単な電子工作をして電源スイッチなどやターミナル等を取り付けてしまえば、インスタントな手作りアンプの完成です。
このアンプボードがあれば、お手軽に自作アンプ工作を楽しむことができるというわけです。
おそらく、ネットで売られている安価なデジタルアンプの中にはこういう感じのアンプボードが組み込まれているのだと思います。アンプボードのメリットとしては、基盤だけの状態で売られているわけなので、完成品のデジタルアンプよりも値段がかなり安いものが多いというところでしょうか。
Amazonでアンプボードと検索するとこういった製品がかなりの量出てきます。こういうものが存在するということを知ってからと言うもの、ずっと気になっていました。
なぜなら、おもしろそうだから!
てなわけで、今回はこのアンプボードを組み込むケースを制作して、そのケースにアンプボードを取り付ける作業をしていくことにしましょう。
<目次>
なるべく節約&簡単に自作アンプを作ってみた
実は最近、スピーカーを作りすぎて数的にずいぶん増えてきました。家に、アンプにつながっていないスピーカーが何台もあるので、その分だけアンプも数が欲しかったのですよねえ。
だけど、アンプを買うのもそれなりに先立つものが必要です。
その点、アンプボードを利用してアンプを作れば安価にアンプが手に入るし、DIY意欲も満たすことができるので一石二鳥ですね。
まさに節約オーディオです。
まあ、アンプボードを組み込むだけの作業になるので、本当の意味での自作アンプとは言えないかもしれないです。お手軽なので、ケースさえ用意できるのであれば、僕みたいな初心者にはおすすめではあるとは思います。
将来的には一から真空管アンプとか作ってみたいなあ。
入手したアンプボードについて
このアンプボード。よく見ると汚れとか目立ちますし、(直したけど)コンデンサなども傾いていてお世辞にも完成度が高いとは言えません。まあ、900円という激安価格だったら仕方ないクオリティなのかな。中華製品だし。
HiLetgo YDA138 2 * 10W デュアル チャンネル デジタル アンプ ボード パワーアンプモジュール DC 9-14V [並行輸入品]
- 出版社/メーカー: HiLetgo
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しかし、こう言っちゃ何だけど__ちゃんと音が出るのだろうか・・・
商品ページには部品を交換したり等、いろいろ工夫したり改造するとかなり良い音が出るアンプボードであるというレビューもありましたが、 今回は特別な改造はしない予定__です。
YDA138というICチップが使われているようです。これ、YAMAHAのものだそうです。
サイズ デジタルオーディオアンプ 鎌ベイアンプ 2000リビジョンB ブラック 4系統入力 SDAR-2100-BK
- 出版社/メーカー: サイズ
- 発売日: 2011/02/24
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↑このあたりのデジタルアンプもYDA138が使われているようです。
また、YDA138が使われている製品で、基盤に電子部品を自分でハンダ付けしなくちゃいけないタイプの商品も売られているようです。
YAMAHA製 YDA138 デジタルアンプ自作キット リターンズ 2018-2019 Ver.
- 出版社/メーカー: NFJ
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いつかこういうのにも挑戦してみたいですね。既製品のアンプを買うよりもロマンを感じます。
どんなケースを作るのか?
