先日、電子パーツの脳が完成しました。で、作品ができあがったら当然それを入れる箱を用意しなくてはなりません。
てなわけで、作りました。
なんとなく標本の箱に入った脳みそみたいでそれっぽい?
↑蓋を閉めるとこんな感じ。脳みそを入れるときの向きがわかりにくかった(逆方向に入れてしまうと蓋が閉まらない)ので、蓋に油性マジックで絵を描いてみました。
これまで何回かこういうタイプの作品ケースは作ってきたけど、作るのに慣れてきたおかげか製作精度も上がってきたような気がします。雰囲気良く作ることが出来たので良かったと思います。
さて、こういう箱を作る際にいつもちょっと面倒だなと思っているのが、「箱を作るために必要な板材の寸法を割り出すための計算」です。
僕はこういう箱を作るときも、関係ない趣味のDIYで何か作るときも、正確な木材カットが必要な作業の時は大抵の場合、東急ハンズで板材を買って切ってもらっています。そのために必要な板材のサイズを記入した板取図を書くわけなのですが、実は毎回ミスがあります。
ミスと言っても大したミスではありません。ちょっと足し算間違ったとか、切ってもらい忘れたとか、そういうやつです。その場合はそのパーツだけ、もう一度買いに行ったり、かんたんなものであれば自分で切ったりして対処します。
しかし、それではめちゃくちゃめんどくさい!
しかも、作品サイズに対しての板材の寸法は法則性があるにも関わらず、毎回細かいミスをしちゃう自分って・・・バカかも?とやり直しをしながら落ち込んだりもするわけです。
てなわけで、箱を作る際にミスなく必要な板材の寸法を算出するためのジェネレーターみたいなものをExcel(エクセル)で作ってみた!と、今回はそんな話です。
<目次>
計算ミスしやすい板取の寸法をExcelシートを利用して算出する
DIYで箱を作ったり棚を作ったりすると、買ってきた板材のサイズが違う!とか切ってもらった寸法が間違っている(自分のミス)!と言うのは、よくあることです。というよりも避けては通れない道だと思っております。(DIYなどをよくやる人にはわかってもらえるはず!)
というわけでその計算ミスと計算のために労力を無くそうとExcelで作ったのが下記の様なものになります。
「板取寸法ジェネレーター」なんてカッコつけた名前を記事のタイトルにつけてしまっていますけど、本当はそんなに大それたもんじゃありません。ただ単に作品サイズや板厚などの必要事項を指定箇所に入力すると必要な板のサイズが自動的に計算されて出てくるだけのExcelシートです。
↓ちなみに今まで作ってきた作品の箱については以下のようなかんじです。
今のような方式で箱を作るようになってから何個か作品用ケースを作ってきました。徐々に慣れてきていろいろと工夫もできるようになって箱の作成そのものは上手くなってきたような気がします。しかしながら毎回のように苦労するのが、必要な板材のサイズを計算することだったりします。
作品のサイズ、板材の厚み、箱の内側と作品との隙間、箱と蓋の合わせ目をどれだけ深くするか?などなど、計算のために考慮しなくてはならない項目は思った以上に多くあります。
僕が計算苦手だという自覚もあるし、計算が複雑なことがわかっているからこそ何度も計算のミスがないか確認するわけです。でも、毎回どこかしらにミスがあります。そして、その計算をするだけでも それなりに時間がかかります。
箱を作るだけなのに、毎回そんなことでは時間がもったいないですよね。
板取寸法ジェネレーターとは
板取寸法ジェネレーターを作るのに利用したのは、「Office Online」というMicrosoftのサービスです。
オンラインでファイルの共同作業 - Office Online
これ、めちゃくちゃ神がかっているサービスでして、ExcelやWord等のソフトがブラウザ上で、しかも無料で利用可能なサービスです。Microsoftアカウントでログインするだけですぐに使うことができます。
機能的には、有料のOfficeよりも限定的だったりもしますが、今回のExcelシートを作るくらいだったらこれで十分です。
