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MIKINOTE

作品制作とその他思った事を書くブログ

【初心者向け】デッサンの描き方の基礎を徹底的に解説する【6枚】

アートと美術の知識

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先日、絵の描き方に関しての記事を書いたせいか、このブログの読者さんや、Twitterのフォロワーさんで、「絵の練習をしている」とか「デッサン描いたら勉強になった!」と言う方が何人かいます。

僕も、デッサンは今までに何千枚と描いてきたし、そういう話題を見ると懐かしいなあと思ってしまいます。

で、そう言えば3年くらい前に、「ちょっと久しぶりに練習してみようかな?」と急に思い立って描いた簡単なモチーフを描いたデッサンの画像があるな〜ということを思い出しました。デッサンを描く過程の写真も撮ってあります。

ちょうど良いので、数年前に描いた6枚の鉛筆デッサンが描かれていく工程を参考にしつつ、初心者の方向けに、「デッサンの描き方の基礎」を、これだけわかっていれば大丈夫!と言うくらいに徹底的かつ詳細に解説していこうと思います。

ちなみにこの記事、とてつもなく長いです。なので、読みたい所だけ読むなり、ブックマークして時間があるときに後で読むなどしてくださればと思います。(目次から好きな場所に飛べます。)

<目次>

デッサンとは

さて、具体的な描き方の説明に入る前に、「デッサンとはなんぞや?」とか、「デッサンを描く意味とは?」などの根本的な話をしていきましょう。

この話も少し長くなってしまうけど、前提としてそれがわかっているのとわかっていないのとでは、成長速度が全く変わってきてしまうので。

デッサン力

まず、デッサンとは「今後作る全ての作品のための練習のために描く絵」です。

デッサンそのものが、作品となりうるくらいの完成度の高いデッサン画を描く作家さんもいますが、多くの人がデッサンを描く意味は、いわゆる「デッサン力」と呼ばれるものを高めるための修行のようなものです。

ちなみに、普段僕が作っている作品は立体の作品です。

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↑こういうのとか・・・

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↑こういう感じの立体作品をマニアック素材と作り方で制作しています。

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↑ときには、変な生き物っぽいのも作ります。(興味のある方はこのブログの作品制作カテゴリーを見てね!)

見ての通り、僕がやってることは全然「絵」じゃないんですよ。むしろ絵を描くのはすごく苦手です。だけど、こういうのを作れるようになったのは、突き詰めて考えていくと「デッサン力」があるからなのです。

デッサン力とは、平面でも立体でも、はたまたデザインなどでも、どんなジャンルの作品であっても、それを作るための基礎的な力です。デッサン力があれば、クオリティの高い作品を容易に作り上げることができます。すごく不思議な話に思えるかもしれないけど、これは事実です。

作品制作に必要な全ての基礎となる力を鍛える訓練、それがデッサンです。

そして、デッサン力を高めるためには繰り返して何度もデッサンを練習していく必要もあります。

例えて言うのであれば、ドラゴンボールの最初の方で、亀仙人が悟空とクリリンにやらせた修行のようなものですね。重たい亀の甲羅を背負って畑仕事したり怪獣から逃げたりとかね。

デッサンを描く技術がその後の造形活動と直接関係ないとしても、回り回って必ず役に立つときが来ます。デッサンとは、作品を作るための基礎力を高めるために非常に有効な訓練法なのです。

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メイキング動画も作りました→【鉛筆画】超リアルに目を描いてみた - YouTube

だから、全然専門じゃないのにも関わらず、見たものをリアルに絵を描く・・・みたいなことも普通にできるのです、

観察する力

では、なぜデッサンが描けると、作品制作の基礎力が上がるのか?という話です。その理由の1つは「観察力」が身につくからなんですよね。

デッサンと言うのは不思議なもので、行為としては、目の前にあるモチーフをそのまま描いていくだけの行為なはずなんです。しかし、それを繰り返し行うことで、色んな物が見えるようになってきます。

直接的なところで言うと、「陰影の強弱」だとか、「構図のバランスの良さ」だとか、「光」だとか、「モチーフの色や形を表現する」ことだったりしますね。

たったそれだけのことです。だけど、それがめちゃくちゃ大事なことで、それがスラスラっと普通に描くことができるようになるってことは、モチーフの印象を正しく捉えることができるってことなんですよ。それだけの観察力が備わったということだからです。

ゆえに、デッサンがきっちりできる人の作品とできない人の作品を比べると情報量が全く違います。

情報量とは、手数が多いと少ないとかそういう話ではなくて、デッサン力の違いが説得力の違いとなって作品に現れてくるという話です。例えば、空想上の生物みたいな自分の考えた創造物を作るときも、現実の生き物をきちんとデッサンできる人とできない人が作った場合、リアリティーが全く違うのです。誰も見たことないモノだとしても、作品を見る人を納得させるだけの説得力を持たせることができるようになります。

なんというか・・・言葉だと上手く表現しにくいけど、観察力が高まると自然界の法則?みたいなものを理解できるようになるんですよ。例えば、風が吹いたら木々の葉がどのように動くかとか、スポンジの上に重たい鉄の塊を置いたらどのような形の変化をするかとか・・・そういうことが、頭の中で想像するだけでわりと正確に理解できるようになるんです。そして、何かを作るときは、その法則に則って作ります。だから、デッサン力が上がると自然と作品の質が上がっていくのです。

実は、「デッサンを上手に描ける」と言うのは、悪いことじゃないけど、あまり良い意味ではありません。小手先だけの鉛筆を扱うテクニックが高くなっても意味がないからです。これは、デッサンを練習を積み重ねていく際に、誰もが陥る罠みたいなものです。

デッサンの本質は「観察力」を鍛えることです。つまり、デッサンはモチーフの印象をちゃんと捉えられている「良いデッサンを描くことができる」ことが一番大事ってことですね。

客観的に見る力

デッサンを練習して観察力が身につくということは、自分の描いた絵を客観的に見ることができるようになるということです。

本来、目の前に置かれているモチーフはそのままの印象を描かれるはずのものです。だけど実際には、仮に、複数の人間が同じ条件で描いたとしても人それぞれで全く違ったデッサン画が出来上がります。

これはなぜかと言うと、人間が一生懸命に目の前のものをそっくりそのまま描こうとしても、必ず自分自身のフィルターがかかるからです。

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上記の図のように、目で見て目の前のものを描くだけであっても、必ず自分の目で見て、脳みその中で映像が変換されて、手で持っている鉛筆を使用して画用紙に情報を描き写していく作業が必要です。つまり、言い方を変えると、デッサンとはモチーフに2重3重とフィルターをかけていく行為を何度も繰り返すことであるとも言うことができます。

それは、通常だと非常に主観的な作業です。同じものを描いていても、その人が「どのようにものを見ているのか?」ということが一発で分かるくらいに個性的な絵ができあがります。

僕は、学生時代、美術予備校でデッサン等を教えていた時期があるのですが、学生に同じ課題モチーフを描かせているのに、全く違った絵ができあがってくるからすごくおもしろいんですよ。場所の都合上見ている角度は違うのだけど、形や色や大きさやその他諸々、「皆で別々のものを見てたんじゃないか?」と錯覚するくらいに違うんです。

特に、デッサンの初心者の描く絵は、その絵を見れば、それを描いたのがどんな性格の人間なのかなんとなく理解できるくらいに特徴的です。まあ、描く人が違うから当然ではあるんですけどね。

しかし、その個性的なデッサンもおもしろいにはおもしろいですが、それは客観的にモチーフを描けているとは言えない状態です。つまり、客観的な判断力が弱く、主観に左右された作品制作をしている状態というわけです。

美術やアートは、本人の個性だとか、主観の世界観が重要視されると思われがちですが、それは誤解です。

本当にレベルの高い作品は、非常に客観的な視点で物事を捉えてそれを表現している作品だし、そうでないと世の中的に評価されることは難しいでしょう。

そして、デッサンとは、自分の主観というフィルターを取り去っていく訓練の1つです。デッサンを繰り返し行うことで、主観に凝り固まっていた自分の感性をほぐして、客観的な視点を持つことができるようになるのです。

もちろん、客観的な視点を得ることができる訓練法とは、デッサンだけではありませんよ。そういう意味では、「瞑想」とかもすごく良いと思います。その他、文章を書いたり、本を読んだり、仕事をがんばったりとか、様々な人生経験を積めば自ずと物事を客観視できるようになってくるかもしれません。

