3月も中旬に差し掛かりまして、花粉で鼻つまるな〜・・・そう言えば東京芸術大学の合格発表ぼちぼちだなあ〜・・・というかもう終わった?とか思っていたら↓の記事を目にしました。
僕個人の話をしちゃうと、芸大に在籍していた頃は作品制作するのが楽しくてずっと作っていた人だったので、「病む」とかそういうことで悩んだことはあまりありませんでした。
だけど、芸大を修了してから10年くらい経過した今にして思えば、僕の周囲の同級生や知り合いだけでも、鬱になったり、飛び降りたり、学校に来なくなったと思ったら突然退学したりした人が何人かいるわけです。残念ながら亡くなってしまった同級生もいます。(詳しい原因はよく知らないけど・・・)
なので、言われてみれば東京芸術大学に限らず芸術系大学の学生生活は非常に病みやすい環境と言えるのかもしれません。僕は工芸科だったのですが、油絵科みたいな純粋芸術系の学科の学生はより自分の内面と向き合う作業が主になってくるので、デザインや工芸とは比べ物にならないくらい病みやすいのかもしれません。
上記のリンク先の記事でも病まないための方法について書かれていますが、こちらでは、芸大で経験したこと、周囲の病んでた人の様子、人から聞いた病んだ人の話などを踏まえた上で、僕なりに芸大で病まないための方法について書いてみようと思います。内容的にかぶっちゃった部分もあるんですけどね。書き出してみたら6つくらいありました。
今回の話は東京芸術大学での話がメインになりますが、他の美術系大学の学生でも当てはまる部分もあるかと思います。
まあ、病む人は気をつけていても病むとは思うんですけど・・・うーん。
ちなみに冒頭に載せた写真は僕の卒業制作の作品(懐かしい!)なのですが、これを作る前はいろいろ悩みすぎて毎晩のようにブツブツ言いながら深夜徘徊していたし、作り始めたら始めたで作業が間に合わなくて自宅で真冬の深夜なのにハンダ付けするので換気のために窓を全開放して午前4時とかまで作業してました。で、完成直後は「なんかイメージと違う」ってなって、ものすごく落ち込んじゃったんですけど、そんなときに研究室の先輩に「なんか表現が硬いよね」と無慈悲なダメ出しをされたりしました。そして、その二年後の大学院修了直後にその先輩と結婚することになるのですが・・・あ、それは関係ないですね。
まあ、こうして改めて文章化して客観的に見てみると、比較的楽しく病気をすることもなく学生生活を送っていた僕ですらも少し病んでる部分はあったのかなあと思うこともあるというわけです。
<目次>
東京芸大に入学して病まないためにはどうしたらよいか
僕、3浪して東京芸大の工芸科に入学した後、学部4年、大学院2年で学生生活が終わった後、助手を2年やったので合計8年も大学に在籍していたということになります。かなり長く東京芸大にいた方なんじゃないかと思います。
いろんな人と知り合ったり関わったりしてきましたが、「病んでるな」と感じる人は学科を問わず一定数存在していました。
今現在、ちょっとしたイベントでお邪魔する以外は、もう何年間も芸大とか関わっていません。なので、僕の在籍していた時代と今とでは多少事情も違っている部分があるかもしれませんが、もしもあったらその部分は申し訳ありません。入試の倍率も昔と比べるとかなり下がっているみたいだし、ひょっとしたら在籍している学生の雰囲気も変わっているかもしれません。
それと、なるべく芸大の美術学部全体に話を広げながら書くつもりだけど、僕は工芸科なので※他の科では当てはまらない事柄もあるかもしれません。そこのところもご了承ください。
※音楽学部は美術系の学生とは事情もかなり違うし知り合いも少なかったので今回は触れません。
周囲を気にしない
まず前提として、東京芸大ってのは周囲の同級生、先輩、後輩、もっというと教員も、周囲の人間のほぼ全員が芸術に関わっている特殊な空間です。