実際のところ、わざわざケースを自作などせずとも、市販されている何かの箱などをうまいこと利用してこのアンプボードを組み込むことも可能です。Amazonでレビューを見てみると、タッパーやブリキ缶にアンプボードを入れてアンプとして使っている人もいるようです。
ですが、やるのであればある程度のオリジナリティは欲しいところだなとも思っちゃうんですよねえ。せっかくなら世界にひとつだけのアンプがいいよね。
そこでDIYして自分でオリジナルのケースを作っていくわけですが、できるだけサクッと簡単に、そして見栄え良く箱を作っていきたいところです。
てなわけで、個人的に加工に慣れている銅板と合板を使ってケースを作ってみることにしました。
実は最初は金属だけでケースを作りたかったのですが、それだと製作難易度がかなり上がってしまいそうでした。
もちろん、アンプの中身もそれなりの高音質が約束されているものであれば、それだけの手間をかけてケースも作りたいです。でも今回は非常に安いアンプボードを使うわけなので、あまり手間をかけすぎたくはありません。
そこで、他に木の板(合板)なども併用して簡単にアンプボードを組み込むことができるケースとして組み上げる方法を考えました。この方法でやれば、かなりシンプルな構造になるので、良いと思います。
作業内容としても面倒な工程は極力省く方向で工程を考えました。そのために音質的な意味では犠牲になっている部分もあるかもですが、失敗の可能性を減らして簡単に作業をこなすことを優先しました。
用意したもの
今回用意したものについて一度説明しておきます。
HiLetgo YDA138 2 * 10W デュアル チャンネル デジタル アンプ ボード パワーアンプモジュール DC 9-14V [並行輸入品]
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まずは、メインの材料であるアンプボードです。
ボリュームツマミ付きで、音声出力に関してはスピーカーケーブルを挿せばそのまま使えるタイプです。しかし電源と音声入力は別パーツが必要だったりするので、実際に使用するためには多少の工作が必要だったりする製品だと思います。
それと、このアンプボードにはイヤホンジャックがついていて、ヘッドホンアンプの機能もついているようですが、今回は使わない(使えない)感じでケースに組み込みます。(そもそもこのイヤホンジャック、自分では試していないですがレビューを読むと、LRが逆に取り付けられているそうです。)
↑アンプボード以外で用意したものです。トグルスイッチ、ステレオジャック、ターミナル、DCジャック、ACアダプターです。
ステレオジャック(ミニジャック)は音声入力用です。ここに3.5ミリのmini to miniケーブルを挿して音楽プレイヤーなどと接続します。
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スピーカーケーブルを簡単に接続するためのターミナルは安価なプッシュ式のものを選びました。 見た目的にもプラスチックでできた安っぽいやつです。
uxcell スピーカーターミナル プッシュ式 プラスチック 4位 スピーカー端子台 2個入り
- 出版社/メーカー: uxcell
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電源の入力のためのDCジャックはまとめて買ってもバラで買っても同じくらいの値段で安かったので、10個入りのものを買ってみました。こんなに大量に買って、全部使いきる日がくるんだろうか。
10個 DC022 2.1x5.5mm PCB マウント 取り付け DC 電源 ジャック ソケット ブラック
- 出版社/メーカー: GAOHOU
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今回のアンプボードの場合、ACアダプターは9〜14Vのものであれば使えるっぽいです。(12Vのものを選びました。)なので、家に使えそうなACアダプターが余っているのであればわざわざ買わなくて大丈夫ですね。(これが今回買った物のなかで一番高かった!ていうか、今になって思えば、ハードオフとかで探せば節約できたかも・・・)
- 出版社/メーカー: AEGOOL TECHNOLOGY CO.,LTD
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電源用のスイッチにはトグルスイッチを選びました。世の中にはいろんなスイッチがあるわけなのですが、トグルスイッチはカッコイイから好きです。カチカチ感も気持ち良いです。
実は、このトグルスイッチだけは、たまたま東急ハンズで買い物をしていて見つけたので買ってしまったのですが、あとで調べてみたらネットで買ったほうが安かったですね。
uxcell AC 125V 6A 3ピン SPDT On/Off/On 3ポジション ミニ トグルスイッチ 5個入り
- 出版社/メーカー: uxcell
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今回のアンプ自作で購入した部品は合計で3000円以下の値段でおさまりました。ケースそのものの材料は家の材料置き場に余っているものを使うので実質無料です。