しかし、「何かを作って表現していく」という美術やアートその他の創作活動をしていく人間にとっては、客観的視点を養うために、デッサンは非常に効率の良い訓練法であると思います。

作品の善し悪しを判断する力

デッサンを練習して観察力を鍛えることで、副次的に高まっていく能力もあります。それは、クオリティの高まりを判断する力です。

デッサンというのは、目の前に置かれているモチーフをそのまま描いていくだけの単純なお仕事です。なので、これをどこまで手を入れるのか?どこで終わりにするのか?という判断が非常に難しいです。

美大の受験の課題で描くデッサンなどは、時間制限があるので、「時間内に描くことができるいい感じのところ」で終わらせれば良いだけなので非常にわかりやすいですね。しかし、時間が区切られていない環境で描くとしたら?ぶっちゃけて言うと、デッサンなんてものは終わりのないものです。だから、一枚の絵を無限に描き続けることだって可能です。

しかし、デッサンは、それ自体を作品として見たときに、長時間をかけて描くだけのことで作品のクオリティが上がっていくものではないんですよ。必ずどこか途中段階で「終わるべきだった!」となる段階があるはずです。何事も手を抜き過ぎも、やり過ぎも良くないってことです。

デッサンを繰り返し練習していくと、作品の終わりどころがどこかわかるようになるのです。時間が区切られている時は、その時間内でどのようなペースで作業を進めれば、最適なのか判断できます。何かを作るとき、作業をする時、どのくらいで最大のクオリティが引き出せるのか?その判断が容易にできるのです。

また、その段階にまでデッサン力が高まると、その後、デッサン以外の作品を作ったときも、作品の善し悪しの判断ができるようになります。観察力とクオリティの判断力が相まって、自分の作品でも他人の作品でも関係なく、客観的な視点で判断することが可能になります。

作品と一言で言っても、色んなジャンルの作品がありますよね。それこそリアルに人物を描いた絵画作品もあれば、シンプルな線だけで描いた萌絵イラストなどもあります。だけど、デッサン力があると、ジャンルに関わらず、そのジャンルの作品としてのレベルがどのくらいなのか?というのを瞬時に判断できるようになります。言い方を変えると、ものを見る目が身につくとも言えますね。

そして、自分が制作しているときも、客観的に作品を観察することができるので、自分か制作している作品も高いレベルのものにすることができるのです。もちろん、わかるからこそ「自分の作ったものが良くない!」ということもわかってしまって落ち込むこともあるんですけどね。ただ、自分の作品の問題点が理解できることは、レベルアップのための第一歩であるのも事実です。

つまり、「デッサン」という名の修行を積むことによって身につく、「デッサン力」とは、その後の作品制作における基準となりうる、「基本的な能力値」と言うことができます。

それが、デッサンを描く目的であり、意味であるというわけです。

デッサンの準備と基本的な使い方

さて、前置きが非常に長くなりましたが、ここからは具体的にデッサンをするためには何を用意するべきか?などの話をしていきます。

鉛筆デッサンと木炭デッサン

まず、デッサンと一言で言っても、色んな手法が存在しています。

一般的なのは、「鉛筆デッサン」と「木炭デッサン」ですね。

鉛筆デッサンとは、そのまんまですが「鉛筆」を使って描くデッサンのことです。どちらかと言うと、細かい部分の描写をしたりするのに向いていると言われています。

伊研 木炭 №360 (柳)丸軸 銀箔巻3本入

そして、木炭デッサンとは、デッサン用の「木炭」を使用して描くデッサンのことです。ちょっとおもしろいのが、木炭デッサンでは描いた場所を消すときに消しゴムとして食パンを使用したりするところだったりします。

木炭デッサンは、大きく色を塗ったり取り去ったりすることが容易なので、おおらかな表現をすることが可能です。なので、部分的な見かたをしてしまいがちな初心者がやらされることが多かったりもします。僕も、初めてやったのは木炭デッサンでした。もちろん、木炭でも鉛筆でも極めればすごいデッサンを描くことが可能ですよ。

ですが今回は、鉛筆を使った「鉛筆デッサン」のやり方について解説していきます。使用する画材は両者でかなり違うし、僕自身、木炭デッサンは経験少ないし、あまり得意じゃないので・・・

まあ、使用する道具は全く違うけど、木炭でも鉛筆でも基本的な考え方は一緒です。

鉛筆デッサンに必要な道具

鉛筆デッサンに必要な基本的な道具は、以下の通りです。

  • 鉛筆
  • カッター
  • 練り消し
  • 画用紙(またはスケッチブック)
  • 木製パネル(または画板)
  • 画用紙と画板を固定する道具
  • イーゼル
  • フィキサチーフ(定着液)

基本的にはこんな感じです。

プラスアルファでもっといろいろと必要な物はあるんだけど、それはまたあとで書いていくことにします。

だけど、このリストを見るだけだとよくわからないと思うので、ここからは具体的にどんなものを用意するべきか?どうやって使うのか?ということを説明していきます。

鉛筆の種類について

これが無くちゃ描くことができない、「鉛筆」についてです。

普段生活していると、鉛筆を使う機会が少なくなったのもあって、全く意識することがないかもしれませんが、鉛筆にも色んな種類があって、作っているメーカーごとに特色があります。

で、デッサン用として鉛筆を入手するとしたら、デッサンに適した鉛筆を使用することがおすすめです。値段的にもちょっと高いんだけど、鉛筆の粒子が滑らかだったりとかするので、ちゃんとデッサンの勉強をしたいのであれば、まともな鉛筆を使用した方が良いです。

  • ハイユニ
  • ユニ
  • ステッドラー

他にもいろいろあるんだけど、基本的にはこの3種類がメジャーなのでこの中から選べばOKです。

僕は三菱鉛筆の「ハイユニ」が好きで使っていました。

三菱鉛筆 鉛筆 ハイユニ アートセット 22本入 HUAS

三菱鉛筆 鉛筆 ハイユニ アートセット 22本入 HUAS

僕が学生だった頃の友達はドイツの「ステッドラー」派の人が多かったですね。

ステッドラー ルモグラフ鉛筆 スペシャルパッケージ 12本入り 100 TC12

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特徴としてはステッドラーはちょっと硬めの質感の鉛筆で、ハイユニはどちらかと言うと柔らかくてなめらかな印象の鉛筆ですね。そして、メーカーが同じ「ユニ」は「ハイユニ」よりも値段も安くてコスパ重視のイメージ?って感じ!

だけど、ぶっちゃけ大きな差はないので、いろいろと試しながら、お好みのものを使っていけばよいかと思います。

他にも、「ファーバーカステル」や「スタビロ」等の鉛筆がデッサンに適しているのですが、個人的にあまり馴染みがないのでここでは割愛します。

鉛筆の硬さについて

鉛筆は同じ種類でも、芯の硬さが違う物が何種類もあります


10H〜〜〜6H〜5H〜4H〜3H〜2H〜H〜F〜HB〜B〜2B〜3B〜4B〜5B〜6B〜〜〜10B


↑左ほど硬くて、右にいくほど柔らかいです。

ちなみに、人によるけど、一番使用頻度が高くて消費が激しいのはHB〜3B辺りかな?

鉛筆がH系で固いと薄めの色で画用紙の目を潰しながら描くような感じになります。逆に鉛筆がB系で柔らかいと、画用紙のザラザラ感を活かしつつ、濃いめの色を描くことができます。

これ、自己流でデッサンを練習している人にありがちなんだけど、鉛筆はほぼ全種類の硬さのものを買ったほうが良いですよ。10Hとか10Bはとかの極端な硬さの鉛筆はかなり特殊なので、そこまでは必要ないのですが、6Hから6Bくらいまでは全種類一本ずつ必要です。

これはどうしてかというと、鉛筆デッサンというのは所詮白黒の無彩色の表現しかできないからです。そこで、より多くの色調を白黒で再現するために、デッサンには色んな硬さの鉛筆が必要で、必要な箇所に必要な硬さの鉛筆を使用することで、豊かな階調表現をすることが可能です。

それに、デッサンに慣れるとそれぞれの鉛筆の使い所がわかるようになるので、例えば「3Bの鉛筆が使いたい!」ってなったときに、3Bがないとすごく困っちゃうことがあるんですよ。それはものすごいストレスだし、勉強のためにデッサンの練習をしている人にとっては、よろしくないことです。

なので、鉛筆は、デッサン用に適したメーカーのものを6Hから6Bくらいまで全種類買って用意することをおすすめします。

鉛筆をカッターで削る必要性と持ち方

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それと、デッサンのとき、鉛筆は「カッター」で削りましょう。

「えっ!!今の時代、カッターで削るんですか!?」と思うかもしれないけど、これにもちゃんと理由があります。

それは、実際にどんな感じなのか見てもらえばわかると思うんだけど・・・

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↑僕が実際にデッサン用に鉛筆を削るとこんな感じになります。鉛筆削りで削ったのと全然違うでしょ?