なので、周りの人が何かを作っているのか?どんなことを考えているのか?そこにいるだけで、創作に関わる情報がめちゃくちゃ入ってきます。
芸大関係の友達と飲みに行ったりすると、ずっと作品制作やアートのこととか深い内容についてずっと話したりするのがけっこう当たり前です。逆に一般的な飲み会の定番の恋愛の話や愚痴やテレビの話などの会話はあんまりありません。
頑張るのは当たり前。その上で、良い作品を作ることが善で、微妙な作品を作ったりしたらそこはバッサリといかれます。実力主義な世界です。
そういう環境の中に置かれて「ふっ、やっぱり自分の作品が一番最高だぜ!」という感じで自信たっぷりに突っ走ることができるのであればOKです。ま、そこのところは、芸大生は自分しか見えないやばい人が多いので大体大丈夫だと思います。
だけどここで「ああ・・・皆すごいなあ。考えてることもすごいし、作品の技術も内容も敵わないよ・・・」なんてことを考えたりしてるようだと病むかもしれません。
確かにすごいのを作る人もいるけど、他人を気にする必要はあんまりありません。むしろ、(誤解を恐れずに言えば)基本的には自分の道を極める方向性で大丈夫です。
で、特に東京芸大の場合、他の美大と比べると少し特殊でして、それは現役生が少ないってことなんですよね。ちなみに僕と同じ年に工芸科に入学した同級生で現役生はいませんでした。一番年下で一浪です。
そんな感じなので、ほぼ全員がある程度は基礎的なデッサンとかの訓練は一通り終えている状況なんですよ。だから、そんな中で基礎的な美術理論とか技術とかが身についていないといろいろと大変です。というのも、そういうデッサン力や構成力の有無ってのは才能があるなしとか以前に、明確に差がわかりやすい部分だったりするんですよね。講評会とかでも、基本的なところができていないと真っ先に突っつかれちゃって、本当に大事なところは時間の関係で突っ込まれなかったりとかします。
だけど、そういう基礎的な訓練てのは、入学前に美術予備校でやるわけですが、現役生は浪人生と比べるとどうしてもその訓練の量が足りません。そんなわけで現役で受かっちゃったりすると、年上のお兄さんお姉さん達が皆すごい人のように見えてしまって変に自信がなくしたりする人もいるみたいです。まあ僕の直接の知り合いだと現役合格した学生の中で(表面上)悩んでるっぽい人はいなかったんですけどね・・・
現役で芸大に合格できる人って感覚的にものすごく鋭敏なものを持っている人が多いし、正直言ってすごいと思うんですけどね。
もうちょっと別の言い方をすると、東京芸大に入学する(できる)人は基本的には全員※変態なんですよ。だけど、そんな変態ばかりの中に置かれてしまうと、周囲の変態っぷりに自分が埋もれてしまったように感じる人もいるってことです。
基本的に「作品制作」とその「作品の良し悪し」でほぼ全てが決定する特殊空間なので、自分の作品に自信が持てないってのは死活問題なんですよ。精神的に。
てなわけで、周囲を気にしないで自分のことだけに没頭すること、そして自分の変態性に自信を持ってそれを活かして作り続けること、それが病まないためにはけっこう大事だったりするのではないかと思います。
芸大美大で病まずに学生生活を送るのであれば、周囲のことなんか考えずに自分の道を突っ走るくらいでちょうど良いのです。
※変態は褒め言葉です。
評価を気にしすぎない
東京芸大の学生に限ったことじゃないのだけど、芸術系の人間って自分の作品や作品制作がアイデンティティだったりするんですよね。
デリケートな人だと、作品が良いのができなかったり、他人から批判されたりするとそれだけで飛び降りたりするんじゃないか?ってくらいに、深刻な精神状態になったりします。
だけど、芸大も大学ですから、作品を作ったら作品を提出して講評会とかで評価を受けることになります。で、そこではけっこうキツイことも言われるんですよね。「なんでこれを作ったの?え?じゃあ別にこれじゃなくて良くない?」とか「そんなもん作んなくていいよ」とか「そもそも構図が良くない」とか、けっこうバッサリいかれます。