これを使って板取の寸法を計算するためには、赤い丸で囲んだ左上の7つの項目に数字を入力するだけです。そうすると、それ以外の部分の数字が変化して必要な寸法が表示されます。
これだったら、一度このジェネレーターを作ってしまえば絶対に計算ミスすることがありません。
同じだけど毎回寸法が微妙に違うものを何度も作るような人は、これを作って計算をしてしまうのがおすすめです。いや、ホントに。もっと早く作ればよかったと後悔していますから・・・
計算シートの作り方
このExcel計算シートの作り方もここで説明できるかぎり書いておきます。(必要な人にはこのデータそのものを配布したりしても全然良いのですが、必要な箱の構造や形状は人それぞれで違うと思うので、自分で作る方法を覚えるのが一番だと思われます。)
必要なのはシンプルな計算式だけで、難しい関数とかは一切必要ないので、Excelの経験が無くても少し慣れれば誰でも作ることができると思います。(初心者向けに書いてるので、分かる人は適当に読み飛ばして大丈夫です。Excelの基礎的な機能と数式だけで作っていますので。)
記入する項目について
今回、寸法計算のために数字を入力する項目は以下のようなものになります。
- 作品の横幅、奥行き、高さ
- 作品と箱内側の隙間
- 板の厚み
- 蓋の桟の幅
- 接合部のクリアランス
基本的には作品のサイズと、使用する板材の厚み、それと作品と箱の内側には緩衝材のスポンジや布を貼り付けるのでその隙間の幅を入力するだけです。
それと、今回のような箱のタイプは、蓋に細長い板を4枚接着して蓋として機能するように作ってあります。僕も調べてみるまで全然知らなかったのですが、こういうタイプの箱のことを桐箱の専門店などでは「四方桟」と呼ぶのだそうです。なので、その「桟」の幅も記入する場所を作りました。
それと、その四方桟の部分をはめ込んで蓋を閉じるわけなのですが、これが内寸にピッタリ過ぎると逆に蓋が閉まらなくなってしまいます。桟が入らなかったり、強引に入ったとしてもギチギチになってしまいます。そこで、「接合部のクリアランス」という項目を設けて、そこに箱の内寸と桟の「余裕」を入力します。今回は1mmとしたので、左右で0.5mmづつの隙間ができます。
Excelでの計算のやり方
Excelって、いろんな使い方をする人がいると思うんですけども、本来の使い方は計算をするためのソフトだと思っております。
高度に使いこなす人はめちゃくちゃ複雑な関数とかを活用して、とんでもなく高機能なExcelシートを作成することも可能です。しかし、今回必要なのは足し算と掛け算と引き算だけなので非常に基礎的な数式だけ使います。。
↑例えば、「F2」のセル(マス目)をクリックすると、上の方に「=C5+C6*2+C7*2」という数式が出てきます。
Excelはシートの上部にある「fx」と書かれた場所に「=」から続く数式を入力してエンターキーを押せば、その計算を自動的にやってくれます。
この数式、ちょっと見慣れない感じがするかも知れないけれども、普通に足し算と掛け算の式です。「+」は普通に「足す」という意味で、「*」←これ(アスタリスク)は「掛ける」という意味です。
そして、「C5」とか「C6」というのは「Cの5のセルの値」「Cの5のセルの値」という意味です。つまり「C5」は「210」、「C6」は「15」、「C7」は「9」となります。
つまりこれを普通の計算式っぽくするとすると「=210+(15×2)+(9×2)」という感じになります。この答えである「258」が数式が記入された「F2」のセルに表示されるというわけです。
↑もう1つ例をあげると桟(長い方)の長さの部分の数式は「=C5+C6*2-C9」となっています。計算式としては「=210+(15×2)-1」で、その答えが「239」となります。
「C9」のセルに入力した「1」を引いてそれをクリアランスということにしているのがポイントです。
そんで、それぞれのセルに必要な計算式を記入したら、最後に色とかつけてシートを見やすくすれば完成です。ちょっとだけ手間はかかるけど、やっていることそのものは非常にシンプルで簡単です。
Excelホント便利!