これは、デッサンを描くとき広い面を塗ることが必要だからです。

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↑ちなみにデッサンをするときの基本の鉛筆の持ち方はこんな感じです。どちらかと言うと、画用紙に対して鉛筆を寝かせて、広く大きく手を動かすことが多いです。

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それ故に、カッターで削って、いい感じの形状に鉛筆の芯を露出させないと上手く鉛筆を扱うことができないのです。

また、カッターで削るのは、先端を尖らせる目的もあります。デッサンは、広く大きく手を動かすときと、時には細かく手を動かして繊細にカリカリと描くことが必要なときがあります。

そんな時は、細かい部分を描くとき用の持ち方に変えてデッサンを続行します。

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↑こんな感じ。鉛筆を立ててカリカリと描きます。画用紙の目を潰してでも強めに描きたいときや、細かい部分の描写時にはこの持ち方をします。

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また、鉛筆を使っていって、先端が丸くなってしまった場合も、鉛筆の先端だけをカッターでシュシュッと削れば、尖らせることが容易です。そんな意味でもカッターを使用して、鉛筆を削る必要があるのです。

カッターで鉛筆を削るのは、ちょいとばかり慣れが必要です。だけど、練習すれば誰でもできるようになります。

使用するカッターはどこにでもある普通のカッターでOKです。だけど、カッターの刃はきっちりと切れるものを使いましょう。切れなくなってきたと感じたらこまめに替刃を付け替えましょう。錆びついた切れない刃がついていると、上手に鉛筆を削ることはできません。

オルファ(OLFA) 小型カッターA+ 215B

オルファ(OLFA) 小型カッターA+ 215B

オルファ(OLFA) オルファカッター替刃(小) 10枚入 SB10K

オルファ(OLFA) オルファカッター替刃(小) 10枚入 SB10K

具体的な鉛筆の削り方に関しては、ここではこれ以上長くなるとまずいので説明しないけど、後日、また別の記事で紹介したいと思います。


追記:書きました!

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ちなみに鉛筆を削っていくとどんどん短くなってしまいます。そんな時、鉛筆ホルダー(補助軸)なんかもあれば短くなった鉛筆でもけっこう使えるので、何本か用意しておくと良いでしょう。

補助軸【シルバー】 CR-HJ70-CR

補助軸【シルバー】 CR-HJ70-CR

練り消し

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デッサンを行う際、描いた場所を消すには「練り消し」を使用します。

固形の硬い消しゴム、いわゆるプラスチック消しゴムは、よっぽど特殊な場合を覗いて使用しません。(仕上げ段階でハイライトの部分を消したり、余白が汚れているときなどには使うことがあります。)

デッサンは、描いたり消したりの作業を繰り返すものです。ときには、非常に繊細な調整も必要になることがあります。そんな時、練り消しでないと、上手いことその感じを表現することができないのです。

また、デッサンを習ったことがある人が先生から必ず聞くことになるセリフ「練り消しは描く道具だ!」というものです。これは、一旦描いた場所も、練り消しで白く抜いたり、微妙に消したりすることを描くのと同じ感覚でやりなさいよ!という意味です。

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↑練り消しで、細かいところを「描く」ときには、練り消しの一部を指でこねこねして尖らしてから使用するとうまくいきます。

このように、練り消しは、デッサンを描く際には無くてはならないものなのです。

バニーコルアート イージークリーナー 1個

バニーコルアート イージークリーナー 1個

ちなみに、練り消しにも色んな種類があります。僕が好きなのは「イージークリーナー」という練り消しです。まあ、特に特徴があるわけじゃないですが、普通に使いやすいです。

画用紙

デッサンを描く際に使用する画用紙で最もポピュラーなのは、「M画用紙」と呼ばれる画用紙だと思います。

表面の質感もデッサンを練習するには非常に適しているし、値段的にもお手頃です。なので、デッサンには、M画用紙辺りを使用するのがおすすめではあります。

ただ、ネットで買うと100枚入りとかで買わなくてはならないので、できればお近くの画材店で、必要な大きさの画用紙を必要なだけ買うのが良いかと思います。大抵の画材店に置いてある画用紙だと思います。

もしくは、もうちょっと気軽にデッサンの練習をしたい!というのであれば、スケッチブックを使用する方法もあります。(紙質がいわゆる画用紙と呼ばれるもので、ある程度の厚みがあって、表面がザラザラしている質感のものを選びましょう。)

マルマン スケッチブック 図案シリーズ A3画用紙 S115

マルマン スケッチブック 図案シリーズ A3画用紙 S115

普通にそのままスケッチブックにデッサンしてもいいし、(詳細はあとで書くけど)画用紙を木製パネルなどに貼り付けて使用する方法もあります。

安いスケッチブックだと、紙の質が明らかにM画用紙よりも良くないです。だけどまあ・・・それなりに描けないことはないくらいかなって感じです。なので、どのくらい本気でデッサンを描きたいのかによって、どういった画用紙を使用するのか選べば良いでしょう。

画用紙は木製パネルに貼り付けて使う

さて、画用紙にデッサンを描いていくわけですが、そのままではペラペラな紙一枚の状態なので使用することはできません。

そこで、硬い板状の物と合わせて使用します。

一般的なのは「木製パネル」に「水張り」というものをして、貼り付けてしまう方法です。

ベニヤパネル A4 画材 板パネル 水張り

水張りはしっかりとデッサンをしようと思うのであれば、必要な技術ですね。特に長時間に渡っての制作の場合、水張りしてないと画用紙の端っこ辺りとかがヘロヘロになったり、いろいろと不都合が出てくることがあります。

ちなみに「水張り」には、「水張りテープ」や「刷毛」などの道具が必要です。

CTN6 水張りテープ 25mmx70m 白 [88]

CTN6 水張りテープ 25mmx70m 白 [88]

ナムラ 刷毛 B印 絵刷毛 20号

ナムラ 刷毛 B印 絵刷毛 20号

こういうのです。刷毛はナムラの20合くらいの刷毛が定番で使いやすいです。

水張りの詳しいやり方については、長くなるのでここでは割愛させていただきます。(後日やり方を書くかもです。)


追記:書きました。

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ただ、「水張りするほどじゃないよ!」という場合には、簡単な方法として画鋲を使用した方法もあります。俗に「画鋲どめ」と呼ばれる方法です。(今回、この記事の後半で紹介するデッサンも全部画鋲どめです。)

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やり方は簡単で、木製パネルとサイズが同じ画用紙を用意して、四隅を画鋲で留めるだけです。このやり方は、短時間(3〜6時間くらい)のデッサンを練習する際にはおすすめの方法です。あまり長時間(2日以上)のデッサンでこれをやるのはおすすめできませんが、短時間の練習くらいだったらお手軽で良いのではないでしょうか。(ちなみに、美術を教えている先生によっては、画鋲どめを毛嫌いする人もいます。)

または、「目玉クリップ」で画用紙とパネルを固定する方法もあります。方法はこれも非常にお手軽な方法で、ただ単に挟めば良いだけです。

日本クリノス 目玉クリップ 大 挟み口65mm 10個入り Mクリ-1

日本クリノス 目玉クリップ 大 挟み口65mm 10個入り Mクリ-1

これも、長時間かけて行うデッサンにはおすすめできませんが、画鋲どめと違って、画用紙に穴をあけないで済むのがメリットですね。

または「画板」と呼ばれる絵を描くための土台となる板も存在しています。これに目玉クリップで画用紙を貼り付けても良いのですが、木製パネルの方がデッサンのやりやすさでは上です。

それと、画用紙のサイズが大きめの場合も、画鋲どめや目玉クリップだとベロンベロンになってしまう恐れがあるので避けたほうが良いですね。「B3」くらいまでだったら大丈夫だと思いますが、「木炭紙サイズ」や「B2」くらいまでサイズが大きくなるならば、きちんと水張りをしたほうが良いです。