やはり、ACアダプターをなんとかすればもう少し節約できましたね。
作業工程
ここからはアンプのケース制作とアンプボードの配線などの作業について説明していきます。
土台を作る
まずは適当なサイズのシナ合板を用意して丸ノコで切ります。
切れました。
この3つの合板がアンプボードとケースの土台となる部分となります。
↑完成時の部品配置のイメージ的にはこんな感じです。
前面と背面は銅板をちょうど良い大きさに切りスイッチやターミナルを通す穴を開けてパネルを作り、貼り付けます。天井と側面部分はコの字に折り曲げた銅板をかぶせるような感じでネジ止めして仕上げる予定です。
合板の接着は木工用ボンドで行います。ボンドを接合面に均一に塗ります。
貼り合わせた後、ハタ金で固定します。ボンドがはみ出た部分は濡れたウエス(ボロ布)等で拭き取り、乾くまで放置します。
ボンドが乾いてハタ金を外したら、土台部分の出来上がりです。
銅板を切る
銅板の加工をして、前後のパネルと天井側面部分を作っていく工程に入ります。
1mm厚で(切れば)ちょうど良いサイズの銅版がありましたのでこれを使うことにします。
少し余談なのですが、本当はこういう加工をしていく際には純銅の板ではなく、真鍮の板のほうが良いのですよね。なぜなら銅という金属は柔らかいけども非常に粘っこい金属でして、切ったり削ったりする加工が少しやりにくいのです。
その点、真鍮という金属はサクサク削ることができますから、今回のような加工をする際には向いています。
ところが、真鍮でたまたまちょうど良いサイズの板材が家に無くてですね・・・まあ銅板でもいいかなと思い直して銅板を使用することに決めました。
世の中には純銅を使用した高級な音楽プレーヤーとかもありまして、なんでも筐体に銅を使うことで音質にも影響があるのだとかなんとか・・・と言うような感じの話もあるので、銅板でできたアンプというのもこれはこれでオーディオっぽくて良いのではないでしょうか。(たぶん今回みたいな感じで銅板を使ったからって音質には関係ないと思いますけど。)
さて、話がそれましたが、まずは用意した銅板をちょうど良い大きさに切っていく作業です。
ケガキ針で切る所に印をつけます。ケガキとは鉄製の針のような工具で、これでひっかくことで金属を切る場所などに印をつけることができます。
銅板を糸鋸で四角い形に切っていきます。
もちろん銅板は糸鋸で普通に切れるのですが、やはり真鍮板と違って銅は粘るのでちょっとむずかしいですね。
銅板切れました。
切断面は多少ガタガタしているので、サッとヤスリをかけて形を整えます。
試しに前面と背面のパネルを土台部分に合わせてみました。ピッタリですね。
大きさ的には問題なさそうです。
最終的には↑この一番大きい銅板を折り曲げる加工をしていくことになります。
銅板の穴あけ
ネジ止めする場所と、アンプのスイッチやボリュームやターミナルなどを通すための穴を開けていきます。
まず、ケガキで穴あけの箇所の印をつけます。これ、ケガキコンパスとも呼ぶのですが、カニの手みたいになっている部分はコンパスとして使用することができます。
穴あけをする箇所にはセンターポンチを打ちます。
↑ケガキ&センターポンチ終了。
ボール盤を使ってセンターポンチを打った場所にドリルで穴を開けていきます。
ネジ止めのための穴は2.5mmのドリル刃を使用しました。
センターポンチの場所をしっかりと狙ってゆっくりと穴あけをすれば簡単に穴を開けることができます。
ただし、問題は大きめの穴開けが必要な箇所 です。あんまり大きめの穴だと、この小型のボール盤だとパワーが足りなくて穴が開けられないんですよねえ・・・特に銅の板のような粘っこい金属は難しいです。
なので、今回の場合、直径6mm以上の大きな穴を開けるところは、ドリルと糸鋸を併用して穴を開けることにしました。穴あけが必要な箇所に、ノコ刃が通るくらいの小さな穴を開けて、そこにノコ刃を通して銅板を回しながら切れば大きな穴も開けることができます。
↑というわけで、糸鋸の刃を通すことができる程度の穴ということで、何箇所か1.5mmの穴を開けました。
ボール盤での穴あけは完了です。
裏側はバリが出ていて、触ると痛いし糸鋸で切り抜く作業のときも邪魔になります。↑なので、ヤスリでバリを軽く削り取りました。
1.5mmの穴に糸鋸の刃を通して、細かく回しながら丸く切りぬいていきます。コツとしては、焦らずにゆっくりと細かく上下させながら左手で銅板をゆっくりと回していけば上手くいきやすいです。どちらにしても糸鋸で金属板正確に切っていくのは少し慣れが必要かもしれませんね。
背面パネルのターミナルの部分は長方形の穴を開ける必要があります。こちらも丸い穴と同じく、小さな1.5mmの穴にノコ刃を通して切っていきます。これも直角に銅板を回しながら切り抜くためにはちょっとした慣れが必要かもです。
以上で穴あけ完了です。
穴の位置間違えた
穴あけした箇所は部品がちゃんと通るか確認しつつ、ヤスリで軽く形を整えます。
では、試しに部品を仮組みしてみましょう。作業ごとに間違っていないか確認していくのは大事ですからね。
うんうん!いい感じ・・・あれ?
アンプボードのボリュームのところが上手く入らないなあ・・・
なん・・か穴の位置が合ってな・・・・い?
うわ〜っ!穴の位置間違えてる!!