で、講評会で言われたことってのは「意味不明・・・さっきのマジ糞だな」って思うこともあって、そういう時は全然いいんですよ。だけど、核心をついたことを言われた時は精神的にけっこう来ます。正直、核心をついたことを言われた時は、自分でもすでに薄々感じていたりすることだったりします。なんとなくわかっているのにできない・・・作品制作が全ての人間にとって、否定されて、その否定が的を得ているときほど悔しさもやばいです。
だけど、大事なのはそういうときに深刻になりすぎないってことなんですよね。
面と向かって自分の作品を否定されると落ち込むし、人によってはそれが続きすぎると病むかもしれません。そういう時は、(なかなか難しいけど)前向きにいきましょう。むしろ問題がわかっているのであれば全然良くて、次にまた良いのを作れば良いのですから。
少し話が変わるけど、ぶっちゃけ芸大の先生にも色んな人がいるという話です。もちろん尊敬できる先生もいるんだけど、本当に「何こいつ?」っていう先生もけっこういます。だから、そういう微妙な人の評価を気にするのは時間のムダだったりもするんですよね。冷静に考えてみると。
そして、問題なのは微妙な人の「糞な否定」を真に受けすぎることだったりもします。
例えば、大学院生の頃、わざと少し重量を重たくした作品を作ったことがあったんですけど、そのときに言われたアドバイスがひどかったことがありました。
その作品、手に持ったときの重量感とかそういうのを大事にしようと思ったので、鉄の塊を旋盤で削り出して作ることにしたんですよね。と言っても重さ1kgとかそのくらいの重さです。で、それをとある講師にプレゼンしたら「以前展示に来たおばあさんが重いと持てないからいらないって言われたことがあってね・・・だから重いのはダメだ」とか言ってきました。
いやいやいや!僕、重さを重くする意義についてたった今、熱く説明しましたよね?話聞いてた?・・・って思いました。結局最後は当初の予定のままゴリ押ししたのでよかったのですが、先生によっては役に立たないどころかマイナスになる助言をしてくることも珍しくないです。(文章だけだとわかりにくいかもしれなくて大変に申し訳ないのだけど)あの時は本当にひどいなと思いました。
他にも、いただいたアドバイスや批評の中で「は?」と思った記憶がたくさんあります。そういうのを真に受けつづけていると病むので、先生の言うことは適度に流すくらいでちょうど良いと思います。
そもそも芸術には明確な正解がなかったりもするので、自分の信じるやり方を信じてやり続けるのが、精神衛生上最も安定したやり方なのではないかと思います。
友達を作る
芸大に入って制作に明け暮れる日々を送っていると意外に忘れがちなのが、友達を作るってことです。いや、それで大丈夫っていうのであれば全然それで大丈夫です。友達とかいなくても、病む様子もなく、ずっと淡々と作ってるだけの人もいましたから。
だけど、大学はいろんな人とつながりができたほうが(個人的には)おもしろいと思います。芸大って、自分以外の学生と仲良くなって刺激を受け合うってのがそこに在籍しているメリットだったりもしますからね。
特に自分以外の科の友達ができると、全然違う考え方だったりするのですごく楽しいです。
僕、大学時代はバドミントン部だったのですが、部活をやっていると他の科の人との交流がけっこう増えます。やっぱり油絵科の人は変でおもしろかったかな。料理が私の作品なのとか言って料理ばっかりしている人とか、在学中にダーツのプロの資格を取ってダーツっぽい作品作ってた人とか、バド部じゃないけど柿ピーの配置のこだわりがすごい作品を作ってた油絵科の友達もできました。
工芸科って技術偏重主義みたいなところがあるので、そういう知り合いが増えたのはすごく良かったですね。勉強になったし、いろんなへんな人たちと出会えて楽しかった!