「水張り」「画鋲どめ」「目玉クリップ」これらを、自分の行いたいデッサンの内容に応じて使い分けると良いでしょう。

イーゼル

ターレンス メタルイーゼル 3段 ブラック 494455

また、「イーゼル」などもあったほうが良いですね。

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イーゼルと言うのは、パネルなどを立てかけて、絵を描くための道具です。右利きなら右手側にイーゼルを置き、モチーフが体の正面辺りに来るように座ります。

部屋に置くと場所をとるので、自宅で使用するのであれば折りたたみ式のもので十分です。

ただ、地べたに座ったり、踏み台のような小型の椅子を使用するのであれば、小さめのイーゼルで良いのですが、普通の大きさの椅子を使用する場合には、大きめのイーゼルを用意したほうが良いです。全然高さがたりないので。

イーゼルは、ある程度本格的にデッサンの勉強をするのであればあったほうが良いものです。でも、差し当たって、イーゼルが無くては絶対にデッサンができないというわけではありません。机の上にモチーフをセットして、机の上や机の角などを使って描くことは可能だからです。

ただ、B2とかの大きめのサイズの画用紙とパネルを使用してデッサンする場合は、イーゼルがあったほうが圧倒的にやりやすいです。

したがって、イーゼルも自分が「どれくらいやりたいか?」「どんなものをデッサンしたいか?」によって、用意するかどうか決めると良いでしょう。

椅子と姿勢について

椅子は、先程も少し書きましたが、基本は小型の踏み台のようなサイズに椅子に座るか、普通の大人が座るサイズの椅子に座って描く場合が多いです。デッサン用に特別な椅子を用意する必要はないです。(学校の美術室にあるような椅子が一番使いやすいですが、あんまり売ってるところがないんですよね〜。)

もしくは、自宅で描くのであれば、地べたに座って描いても良いでしょう。

しかし、ここで1つ注意しなくてはならないのが、一度描き始めたら、椅子の位置をずらしてはならないということです。

これはどうしてかというと、描いている人間の目線の位置が少し変わるだけでも、モチーフを見る視線の角度が変わってしまうということです。

実際にその辺にあるものを見ながら、自分の頭の位置を横に5センチとかそのくらい動かしてみるとわかると思います。たったそれだけで、デッサンとして画用紙に描くとしたらとてつもなく修正しなくてはならないくらいに形が変化して見えるはずです。

なので、椅子に関しては、キャスター付きの椅子はおすすめできません。コロコロがついていない、ごく普通の木の椅子や、シンプルな丸椅子などが良いでしょう。背もたれはあっても良いですが、無くても良いです。というよりも、描いている時は背もたれに寄りかからないようにしたほうが良いです。

「長時間のデッサンなんだから背もたれあったほうがいいんじゃん?」と思うかもしれませんが、デッサンを描く際の姿勢は非常に重要なのです。基本は背筋をぴーんと伸ばして、いわゆる「良い姿勢」で描くのが基本です。

これも理由があって、頭の位置がフラフラとあっちへこっちへ動くような悪い姿勢だと、それだけで自分の視線も移動してしまうのです。猫背になったり、はたまた足を組んだり、背もたれに寄りかかったり、だるい感じにしていると、視線が下やら横やらに色んな所に移動してしまうのです、そうなると、正しくモチーフの形を把握することが困難になってしまうでしょう。

猫背だったりすると、体への負担も大きいですしね。

なので、デッサンを描く際には、出来る限り良い姿勢で、なるべく一定の状態を保ちつつ描くことを心がけるようにしましょう。

描き終わったらフィキサチーフをかける

ホルベイン 画溶液  ビッグスプレーフィキサチフ O630 480ml

デッサンを描き終わったら、最後の仕上げとして「フィキサチーフ」と呼ばれるスプレーを使います。これは、いわゆる「定着液」と呼ばれるものです。

鉛筆デッサンを描いて作品が完成したとしても、それをもしも不意に触ってしまったとしたら擦れてしまって、せっかくのデッサンが台無しになってしまいます。

特に、デッサンなんてものは何枚も描いて練習するためのものだし、例えば絵画教室や美術予備校では他人の絵と重ねて保存される場合も多いです。鉛筆や木炭で描かれたデッサンは、重ねられただけでも輪郭がボケてしまう程の変化を起こす場合もあります。それだと非常に悲しいです。

また、他の作品にも鉛筆の粉がくっついてしまうので、他の人と共同で制作をしている場合、他人にも迷惑がかかります。

そこで登場するのがフィキサチーフです。

これを、デッサンにまんべんなく吹き付けることで、多少こすれても大丈夫なように鉛筆を定着させる効果があります。完全に保護する程の強力さはないけど、デッサンが完成したら必ず使用しましょう。

フィキサチーフを使うコツは、絵から30cmほど離してスプレー缶との距離を一定に保ちながら平行移動させることです。使用するのは屋外か、屋外が無理なら室内でしっかり換気しながらにしましょう。そうやって全体に吹きかけ、数分間乾燥させてから、(水張りしているなら)水張りから剥がします。

ホルベイン 画溶液  ビッグスプレーフィキサチフ O630 480ml

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ホルベイン 画溶液  スプレーハンディフィキサチフ O620 100ml

ホルベイン 画溶液 スプレーハンディフィキサチフ O620 100ml


追記:書きました。

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その他必要なもの

その他にも細かいところでデッサンに必要な物はあります。

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まず「ティッシュペーパー」。デッサンを描く時は、指で描いた箇所をこする場合があるのですが、それだけでは足りない場合、ティッシュを使ってこすることもできます。そんなに頻繁に使わないほうが良いものではあるのですが、ティッシュも部分的に使用するために用意しておくと便利です。

擦るということで言うと、「擦筆(さっぴつ)」と呼ばれる道具も、あっても良いと思います。

アルテージュ 擦筆(サッピツ) No.1

アルテージュ 擦筆(サッピツ) No.1

擦筆は、先端で擦ると指やティッシュよりも強力に画用紙の目を潰しながら擦ることが可能な道具です。と言うか、鉛筆等で描いた部分を擦るための専用の道具です。しかし、これはティッシュや指でこすれば十分だったりするので、用意しなくても大丈夫です。

他には、鉛筆の削りカスを入れておくものも必要ですね。これは、紙を折って紙箱を作ってしまうのが便利だったりします。

描くモチーフによっては、定規などもあったほうが良かったりもします。工業製品系のモチーフを描く時は、直線を描くことができる方が良いでしょう。

他には、必須ではありませんが「デスケル」や「はかり棒」と呼ばれる道具もあっても良いかもです。

ドラパス B-SCALE Bスケール デッサン用 B列用紙判 54012

ドラパス B-SCALE Bスケール デッサン用 B列用紙判 54012

デスケルは構図を決めるときに使用する道具ですね。しかし、これを使えるのはデッサンの序盤だけです。それに、紙のサイズと合っているデスケルを使用しないとずれるし、きちんとやったつもりでもずれます。なので、「あったら使ってもいいけど参考程度に使うくらいなら悪くない」程度のものです。だから、無理に入手する必要はありません。

また、デッサン用の「はかり棒」というのは検索するとネット通販でも売られていたりしますが、あれはそんなに使えるもんではありません。なくても大丈夫です。ただ、石膏像などの複雑なモチーフを描く場合は合ったほうが良いかもしれません。

余談ですが、僕がデッサンの勉強をしている時代は、自転車のスポークを皆で使っていましたね。要は、直線状の細い棒があればOKなのです。というよりもそういうタイプのはかり棒の方が圧倒的に使いやすいです。だから、はかり棒を用意するのであれば、わざわざ高いものを買う必要はありません。

デッサンの基本

ここまでのところで、デッサンに必要な道具やその使い方などについて説明しました。

ここからは、前提としてどのようなことを考えながらデッサンを描くべきなのか。その基本について書いていきます。

  • 構図
  • モチーフの印象を再現する
  • 光を表現する
  • 形を描く意識
  • 空間を表現する

以上の5つをしっかりとできていれば、デッサンとしては良いかと思います。

また、デッサンの勉強をしていく上で、「調子」という言葉を多用することになります。

そういった専門用語や、「写真とデッサンの違い」などに関しても合わせて説明していきましょう。

構図

まずは「構図」です。

構図とは、すごく簡単に言っちゃうと描くモチーフを、画用紙の中に「どのくらいの大きさ」で「どの位置」に配置するかということです。

実は、これがけっこう厄介で、デッサンで一番最初に構図を失敗してしまうと、あとで修正できません。なので、構図に関しては一番最初に真剣に失敗しないように決定するように心がけましょう。