数ミリほど、穴の位置がずれていました。大失敗です。しっかり穴の位置を確認しながらやってたつもりなのになんで間違えたんだろう?
はあ・・・でも、こういう初歩的なミスって、けっこうやっちゃうんですよねえ・・・
・・・
・・・
・・・
はい!てなわけで気を取り直してすぐに作り直しました。
今度こそピッタリです。
表面を磨く
いろいろありましたが、今度こそ完璧にケースのパーツの大まかな部分は出来上がったということになります。
次は、これらの表面を見栄えが良いように少し削ります。
木製の土台部分は紙ヤスリで軽くバリなどを削ります。
最終的に裏返しにしないと見えなくなる部分なので粗い紙ヤスリでササッとやりました。そこまで頑張る必要はありません。
銅の部分はヘアライン加工っぽくしていきます。「ヘアライン加工」と言っても60番くらいの粗い紙ヤスリ一定方向に表面を削るだけの簡易的なやり方なので、非常にテキトーな感じです。
小さめにカットした紙ヤスリに消しゴムに巻きつけて削るようにすると、程々にいい感じに効率よく作業を行うことができます。
↑こんな感じになりました。
手作り感あふれる感じです。
銅板を曲げる
側面&天井部分の大きな銅板は、「ベンダー」という道具を使って銅板を曲げます。
これが我が家のベンダーです。HOZANの非常に小型で机にクランプで取り付けられるタイプの簡易的なものですが、1mm厚の銅板程度ならばそこそこきれいに曲げられるくらいの性能があります。
使い方は簡単です。
まず、銅板を挟み込むようにしてセットします。僕は、このベンダーを使う時は板を挟んだ部分は小型のクランプでさらにガッチリと固定するようにしてます。そのほうがしっかり曲げることができる気がするので。
そして、取っ手をぐいっと持ち上げると、銅版が直角に曲がります。非常にシンプルな仕組みの道具ですね。
↑両端を曲げて、銅板をコの字型にしました。
↑仮組みするとこんな感じ。ここまで来ると、完成のイメージが見えてきた気がしますね。
銅板を曲げた部分は角に少し丸みがありますが、このベンダーで1mm厚の銅板を曲げたらこんなもんだと思います。
少し失敗してしまったのが、見た目だとわからないですが、実は銅板を曲げる位置の目測が少しずれたようで、左右の銅板と合板の側面の隙間が少しだけ開いてしまっています。(大体0.5mmくらい)このままの隙間が開いた状態で銅板をネジ止めしてしまうと、変に銅板が浮いてしまう可能性が高いです。
なので、コの字の銅板を取り付けるときに、隙間に何か入れてピッタリと固定できるようにしたいと思います。
銅板の表面は経年で変化していく
銅板の加工に関しては以上で完了です。
最後に補足説明として銅の表面の処理についてなのですが、銅を加工する場合、本来であれば仕上げにメッキをかけたり、黒染め(硫化仕上げ)したり、表面に透明な塗料を塗ったりなどをする場合が多いんですよ。そう言った銅の表面が空気に触れないようにする表面処理をしないと、素の銅はすぐに酸化して色が変色してしまいますので。
でもまあ、今回は自分の趣味で作る(中身が)安価なアンプなので、そこまでしなくてもいいかなと言うのが正直なところです。それに、あえて何もしないことで徐々に酸化して金属の色が変わっていくのも楽しかろうと思います。
アンプボードの足を作る
アンプボードは合板で作った土台部分にネジを使用して固定します。
しかしその際には基盤の四隅にスペーサーのようなものを配置して、足みたいにしてその上からネジを締めていくことになります。
使用するスペーサーは真鍮製の直径5mmのパイプを短く切って作ります。
真鍮パイプの切断にはパイプカッターを使います。パイプカッターとは、その名の通りパイプを楽に切るための工具ですね。
パイプの切断って意外と厄介で、ニッパとかで切ると潰れちゃうし、糸鋸なら潰さずに切断できますがきれいに平らに切るのは工夫が必要だったりします。なので、パイプカッターは一家に1台あると本当に便利です。
使い方は簡単!パイプカッターに真鍮パイプをセットして、パイプを固定しつつパイプカッターをぐるぐると回すだけですね。
回しながら徐々にパイプカッターのツマミを締めていくとパイプがポロッと切れます。
長さ4mmくらいの長さで4つ切りました。これをアンプボードの足として使用します。
パネルに部品を取り付ける
やっとのことで部品が全部出来上がりましたので、組み立てる作業をしていきます。