計算の考え方
普段、箱などを作ろうとする時に、どうやって必要な板材の寸法を割り出しているでしょうか。おそらく以下のような感じで考えるのではないでしょうか。
中に入れる物のサイズがこのくらいだから、内寸は少し余裕を見てこのくらいだなあ・・・ということは縦と横のサイズはこのくらいになるけど、板の厚み分は引かなくちゃならないから横の板は9mm小さくしなくちゃならないな。底板は、この箱の形状と同じだから内寸と同じで大丈夫。蓋は外寸と同じサイズで、桟は内側にはめ込むから内寸を基準にして板材の厚み×2を引かなくちゃならないし、クリアランスも考えてさらに1mmほど小さくしよう・・・
・・・みたいな感じで考えるはずです。つまり何が言いたいのかというと、板取寸法算出のときに考えているこれを普通にExcelでやってしまえば良いというだけの話です。
これらは基本的には足し算、引き算、掛け算だけなので考え方としては非常にシンプルですよね。ただ、計算する量が多く、計算する式をその都度考えながらやっていくとミスが発生するもんなんですよねえ・・・
今回のような箱でも何でもそうですが、板材を使って何かを作ろうとすると、必ずと言ってよいほどその板材の寸法を正確に割り出す必要が出てきます。そして細かい計算をして作るものと辻褄を合わせなくてはなりません。したがってミスしやすいのは仕方のないことなのです。
Excelで計算シートを作るのは面倒だと思いますが、一度やってしまえばこれほど便利なものはない!と思えるはずです。ミスも絶対にないし、何よりも数字を入力すると一瞬で計算結果が出てくるのですから。
僕はこれからは、作品の箱だけじゃなくて、展示台を作るときやスピーカーを作るときなんかも、今回みたいに新たに板取寸法ジェネレーターを作成して作っていこうと思いました。
以上が、必要な板材の寸法を算出するシートの作り方でした。
作品の箱を作った工程
さて、今回の記事の本題はExcelで箱の板取の計算を簡単しちゃおう!ということだったので、今回作った箱の作業工程については、サラッと説明していくこととしましょう。
↑まず板材を用意します。9mm厚のMDF板です。これは、板取寸法ジェネレーターで必要な板材のサイズを算出して、カット図を書いて、東急ハンズで板材を購入して切ってもらいました。
これ、毎回言うのですが、ハンズの木材カット技術はすごいです。家に帰ってからサイズを確認してみましたが寸法に少しの誤差もありませんでした。なので、今回は削ったりとか一切していないにもかかわらず、かなり精度の高い箱を作ることができたように思います。店舗によってレベル差があるのかもしれませんけども、我が家の最寄りのハンズの木材加工のスタッフさんはめちゃくちゃ優秀だと思います。
板を木工用ボンドで接着します。ハタ金やクランプなどを利用してずれないように固定して、ボンドが乾くまで放置します。
箱っぽくなりました。
↑試しに蓋を閉じてみたらピッタリ!桟の部分もきつすぎたりすることもなくて、適当に蓋を置いただけでスーッと蓋が落ちて、蓋が閉まりきる感じが気持ち良いですね。
↑次はスポンジでクッションを作ります。ピッタリ収まるように実際に作品を合わせながら、スポンジを細かく切って接着していきます。
↑貼り付けたスポンジを覆うように黒い布を貼り付けます。これで、作品保護&固定のためにクッションは完成です。
↑蓋を閉めたときに簡単に開かないようにするために、箱の四隅に直径5mm×3mmのネオジム磁石を合計8個埋め込みます。ドリルで穴を開けて、エポキシの接着剤で接着しました。余談ですが、磁石は今後のために買いだめしとこうと思って100個買いました。
最後の仕上げに蓋に脳みそのイラストを描いてみました。これは、脳を箱に入れる方向性がわかりにくかったのでやってみました。
以上で、作品の箱の完成です。
蓋のイラストの方向に合わせて脳みそを入れれば収納できます。
まとめ
作品を作るような活動をしている人は皆苦労していることだと思うんだけど、作品を作った後はそれを入れる箱を用意しなくちゃなりません。
でも、ちょうど良いサイズ&材質の箱なんてなかなか売ってないので、僕の場合は結局「自分で作る」という選択肢を選びました。でも、これが非常にめんどくさいんですよね。箱を作るためにそこそこの時間を取られます。
最近はこのタイプの箱を作るのにも慣れてきましたが、まだ未だにミスが怖いなと思うのが板取の寸法です。というよりも、何回計算の見直しをやっても、必ずミスがあるものだと思って計算したほうがよいと覚悟しつつ計算してます。
こればっかりは慣れていく・・・というよりもExcelで自動で算出することができたほうが便利だし、ミスもなくなるので確実だよねと思いました。なので今回からはこの方式で板取の寸法を算出する方式にしました。
そしたら計算ミスをしているかも?という心配もなくなって、思っていた以上に安心感半端ありません。なのでExcelで板取を算出することができるシートを事前に作っておくのは、毎回同じタイプの箱や棚等をDIYする人にはおすすめできる手法です。
ものを作る人はExcelの使い方をある程度知っていて、それを活用している人は意外と少ないと思います。でも、非常に便利なソフトだし、最近は無料で純正のExcelを使うこともできるので、簡単なので使い方を覚えておくと何かと役立つことが多いと思います。