基本的なルールとしては、画用紙の大きさと、モチーフの大きさと配置を考えて、バランスのちょうど良い配置にできればOKです。

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↑良い例

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↑大きさが極端に大きすぎたり小さすぎたりしている例

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↑上下左右のバランスが悪い例

モチーフを描くとき、実物よりも大きすぎても小さすぎてもダメだし、右寄りだったり左寄りだったり上下に上がったり下がったりしているとバランスが悪く感じてしまいます。しかし、難しく考える必要はなくて、モチーフの印象を表現できていて、一枚の絵として成立するバランスの良い構図であれば問題ありません。

なお、今回参考として描いたデッサン画6枚は、単品のモチーフを描いたものがほとんどです。なので、複数のモチーフを配置した構図に関しては今回は言及しません。

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↑以前書いた写真の構図の記事は、基本的にデッサンやその他の絵画と同じ理論で書いたものなので、参考になるかと思います。興味があれば読んでみてください。

モチーフの形を合わせる

デッサンの命題は「モチーフの印象を再現すること」です。

だから、自分が描くモチーフの形を、そっくりな状態に合わせる作業も重要です。まあ、そうは言っても難しいことではなくて、モチーフと描いたデッサンが似ていればそれで良いのですけどね。

今回描くモチーフは、単純なものばかりなので、形を合わせる作業はそれほど難しくありません。しかし、縦と横の比率を間違えてしまって、妙に縦長になったり横長になったり・・・などということはよくあることなので、しっかりとモチーフとデッサンを見比べて判断する必要があります。

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↑これに関しては、先日の「そっくりに形を合わせる方法」の記事に詳しく書いてありますので、そちらを見ていただければわかりやすいかと思います。

調子

調子」とはデッサンを描く際に使われる専門用語です。

鉛筆で画用紙に色を乗せるときに「調子をつける」と言います。

実は、デッサンにおいて「鉛筆で色を塗る」という表現を使うことはありません。というよりも意図的に避ける場合がほとんどです。

それは何故かと言うと、「鉛筆で描く行為」は立体感や光を表現して「形を描くもの」だからです。「色を塗る」という言葉の表現を使ってしまうと、形を表現する意識から遠ざかってしまうからなのでしょうねえ。ちょっとややこしいですが、ここからは「調子をつける」という言葉を用いてデッサンの説明していきます。

調子の明暗と彩度

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鉛筆でつけることができる「調子」には「明暗」と「彩度」の差があります。

明暗は普通に「明るいか暗いか?」ということです。B系の柔らかい鉛筆で思いっきり筆圧を上げてこれ以上無いくらいに暗い調子を「最大に暗い調子」とすると、「画用紙の白」が「最大の明るい調子」となります。

デッサンを行う際は、調子の明暗を上記の図で使用したような調子の差くらいの階調表現ができると良いですね。

また、鉛筆デッサンを説明する際に「彩度」という言葉を使うことがあります。

もちろん鉛筆デッサンは全部が無彩色です。だからすごく不思議に思われるかもしれません。しかし、上記の図を見ると彩度の「高い」「低い」が、なんとなくニュアンスとして感じられるでしょう。

具体的には・・・

彩度が高い→柔らかい鉛筆で描いた、画用紙の目が潰れていない調子 彩度が低い→硬い鉛筆で描いたり、擦ったりして、画用紙の目が潰れている調子

・・・ということができます。

基本的に、デッサンの手前側は彩度が高く、奥の方に配置されている部分やモチーフの側面や陰影や反射光などの部分は彩度が低い調子で描かれてることが多いです。

「調子の明暗」、それと「彩度の高低」を一枚のデッサン画の中でフルに活用して描きましょう。

デッサンを描く際には、「」を意識して表現をする必要があります。

要は、部屋の中だったら蛍光灯、屋外だったら太陽になるのですが、光源から発せられる光がありますよね。光があればそこには必ず「」があって、影はモチーフの光源とは反対側に多く出現して、床などにも影が落ちていくわけです。

光の表現を理解するためには、まず立方体等のシンプルな形状をイメージするとわかりやすいです。

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例えば、光源が手前側の左上辺りにあるとしましょう。そうすると、モチーフの上面が一番明るくなり、右側面は暗くなります。そして、右側面から右奥に向かって床に影が落ちます。

また、光はモチーフにあたる方向が変わると、それに連れて変化します。

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右奥辺りに光源があって、逆光に近いような状態であると仮定します。そうすると、立方体の右側面が最も明るく、左側面が最も暗くなります。そして、左側面から左手前方向に向かって床に影が落ちます。

つまり、デッサンで光を表現するということは、光の状況によって変化する「影」を表現することなのです

デッサンを描く上でおもしろいのが、光の当り方でモチーフのイメージが全く変わってしまうところだったりもしますね。

しかし、気をつけなくてはならないのが、全光(ぜんこう:手前側から光が当たること)でも逆光でも、描くモチーフの形は変わらないということです。

どのような光が当たっていても、そこに存在するモチーフの形を描くことができること、それが「デッサンが描ける」ということなのだと思います。

立体感

デッサンを描く際、意識すべきなのか「立体感」です。

これをどうやって表現するかというと、「」そしてこのあと説明する「空間」を意識することです。これらを意識して描くことで、「手で触ることができそう!?」みたいな立体感のあるデッサンを表現することが可能です

ただし、特に初心者のときにありがちなのが、細かいディティールに惑わされて「大きな形」を意識することを忘れてしまうということです。

「大きな形」とは、細かいディティールを無視した、大まかな形状のことです。よく言うのが、何かを描くとき箱状の形状を意識するということです。

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上記の図のように立方体に光が当たっていれば、面ごとに調子の濃淡の差が非常にわかりやすいかと思います。モチーフに、どんなに細かい凹凸がついていたとしても、大雑把には上記の図のような光が当たっていて、影が落ちているはずです。

例えば、人の顔は、「箱型の形状」に鼻や口や目ががついただけのものです。

石膏像 K?162 アグリッパ胸像(丸) H.58cm

アグリッパという石膏像があります。これは、デッサンの初心者が最初の方で描くことが多い代表的な石膏像の1つです。

実はこのアグリッパには「面取り」のバージョンがあります。

石膏像 K?163 アグリッパ胸像(角) H.58cm

こういうのね。

特にデッサンの初心者の時は、大きな箱状の形を意識しながら描くことが苦手です。それ故に、面取りされていて、立体感を意識しやすい石膏像が売られているのです。というよりも初めて石膏像を描く時は面取りされた石膏像を描くと良いかもしれません。

僕も高校2年のとき、初めて描いたデッサンは面取りされた「大顔面」という石膏像でしたね。

男子大顔面 面取(人体石膏像)【参考資料・観賞資料 石膏像】BB12728

こんなやつね。懐かしい・・・

モチーフを描く際には、細かいディティールよりも、面を意識して描くと立体感を表現しやすいです。

鉛筆のタッチと立体感

また、鉛筆のタッチも描いている部分に応じて方向を考えていくようにしましょう。

例として、水平な床などを表現するときに、垂直な線でタッチを入れてしまうと水平な感じが表現できません。そ

ういう場合は、水平な線、もしくな斜めの線などを使用して、形にあった線を使用することがけっこう重要だったりします。

空間

デッサンに限らず、絵画表現を行う際、「空間の表現」は必要です。

空間とは、わかりやすく言うと、「奥行き感」のことですね。「デッサンの絵の中に手が入れられそう」な表現ができていれば、空間表現ができていると言って良いと思います。

もう少し詳しく説明しましょう。

モチーフの置かれている空間の表現を正しく行うには、デッサンを描く人間に対して、描いている箇所が「遠いか近いか」を理解して、それを正確に表現することが必要です。

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例として、「角材」が目の前にあるとします。そうすると自分から一番近い角は「1」の角でしょう。そして次は「2」「3」と徐々に自分からの距離が遠くなって、一番遠いのは「7」の角です。

デッサンでは、この「1〜7」の距離感を、絵の中でもそのように見えるように表現しなくてはなりません。それを行うためには、自分とモチーフの距離を正しく認識しつつ、それを意識して描くことが必要になってきます。