まず、フロントパネルにトグルスイッチとステレオジャックを取り付けました。
銅板の穴に通して、付属のナットを締めるだけです。
背面のパネルにはターミナルとDCジャックを取り付けます。
DCジャックは付属していたナットを普通に締めるだけで取り付けることができましたが、ターミナルは何も付属していなかったので、こちらで用意したネジとナットとワッシャーを使用しました。
と言っても家にあったネジを使っただけなので、ちょうど良さそうなのがちょっと長めのネジしかありませんでした。でもまあ、特にどこかに当たったりしないっぽいので、使用上は問題ないでしょう。
部品を2枚のパネルに取り付けたらば、それを合板の土台に貼り付けます。
小さな木ネジを合計8個締めて取り付け完了です。
合板の土台に木ネジで取り付けるだけなので非常に楽ですね。(もしも金属板で土台を作っていたら、正確な場所にネジ穴を作ったり、精密に曲げたりしないとしっかりしたものが作れないので作業がすごく大変になっていたと思います。)
次の作業はいよいよ今回の主役のアンプボード周辺の作業ですね。
配線について
配線に関しては、あまり複雑なことはやりません。僕自身、電子工作に関しては初心者ですので。
なので、アンプとして使用できる必要最低限のことができるだけの感じの仕上がりになるように配線をします。
内部配線用に使用するケーブルは以前秋葉原に行ったときに買っておいた、BELDENのケーブルを使ってみます。細くて銅に錫メッキされている線が入っているケーブルなので、ハンダ付け作業もわりとスムーズに行うことが出来ます。
どこに何をつなげればよいかという話ですが、↑アンプボードの裏側を見るとどの部分がどういった役割を持っている部分なのかわかります。
で、それを見た上で考えた配線の図は↑このような感じになります。
何度も書きますが、今回は、基本的には出来る限り楽に仕上げる方向で作ろうと思っています。ですので、音声の入力出力は使いやすいようにステレオジャックとターミナルに配線を伸ばしただけです。
冒頭でも書きましたが、このアンプには元々イヤホンジャックもついていて、ここに接続するとヘッドホンアンプとしての機能も使えるようですが、おそらく個人的にこのアンプではそういう使い方はしないので、今回は何もつなげません。なるべくシンプルに、スピーカーを動かすためだけの機能に絞った配線をします。
唯一手を加えるのは電源周りですね。ここはトグルスイッチを途中につなげることで、アンプの電源のON-OFFを操作することができるようにします。さすがに最低限これくらいの機能はないと、アンプとして使うには不便になってしまいますから。
また、このアンプボードの音声出力はケーブルを差し込んでネジを締めるだけでケーブルを接続できるようになっています。電源部分も一応同じ仕組みでケーブルを挿せるようになっていますね。
それと、音声入力の部分に関しては、3本の金属製のピンがついていて、何か別のコネクタを使用してケーブルを接続するような仕様になっているようです。
本来であれば、ハンダ付けされているこれらの接続部分の部品を取り外して、基盤に直接ケーブルをハンダ付けして取り付ける方が良いと思います。その方が見た目的にも音質的にもスマートだと思いますから。
しかし、今回はなるべく楽に仕上げたいということと、ハンダを除去する際に基盤を壊しそうで怖かったので、ネジ止め式のケーブル接続部をそのまま使ってしまうことにしました。その方が、普通にケーブルを差し込むだけでできるので簡単です。
とまあ、そんな感じの方向性で配線をやっていきつつ、アンプボードをケースの中に収めて固定していく作業をこれからしていきます。
配線&アンプボード取り付け
さて、まずアンプボードをケースに収める前に、下準備をしていきます。
取り付けの前に、電源関係の配線の接続部分の周囲を少し削っておきます。この部分は箱に収めるとピッタリ側面に沿ってしまう部分なので、あらかじめ凹みを作っておいて、ケーブルを通すことができるよう隙間を作っておきます。
↑電源と音声出力にケーブルを差し込み、ネジ締めして、ケーブルを固定します。
↑音声入力の部分は垂直に出ている3本のピンに直接ハンダ付けして、3本のケーブルをつなげてしまいます。
↑程よい長さにケーブルをカットして、↑こんな感じになりました。