で、ある時、彫刻科の後輩(バドミントンめっちゃうまい!)がバド部に入ってくるのですが、彼、それまでは大学が本当につまらなくて退学も考えていたとのことでした。彼は病んでましたね。確実に。
だけど、部活を始めてからはやっと大学が楽しくなったのだそうです。今はもうとっくに卒業しているはずですが・・・元気にしているかなあ。
やっぱり、芸術家も人間ですから孤立すると病むんですよ。山ごもりして1人で何十年も彫刻作ってても問題なさそうな仙人気質な人もいるっちゃいるけど、それは変態だらけの芸大でも少数派だと思います。
てなわけで、自分が所属する科や同級生に馴染めなくて友達ができない感じだと感じたら、部活やサークルに入るのもおすすめです。
学校の方針に合わせる
作品を本気で作っている人ほど、作品制作にはどこまででも自分なりにこだわってこだわってこだわり抜いて制作にあたるのが普通です。そして自分のやりたい方向性で自分の道を突き進むのが病まない方法であると先程書きました。
しかし、所属している環境によってはそれを許してくれない場合があります。そんなときに自分の考えをゴリ押ししすぎると病むことがあります。
というのも芸術系大学と言えども大学というのは、あくまで「学校」だと言うことなんですよね。
美術学部にはデザイン科とか油絵科とか日本画科等いろんな 「科」があって、その科の中はさらに細分化されていて「専攻」に分かれています。
例えば、僕の在籍していた工芸科は6つの専攻に分かれていて、僕が在籍していたのは6つの専攻の中の1つの「彫金」でした。この文章を読んでいる懸命な方であれば「彫金だったら金属でなんか作るところなんでしょ?」と考えるでしょう。それで正解です。
でも、学生の中にはそうでない人が必ずいて、全然別の素材で作品を作ろうとする人がいたりするのです。そうなったら大変ですよ。学校側としては、やはり彫金だったら彫金の作品を作ってくれなくちゃ点数をつけるわけにはいかないわけです。
もっとわかりやすく言うのであれば、例えばフランス料理の学校であったとして、そこで学生が和食を作って「これが私のフレンチだ!認めてください!」って言ってるようなもんで、冷静に考えればめちゃくちゃな話です。学校側の采配次第では認められる可能性もあるけど、普通にトラブルも何もなく卒業したいのであれば、素直にフランス料理を作るべきなんですよ。
これ、今回は彫金を引き合いに出したけど、実際のところ他の科の他の専攻でもけっこうあるっぽいです。全然別のことをやろうとして卒業制作を卒展に出させてもらえなかったという話は何度か聞いたことがあります。
そう言えば、ちょっと知ってる日本画の先輩で、日本画なのに木工作品ばかり作っている人がいました。やはりその人も卒業制作を卒展に出させてもらえなくて留年してたんじゃなかったかな・・工芸の金属系なのに普通に紙に絵を描いてた人もいるし、定期的に必ずそういう不器用な人は現れるのです。芸大。
科や専攻の専門と違うことをやって必ず認められないとは限りません。油絵科の人は油絵を描いてない人も多いですし、卒展見てるとインスタレーション作品も多いですから、自由な感じっぽいです。研究室の方針によるのかな?
逆に、工芸や日本画のように伝統的な技法が重要視されている科だと、あんまり変なことをやると教授とぶつかってしまって大変なことになるケースがあったりするというわけです。(これが東京芸大の固いところだったりするんですよねえ・・・)
僕の仲の良かった同級生もそれが原因で教授と揉めて鬱になって休学したりしていました。
まあ、「病まないために」という意味で言えることは変に科の方針に合わない方向にはいかないようにするようにするってことですね。正攻法でちゃんとやっていれば、基本的には卒業できるし、本当にやりたいことが別にあるのであれば卒業してから自由にやっていけば良いのです。
ここで難しいのが、そういう人って方向性が合わないからって諦めることができないってことなんですよね。何しろ本人は他人からは想像できないくらいに本気です。したがって、科の方針に沿わないとかそういうのは関係無しで、自分のやりたいことは絶対にやめられないのです。もうね、理屈じゃないんですよ。
僕もそういうところがなかったわけじゃないので、ちょっと気持ちは分かるんですよねえ。