ただ、「空間」に対して完璧に意識できるようになるのは、相当にデッサンに慣れてからなので、最初からこれができる必要はありません。むしろできないのが普通ですから。

しかし、頭の片隅に置いて、絶対に覚えておくべき重要なことではあるでしょう。

背景と床の空間

また、もう1つ考えたいのが、空間表現に関連して、「背景(空間)」と「」の意識についてです。

デッサンの「背景」の部分は白いまま、何も鉛筆で調子をつけない場合も多いですが、それはそれで「白い空間」として表現しなくてはなりません。

そしてそのためにも、実は「床」はデッサンにおいて非常に重要な要素だったりするのです。

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床と空間の関係性は、具体的には「1〜6」の順番で徐々に手前から奥に向かっていき、「7」の背景(空間)が最も遠い場所にあります。

床に落ちている影や距離感を上手に利用して、「床の平らな感じ」を表現するのは、実はとても大事なことです。「床に落ちている影」を描くのではなくて、「床が水平に奥に向かって伸びている」という意識で描きましょう。

そして、「床の手前→床の奥→白い空間」という感じで、徐々に奥行きを作っていく意識でデッサンを描くようにすると、空間表現が豊かなデッサンとなります。モチーフの各箇所の距離感、床の水平な奥行き、これらをきっちりと表現することで、自ずと背景の白い空間も、「自然な空間」として見えてくるのです。

ただ、これも、最初は何のことを言っているかわからないような難しい話だと思うので、まずは頭の片隅に置いておけば良い話かもしれません。

こまめに遠くに離れて見る

さて、ここまでで「モチーフの形」「光」「立体感」「空間」について説明を書いてきました。基本的にこれらが意識できていれば、相当にレベルの高いデッサンとなるはずです。

しかし、これらを意識してデッサンを描いていても、実際にできているかどうかは別の話です。集中してデッサンを描けば描くほど、それはよくわからなくなってしまうものです。

そこで、熱くなった頭を冷やす意味も込めて、こまめにデッサンから遠くに離れて、自分の描いた絵を冷静に観察する時間を持ちましょう。椅子に座って描いているのであれば、そこから立って、後ろに下がるだけでも良いです。または、絵を別の場所に持っていって、壁に立てかけて3〜5メートルくらい離してじっくり見てみても良いです。とにかく、自分のデッサンを客観的に見ることができる時間を持ちましょう。

これはすごく重要なことです。

デッサンの目的とは、自分の「主観」で見ているフィルターを取り除くことだと、この記事の前半部分で書きました。そのためには、こうして、クールダウンする瞬間が必要なのです。

視力について

少し余談になってしまうのですが、「視力」もデッサンに影響しないとは言えない部分です。

僕自身は、裸眼で1.5の視力なので、目が悪い人の気持ちをあまりわかってあげることができないのですが、あまりにも視力が低くて、さらに乱視だったりするとモチーフの状況を理解することが困難だったりする場合があるようです。

なので、観察することが困難な視力の場合には、自分の目に合っているメガネやコンタクトレンズを使用するようにしましょう。

また、さらに余談ですが、視力の低さは悪い影響ばかりではないんですよね。

視力が低いと、細かいディティールなどは見えにくくなるのだけど、逆に「光」や「立体感」「モチーフの塊感」「空間」などは、細かい部分にとらわれない代わりに見えやすいそうです。だから、どちらかと言うと、大らかで自然な雰囲気のデッサンを描く傾向があります。

僕は、逆に視力が良いので細かい部分ばかり見えてしまい、初心者の頃は、細かくかっちりと描けているけど、大らかさのない硬いデッサンになっていました。それ故に、「こまめに離れて見る」時間が、人一倍必要でした。全体感を(自分の中で)強く意識して描かないと、硬くて平面的な絵になってしまいますから・・・

逆に、視力が低い人は、モチーフに近寄って細かい部分を観察したり、時には触ってみたりしても良いかもしれません。そうやって、ディティールがどうなっているのか理解して、理解した情報を画用紙に描いていくと良いと思います。

視力の高い低いは、一長一短な部分があります。故に、自分の目の能力を理解して、モチーフと自分の描いているデッサンに適切な距離感で向き合っていくことが重要なのではないでしょうか。

写真とデッサンの違い

また、目の前のモチーフの印象をそのまま描き写すデッサンというものに関して、よく言われるのが「写真で良くない?」という話です。

確かに、スーパーフォトリアリズムみたいな絵画作品に関してはそうかもしれません。

しかし、デッサンは違います。

と言うのも、ここまでで説明した「光」「立体感」「空間」に関しては、写真では再現が不可能です。デッサンにはデッサン画の魅力があります。

デッサンを描いて、訓練する意味とは、写真では表現できない部分を観察して表現する力を養う点にあります。それが作品制作の基礎の能力となっていくわけですね。

故に、写真模写よりも、実物のモチーフを目の前に置いて描く練習をしたほうが、練習になるし、モチーフから得ることができる情報量も非常に多いです。

写真よりも多くの情報をモチーフから観察することによって得て、それを目の前の画用紙に描き写す行為、それがデッサンというわけです。

デッサンを描く工程

ここからは具体的なデッサンの描き方の解説をしていきます。

具体的にどのような手順で描いていけば良いのか?どのような部分に気をつけるべきなのか?ということに対して6枚の基礎的なモチーフを描いたデッサンの画像と照らし合わせながら見ていただければと思います。

ちなみに、これから紹介するデッサン画は、自分で言ってしまうのもなんですが、そこまでレベルが高いものじゃありません。言い訳すると、短時間&久しぶりだったので、あまり上手くできなかった部分もかなりあります。しかし、デッサンとしての基本的な部分はまあまあできているはずなので、参考として見ていただく分には問題ないかと思います。

※ちなみに今回のデッサンは、記事の冒頭でも書きましたが、3年ほど前に久々に描いたものです。A4の用紙を木製パネルに貼り付けて描きました。この記事で紹介する画像は、デッサンの雰囲気をわかりやすくするために、トリミングをして大きめに切り取った構図となっています。

リンゴ

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まずはリンゴのデッサンを描いていきます。

リンゴは、非常にベーシックなモチーフですね。デッサンのモチーフとして使われることが非常に多いです。

しかし、シンプルなモチーフであるのですが、実はデッサンの基礎的な要素が沢山詰まっているモチーフでもあります。なので、「リンゴが描ければなんでも描ける!」とか言うこともありますが、これは案外冗談ではなかったりするのですよ。

リンゴの基本的な形状

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リンゴの基本的な形状は球体に近いです。球体に中心軸があって、そのてっぺんが凹んでいてその中央から「リンゴのへた」が生えているという理解をしておきましょう。

まあ、厳密に言うと、真上から見ると「五角形」に近い形状と言われているのですが、ここではシンプルに考えるために少し端折って説明をしていきます。

リンゴとは、五角形が少し変化して球体に近くなり、でもまだ五角形の角が薄っすらあって、真ん中からへたが生えている・・・というような認識で良いでしょう。

モチーフが置かれている状況を理解する

まず、デッサンを描き始める前に、モチーフが置かれている状況を理解するところから始めましょう。

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「光源」は蛍光灯の光です。自分から見て手前側、左上から発射された光がリンゴに当たっているイメージです。

そして、その光が最も多く当たっている箇所が最も明るく、その側面辺りが暗く、もうちょっと回り込んでいくと床からの反射光で少し明るくなっています。そして、床には影が落ちていて、背景は白い空間です。

そんな感じの状況を理解して、大まかにどのように調子をつけていけば良いのか?仕上がりはどんな雰囲気のデッサンになるのか?こういった計画をなんとなく考えてから描くと効率が良いです。

また、リンゴは色が赤くて、リンゴの質感と模様があります。それを意識しつつも、光や立体感の印象を損なわないように描いていくのがポイントとなります。

線描と稜線

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まず、線描をして、リンゴの形を画用紙に描いていきます。プロポーションが、モチーフの印象と同じようになるように、しっかりとモチーフと見比べながら描いていきましょう。

この時、「稜線(りょうせん)」と呼ばれる線も、少し書き加えておくと良いかもしれません。「稜線」とは、モチーフの形が大きく変わる場所のあたりとして薄く描く線のことです。

デッサンとは、平面上に立体物を描いていく作業です。なので、稜線を描くことで、より立体に対する意識を高めていくことができます。

大まかに調子をつける

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↑形がとれたら、大まかに調子をつけていきます。光を意識して、最も明るい場所は画用紙の白を残しておきましょう。