ケーブルの色を何種類か使っているのは、プラスとマイナスやLとRとG等を間違えないようにするためです。また、ケースに収めたときの見た目がこんがらがらないように、まとめれそうなところはケーブルをねじってあります。
この状態のアンプボードをケースに収めていきます。
アンプボードを設置する箇所に、先程作った真鍮製のスペーサーをセットします。
スペーサーがアンプボードの四隅にくるように場所を調整しながらアンプボードをそっと置きます。
アンプボードの四隅には穴が開いています。この穴に木ねじを四隅の穴とスペーサーに通して、木ネジを締めて固定します。
スペーサーがあることで、基盤の裏面の突起部分が床面に接触しないように、アンプボードを固定することができるというわけです。
前面のパネルからニョキッと出てきているボリュームは表側からナットをしめます。これで、ボリュームとアンプボードは完全に固定されます。
固定されたボリュームのノブにツマミを差し込みます。やはり、ボリュームのツマミがつくと一気にアンプっぽさがでますね。
あとは、ミニジャック、トグルスイッチ、ターミナル、DCジャックにケーブルをハンダ付けすれば完了です。それぞれの入出力の対応している箇所にハンダ付けすれば良いだけなので簡単ですね。
コツとしてはあらかじめ予備ハンダをしておくことです。あらかじめハンダを端子やケーブルに付着させておけば、それをピンセットなどで固定しながらハンダゴテで溶かすだけでくっついちゃうわけなので、作業が非常に楽です。
全ての配線が完了しました。シンプルな雰囲気になりましたね。
完成まではあと一歩の状態ですが、今の段階でも音そのものは出る状態になったはずです。
蓋を閉じる
仕上げにベンダーでコの字に曲げた銅板で蓋をしてネジ止めをすれば完成となります。
微妙に左右に開いてしまっている隙間は、内側に適当な大きさ厚さのワッシャーを接着剤で貼り付けることで対処しました。少々不格好ですが、完成すれば見えなくなる部分ですし、ワッシャーを貼り付けることでネジ穴付近がきっちりと固定されるのでむしろ良かったかもしれません。
ワッシャーを貼り付けた接着剤が乾いたら本体にかぶせます。
側面に開いた片方3つずつのネジ穴に、木ネジを合計6箇所締めます。
ネジを一つずつ一気に締めてしまうと、うまいことまっすぐに取り付けることが出来なかったりします。なので、6本全部の位置を決めて、仮止めみたいに少しだけネジをねじ込んだ後、対角線上のネジを交互に全体に均等に力が加わるように締めていくと、変に傾いたり偏ったりすることなく綺麗に装着することが出来ます。
ネジを締め終わりました。以上で作業完了です。
なかなかアンプっぽい雰囲気になりましたね。これで、ちゃんと音が出れば文句無しで成功です。
完成
やっとのことで完成しました。
表からは見えない部分では合板などを使用していますが、外観は完璧に銅板だけで出来ているように見えるように作りました。
手作り感もすごいけど、節約オーディオの割には高級感がでたような気もします。
↑後ろから見たところです。
ターミナルは安いものを選んでしまったのですが、ここまで外観が金属ならば、いっその事、もっと高級っぽい金メッキされた製品を選んで取り付けてしまってもよかったのかも・・・
今回、銅板には何も表面処理をしていません。なので、時間が経つとどんどん酸化して色が変化していくのですが、こうして見てみるとすでに色が茶色っぽく変化し始めている箇所がありますね。特に手で触った場所は手脂ですぐに変色してしまいます。
まだまだ完成したばかりで金属の色が生っぽいですが、もう少し使い込んでいけば色味も安定して渋い雰囲気になっていくでしょう。
底面から見ると、銅板をかぶせただけというのがバレバレなので、あまり見せたくない感じです。
音声入力のステレオジャックや、トグルスイッチ、ボリュームつまみなどは、雰囲気的には結構いい感じな気がします。全部金属感あって素敵感あります。
トグルスイッチ。上がONで下がOFFです。
ツマミはアンプボード付属のものをそのまま使っただけですが、激安アンプボードの付属品のわりにはアルミ削り出しっぽい見た目なのでかっこ良いです。
背面側のターミナルは、押すとケーブルを挿入する穴が開いて、ケーブルを挿し込んで離すと固定される簡易的なタイプのものです。バナナプラグなどは使えないので、使い方によっては少し不便かもしれませんね。
今回取り付けたDCジャックには2.1x5.5mmのACアダプターのプラグが使えます。
外観に関しての説明は以上のような感じですかね。
なるべく簡単に、そして金をかけないでケースを作ろうと思って作り始めたわりには、思ったよりもそれっぽい仕上がりになったので良かったです。
数ヶ月くらい経てば、銅板が酸化して落ち着いた色合いになっていくと思われるので、また印象も変わっていくかとおもいます。
音質について
最後にこのアンプの音質についてです。
というか、そもそもちゃんと音は出たのか?という話ですが、結論から言うと音はちゃんと出ました。
やはり音が出た瞬間はホッとしますね。これが、自作系オーディオをやるときの最大の楽しい!嬉しい!という瞬間でしょうね。
てなわけで、音出しをするためにいろいろセットするところから・・・
ターミナルにスピーカーケーブルを、DCジャックにACアダプターのプラグを挿し込みます。
ステレオジャックにはiPodに接続したDockケーブルを接続しました。とりあえず音質チェックだけなのでシンプルな構成で。
トグルスイッチを上にカチッとやって電源をONにします。
そしてスピーカーケーブルを先日作ったウイスキーボトルスピーカーに接続してみました。これで、音が出る状態になりました。
さて、この状態でiPodに入っているいろんな曲を聞いてみた感想ですが、正直言ってあまり良くありません。なんというか・・・空間が薄い感じの音?って感じ。
けっこうガッツリ低音は出るのですが、むしろこのスピーカーとの組み合わせだと低音過多な印象もあります。相性的にもよろしくないのかもしれませんね。(と言っても、後で別のスピーカーにも接続してみたけど同じような印象でしたけど・・・)中華系の安価なデジタルアンプって感じの音です。
音量は少しツマミをひねっただけでかなり出るので、パワーはそれなりにあるっぽいです。
まあ、900円のアンプボードをそのまま使って作ったアンプだとこんなもんなのでしょう。
おそらく、コンデンサーを取り替えたりとか、ケーブルの接続部をもっとこだわったり、振動対策をガッツリやったりとかして、もっとこだわれば印象は変わるんだろうなあとは思います。オーディオは細かい部分のこだわりの積み重ねで音質をアップさせていくものですから可能性は十分に感じられます。
そうですね・・・今の感じだとYoutubeとかを流し見するくらいの用途だったらちょうど良い、十分な音質だと思います。
(ある意味で)期待通りの結果でした。
まとめ
ケースを作ってアンプボードを組み込んだだけの初めてのアンプ製作は一応成功です。元々安いアンプボードなのでそこまで音質に期待していたわけではないし、音が出ただけでも素直にすごく嬉しいです。
もっといろいろこだわれば良くなりそうな気もするんですけどね・・・肝心の音に関しては惜しかったです。
てなわけで、あまり音質的には満足できる結果ではなかったけど、とりあえず音が出てちゃんと使えるアンプが一つ増えたというだけでも良しと言うことにしたいと思います。今度気が向いたら細かいところをいじったりパーツを交換したりして音質改善チャレンジもしてみるかもしれません。
今後の課題だなあと感じたのは、アンプの電源スイッチがONなのかOFFなのかわかりにくいという点でしょうか・・・やはりスイッチが上向きか下向きかだけでは、パッと見で判別しにくいのが、地味なところで最大の欠点なのかなと思ったりもしました。今の状態だと、ちょいちょい電源を切り忘れてしまいます。
次にやる時は、少し電子工作の勉強をして発光ダイオードなどを組み込んで光るようにしたりもしてみたいです。夢が広がりますね。
見た目的には銅板でできていて悪くないと思うので、サブのパソコンでYoutubeなどを視聴する用途等で使っていきたいと思います。
追記:スイッチをオンにするとLEDが光るようにしてみました。
配線はこんな感じ。
電源オフの状態からトグルスイッチを上に上げてオンにすると・・・
赤いLEDが光ります。
やはり、光ると電源が入っていることがわかりやすくて良いですね。消し忘れもしにくいので良いと思います。
それと音質ですが、作ってからしばらく時間が経ったせいなのか、作ったばかりの頃よりも良くなった気がします。めちゃくちゃ良い!というわけではないですが、悪くない感じです。
もう少しこだわって、内部配線やアンプの構造を変更したりすればもっと良い音質にすることもできるはずなので、思った以上に夢が広がるアンプボードだなと改めて思いました。