暗いところは強めの調子をつけて、反射光の部分は、擦るなどして彩度を少し下げておくとそれっぽく見えます。

また、この段階から床の影や奥行きの意識もしていきましょう。

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↑強めに調子をつけるところは思い切ってつけていきましょう。特に床との接地面、形の変わり目である稜線の部分、リンゴのへたなどは、ガッツリと濃い目の調子をつけていくほうが、リンゴっぽい印象が出やすいです。

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↑全体的に調子がついてきたので、この段階からは少し細かい部分を描いても良い段階かもしれません。

また、重要なのが、これはデッサン全体を通しての話なのですが、鉛筆のタッチは「モチーフの形に沿ったタッチ」で描きましょう。

リンゴの曲面に合っている方向の線を大量に重ねていくことで、リンゴの立体感をより強いものとして表現することができます。また、床は水平なので、床に落ちた影は「水平に近い線」で描くと、床の平らな印象を表現しやすいです。

形のつながりを意識して描く

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↑細かい部分に手を入れていったおかげで、形のつながりが少しバラバラになってきた気がします。そこで、もう少し具体的にどのような形状をしているか認識しながら描くことが必要です。

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↑かなり雰囲気ができてきました。あとは、全体の質感や立体感を意識して作業を進めていきます。

また、床等も、空間の表現のためには、もう少しだけ具体性が欲しいところです。床はモチーフの一部だと考えるようにしましょう。

完成

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3時間ほどで完成です。

ちょっと時間かかり過ぎですが、久しぶりのデッサンだと描く感覚を忘れてるので、こんなもんでしょう。ですが、けっこう描き込めたと思います。

一応、リンゴの赤い色や質感、立体感などは上手くできたと思います。また、床の表現もそこそこできたと思います。

リンゴは基本的なモチーフでありながらも、意外と難易度が高いモチーフです。なので、一度本気で描いてみるとかなり勉強になりますよ。

角材

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次は「角材」のデッサンです。

角材は、木製の直方体の形状をしていますね。なので、基本的には先程、図に出したような「箱の意識」を持って描くにはわかりやすいモチーフであると言えます。

少し気をつけてほしいのが、木の質感の表現です。角材は、直方体として描けば良いだけのモチーフではありますが、その表面には木の質感として「木目」などがありますね。これに惑わされて、光や空間の表現がおろそかになってしまいがちなモチーフなのです。

まず「直方体」としての立体感と光を表現して、さらにその上に木目の模様が入っている・・・という感覚を忘れないように描くことが大切です。

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まずは、下書きとして、HBくらいの鉛筆を使用して、角材の線描をしていきます。

2点透視法について

この時、考えなくてはならないのが「パース」と呼ばれるものです。パースとはいわゆる「遠近法」ってやつのことです。

ほら、中学校の美術の時間に「1点透視図法」とか「2点透視図法」とか「3点透視図法」とか習いませんでしたか?あれです。

これは、「消失点」と呼ばれる点がいくつ存在するか?で決まるものなんですが、ぶっちゃけ、あまり難しく考えなくても良いです。

いちいち、デッサンの度に図を描いたりしていたら時間がいくらあっても足りないし、むしろデッサンの経験を積んでいっての最終的な目標の1つは「一目見ただけでもパースの狂いがわかる」ことだったりもするからです。訓練を積むと、正確に遠近法を再現できるようになり、遠近法が変なところは違和感を感じることができるようになります。

だから、基本は、モチーフを見てそのままを描くことを心がけるだけで良いでしょう。それが一番間違いありませんので。

ただ、その難しい「なんちゃら図法」という言葉を使うとすれば、通常、デッサンを練習する場合には「2点透視図法」を使用することが多いです。

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↑このように、垂直の線は、画面上でも画用紙に対して垂直の表現をします。

そして、上面と接地面(下面)は、上面の方が視点から水平に近いので、狭くなります。そして接地面は実際に角材を見たときに見えないのだけど、見えると仮定すると広いはずです

上の図のように、直方体等の形を取る際には、見えていない部分も計算に入れて、線描をすると良いでしょう。

大まかな調子をつける

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↑線描の上から大まかに陰影をつけていきます。直方体なので、こちらから見える3つの面で明暗が大きく分かれているので非常にわかりやすいですね。

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↑描いている箇所が空間的にどのくらいの位置に存在しているのか?そういったことも、鉛筆の強弱をつけながら表現していきましょう。

一番手前の角が最も強く表現してあります。この印象を崩さないように描き進めていきましょう。

木目を描く

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↑全体的な立体感や空間感が良い感じになってきたら、木目も描いていきましょう。

ついつい木目だけをガッツリ描いてしまいたくなるものですが、大事なのは全体の印象です。光や空間が弱くならないように、全体の印象を崩さないように、調子をつけていきます。

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↑全体的にそれっぽくなってきました。角材なので、もう少し重たい印象が欲しい所です。

今の全体の印象を崩さないように、さらに調子をつけていきます。

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完成です。所要時間は2時間でした。

木材の質感を表現しつつ、光や空間を上手いこと表現できたのではないかと思います。

ビール瓶(小)

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ビール瓶のデッサンです。モチーフとして使用するのは中瓶ではなくて、330mlくらいの小さいビール瓶ですね。

リンゴや角材と違うのは、ビール瓶がガラス製であるということです。

透明感のある素材なので、透けている感じや、ツルツルの質感や、周囲の反射なども考慮して描いていく必要があります。

しかしながら、デッサンとしての基本としての、「光の当たっている印象」や「立体感の表現」は、同時にきっちりと行うことが重要だったりする、描くのが少し難しいモチーフです。

円筒状の形

ビール瓶の基本形状は「円筒」に近い形状をしています。

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上の図のように、円筒の形をとる際には、「円」を斜めから見た部分、つまり中心線を中心に左右対称に「楕円」が連続している形状であると認識してください。

2点透視図法的に観察していくので、高さによって楕円の広さが違います。底面に近いほど広く、↑面に近いほど狭いです。

そして、見えにくいけど、他のモチーフと同じように光が当たっていて、立体感もあります。

このことを、しっかり理解して形をとっていきましょう。

線描と反射

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↑まずは、ビール瓶の形を線描をしていきましょう。この時、反射や透けているところも、ある程度の「あたり」をつけるように線を描いておくと良いです。ガラスの質感の表現のためには必要な要素だからです。

ただ、これらの反射や透明感はあくまで現象であって、そこに惑わされすぎないで描くことが、ガラス製品を描くコツだったりします。

調子をつけていく

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↑まずは全体感を出すために大まかに調子をつけていきます。

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↑ガラス製品なので、立体感を意識しつつも、質感表現のために、ハイライトの部分なども早い段階で表現しておきます。

また、他のモチーフを描くときよりも、少し硬めのH系の鉛筆を使う箇所を増やしたりとかの工夫が必要だったりします。(と言っても、茶色い瓶なので、濃い鉛筆も使わないと色味を再現できないのですけどね。)

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↑かなりいい感じに雰囲気出てきました。ただし、このままの印象で描き進められないかもしれないのがデッサンの怖いところ。

ガラス製品の立体感

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↑かなり雰囲気良く描いていけていたと思ったら、少し立体感が弱くなってきてしまいました。

これは、ガラス製品の現象を追いすぎて、光や空間の意識が弱くなってきたせいです。

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↑そういう時は、思い切って、練り消しを使ってガッツリと修正してしまうことも大事だったりします。こうやって、ときにはガッツリと練り消しを使用して、光が当たっている部分とそうでない部分を整理するのです。

全体の雰囲気を整えることで、さらにデッサンを描きこんでいくことができるます。

完成

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完成です。ちょっと苦戦して、3時間かかりました。

しかし、ビール瓶の色味やガラスの質感、それに立体感はそれなりに表現することができたのではないかと思います。

金属製計量カップ

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お次は金属製の計量カップです。

金属製のモチーフも、ガラス製品と同じで、反射を描くことによって質感を表現しつつも、立体感や光を表現しなくてはならないのが難しいところです。

いろんな意味で非常に難しいモチーフでしたね。(全然初心者向けじゃなかったです。)

楕円と、取っ手の角度

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図を見てもらうとわかるけど、計量カップは楕円の連続です。

水位のメモリの部分は全て平行な円になっています。だから、それを意識して形をとりましょう。

また、取っ手の部分も適当ではダメです。上の図のように「一番上の楕円の中心点を通って伸びてきた線が中心にあるもの」という理解をしましょう。

工業製品系のモチーフを描くには、こういった「構造の理解」が必要不可欠なんですよね。

線描

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まずは、線描して形を取ります。意識すべき点が多いので、中心線や取っ手の角度など、補助線が非常に多いです。

調子をつける

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↑まずは大まかに調子をつけていきます。

しかし、このモチーフの難しいところは、側面部分が斜めになっているところですね。だから、陰影が見えにくいです。だから、少々光を作って、表現してあげるくらいでも良いかもしれません。

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↑徐々に強い調子をつけていきます。また、金属の質感の表現のために、いつもよりも硬めのH系の鉛筆を多めに使用したほうがそれっぽく表現しやすいです。

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↑全体の雰囲気は見えてきました。

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↑陰影の変化が非常に少ないのですが、手前と奥の空間、カップの回り込みの部分などを、鉛筆の彩度の変化などを上手く使いながら描けば、立体感も表現しやすいです。

完成

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完成です。所要時間は2時間でした。

非常に難しいモチーフでしたが、かっちりした雰囲気と立体感は表現できたかなと思います。もうちょっとツルッとした計量カップの表面の質感がもっと出せればよかったかな・・・

それと、今になって見てみると楕円の形が歪んでるよね・・・あんまりうまくできませんでした。

アンビルとカラーボール

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鉄製のアンビルと、近所の100円ショップで買ってきたカラーボールの組み合わせです。

今回、初めての2つのモチーフを組み合わせたデッサンです。

球体がアンビルの上に乗っている感じと、カラーボールの軽い感じと、鉄の塊であるアンビルの重たそうな雰囲気を表現できればよいかと思います。

工業製品の構造

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さてこのモチーフ、工業製品系のモチーフですから、鉛筆を握る前に構造を理解するところから始めましょう。

まず、アンビルには直線の部分がたくさんあるのですが、その中でも平行になっている線がいくつもあります。図の中で同じ色で描かれている線は全部平行な線です。しかし「パース」がついているので、平面上に描き出すときに、実際に平行に描くわけにはいきません。

なので、デッサンの中では、「平行に見えるように」形を取りましょう。

また、上に乗っているカラーボールは球体なので、外径は「」です。コンパスで描いても良いくらいのモチーフです。ですが、ボールには2本の線が入ってて、それは2本の平行な楕円を意識して形をとりましょう。

構造を意識しながら線描する

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そんなわけで、構造を理解することができたならば、それに従って線描して形を取ります。

余談ですが、僕のデッサンのやり方は最初に「線描」をして形をとります。ですが、逆に「調子」を先につけていく人もいます。どちらでもやりやすい方法でやれば良いと思いますが、最終的なゴール地点は同じものであると考えてください。

しかし、今回のようなモチーフで工業製品の構造の勉強をするというような場合には、線描をして、しっかりと形の理解をしていく方が良いかなという気はします。

調子をつける

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↑まずはいつもどおりに、大まかに調子をつけていきます。

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↑今回のモチーフはかなり色味が濃いモチーフですよね。だから、早めの段階から柔らかめのB系の鉛筆でガッツリと濃い目の調子をつけていったほうが、良いでしょう。

カラーボールの光沢感や、アンビルの重量感なども早い段階から意識して調子をつけます。

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↑アンビルの微妙なザラザラ感や、カラーボールの反射やハイライトの部分などは、鉛筆をたててカリカリと描いたり、練り消しをチョンチョンしたりして使って、表現していくとうまくいきます。

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↑ガッツリ系のモチーフなので、そればかりに集中していると、床やカラーボールとアンビルの関係性を描くのを忘れがちになってしまいます。

この状態までくると、かなり鉛筆が入って、モチーフの質感がそこそこ再現できてきていますが、それ以外が弱い状態です。全体の印象からすると、床の影や、ボールの影が少し弱いです。

なので、全体を見直しつつ、全体をさらに描きこんでいきます。

完成

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完成です。4時間もかかりました。

時間をかけただけあって、かなりモチーフの雰囲気に近い感じに描くことができたのではないかと思います。

大まかな立体感だけではなくで、細かいディティールなどもしっかりと描くことで、重さなどまで表現することが可能だったりもします。

このモチーフの場合、工業製品の構造の理解と、モチーフ同士の関連性なども意識して描くのが重要なところでしたね。

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最後に、僕の「靴」の片方をモチーフとして使用したデッサンを紹介します。

靴も、デッサンのモチーフとしては非常に描くのが楽しい物の1つですね。描きごたえがありますから。

ただし、細かい表情が多いので、それに惑わされないように立体感と光と空間を意識しながら描きつつ。質感を表現していきましょう。

面取りのイメージ

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靴は、大まかに言うと上記の図のようになっているはずです。

描きたいところが非常にたくさんあるモチーフではあるのですが、ここでも重要なのは「箱」のイメージです。この四角い面取りされた形のイメージから外れないように描くことが、靴のデッサンの非常に重要なポイントですね。

その大まかな塊の形状の中に、皮の質感であるとか、紐がくっついているという認識でデッサンをしましょう。

雰囲気を掴みながら描く

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↑これまでのデッサンと違って、どちらかと言うとざざっとした感じでスタートしていきます。工業製品のデッサンと違って、構造の正確さよりも、全体の雰囲気のほうが大事であると判断しました。

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↑一番手前のつま先の辺りを起点として、そこから奥行きができているという認識で描き進めていきます。

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↑徐々に細かい部分も描いていきます。

靴紐も立体物

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↑全体の雰囲気はできてきているので、徐々に靴紐なども描いていきます。しかし、ここで考えてほしいのが「靴紐も立体物」であるということです。

靴紐の形状は、細い円筒が曲がりくねっているようなイメージですね。なので、その形状のものに光が当たったとしたら、「どのような影ができるのか?」「どの部分が明るいのか?」そういったことを良く観察しながら描くようにしましょう。

細部を描きこむ

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靴は非常に情報量の多いモチーフです、なので、光と立体感と空間を意識しつつも、細かい部分まで描いていきます。

描くのが非常に楽しいモチーフですね。

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鉛筆は寝かせて使うのが通常ですが、細かい部分は鉛筆を立てて描きます。鉛筆も、B系とH系を使い分けて、適した箇所に、適した調子を入れていきます。

また、練り消しも上手に使って、調子をつけすぎたところを明るくしたり、先を尖らせて細かい部分を明るくすることで描写をしていきましょう。

完成

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完成です。描くところが多かったので、気づいたら5時間も描いていました。

靴は非常に情報量の多いモチーフなので、描き込みをしていく作業が非常に楽しいモチーフです。

ただし、その過程の中で、「面」の意識が薄れてしまいがちです。それを忘れずに、描くことができれば絵になるし、よいモチーフであると思います。

まとめ

長くなってしまいましたが、以上がデッサンの描き方の解説でした。

デッサンとは、非常に奥が深いものです。なので、きっちりと説明していこうとすると、どうしても長くなってしまいます。ですが、デッサンの基礎を理解するという意味では、これくらいは最低限必要であると思います。

ですが、最初から最後まできちんと読んでくれたならば、デッサンに関する基礎の知識はほぼ大丈夫なんじゃないかと思います。

この記事の序盤の方でも書きましたが、デッサンとは、あらゆる作品制作の基本となる能力を鍛えるための訓練です。それは、絵画系でも、イラスト系でも、立体系であっても、どんなジャンルの作品を作る人間にとっても、関係なく必要なものと思います。

ここ最近は、「絵」というと、デジタルな手法で描くのが主流ですよね。でも手法は違っても、ペンタブレットなどを使って描く場合も、アナログできちんとしたデッサン力をつけていれば、レベルの高い絵を描くことができるでしょう。もちろん、デッサンそのものをデジタルな手法で練習してもかまわないと思います。

要は、手先のテクニックよりも、観察する力が身につけばそれで良いのです。それがデッサンの最重要目的です。

そして、もちろん、デッサンを描けない人が優れた作品を作れないというわけではありません。それとは関係なく、すごい作品を作ることができる人も世の中にたくさんいますからね。

ただ、デッサンの訓練を積むことで、作品の説得力みたいなものを高める効果は確実にあると思います。

そういった意味で、ものを作ったり描いたりしていくために必要な能力を得るためには、デッサンは、練習する意味のあるものであると言うことができるでしょう。

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