それに作家としての将来性を考えると、先生の言うことを聞いて素直に単位が取れる作品を作るってのもなんか違う気がするし・・・正直な所、その病んじゃった友達にどのように言ってあげるのが正解だったのか未だによくわかりません。(その彼は最終的には無事に卒業&修了できましたけどね。)
ちゃんと寝る
当たり前の話ですが、ちゃんと寝ましょう。
作品制作に夢中になっているとけっこう寝食を忘れてしまうことがあります。展示の直前なんかは追い込みで「やべ〜俺、昨晩1時間しか寝てないわ〜」なんて感じで寝てない自慢をする人が多くなります。特に、卒表制作の制作期間などは、締め切りに間に合わせるために頑張らなくちゃならないのであまり寝れません。
それに、東京芸大に行く人ってお金がない人も多いです。だから、学校終わったら毎日めちゃくちゃバイトしてる人もいます。そういう人は忙しすぎて必然的に睡眠時間が少なくなります。
僕も少し睡眠時間が少ない時期があったのですが、その時はものすごく怒りっぽくなりました。もうね、学校で制作してて話しかけられるだけでキレそうになっちゃうくらい、わけわかんない感じになります。怖いよね。
やっぱり人間、睡眠が足りないと精神が不安定になるんですよ。睡眠不足が続くと体の疲れもとれないし、やっぱり病んでしまう原因の1つになるんじゃないかな。
と言うか、「展示の直前は寝れないのが当たり前!」みたいな空気が芸大にはあるんですよね。だから、グループ展とかやると一緒に搬入のときに「昨日寝た?」「いや〜5時までは頑張ったけど、あきらめて寝たw」みたいなやり取りが必ずあるので、一周回ってちょっと楽しいです。
作品を作っているその瞬間は脳内物質のおかげか眠くないし、特に問題ありません。だけど、病まないようにするためにはしっかりと睡眠時間を確保することがやっぱり大事なんじゃないかな・・・慢性的に睡眠不足になったりすると良いアイデアも浮かんでこないしね。ある時期は寝ないで頑張る時期もあっても良いと思うけど、ちゃんと寝るのは本当に大事!
と言っても、どうしても物理的に時間が足りなくて睡眠時間は足りなくなるかと思います。なので、仕事と同じで制作時の作業の効率化を徹底するとか、スケジュール管理をしっかりするとか、無駄なことをする時間を極力減らすとかして出来る限り睡眠時間を確保するようにした方が病みにくいと思います。
休学制度を利用する
ここまでに書いたことを仮に入学前にわかっていたとしても、病むときは病みます。芸大生も人間なので、病みにくい人もいれば、それだけ病みやすい人もいますので。
で、実際に本格的に病みそうだなと感じたら、休学するのも方法の1つだと思います。
一年ほど休学して、大学を離れて頭の中をいろいろと整理する時期もあっても良いのではないでしょうか。実際の所、知っている人だけでも(理由はそれぞれですが)休学して復帰して卒業していった人は何人かいます。
確か、東京芸大では休学をしている期間は学費がかからなかったんじゃないかな?どうせただで休学できるのであれば、利用するべきときに利用しないのは損です。(今現在、ルールが変わっていたらすいません。)
僕の奥さん、同じ研究室の先輩だったのですが、彼女も大学一年生のときに2浪もしてせっかく芸大に受かって入学できたのに「大学がつまらない」と感じたそうで一年間休学した経験があります。で、一年間の休学の間に何をしていたのかというと沖縄の西表島で一年間生活をしてきたのだそうです。そんで戻ってきて、二年生からは普通に大学に通って、その後はちゃんと卒業&修了することができました。
芸大を突然休学して南の島に行っちゃうなんて何考えてんの!?って感じかもしれないけど、それが彼女にとっては必要なことだったんですよ。作品のモチーフとして西表島の植物を使ったりしてたし、(良い意味で)西表島の影響を受けることができたってことです。実際に経験して感動したことを題材にした作品はやっぱり良いよね。
実際に通っていると、大学生はたった4年しかないんだぞ!って感じで休学するのってすごく抵抗があると思います。厳しい受験生活を過ごして高倍率の入試を乗り越えてきたわけですから、なおさら「サボる」ことが怖かったり罪悪感のようなものを感じてしまう人も中にはいるかと思います。
でも、別に一年くらい休学したってその後の長い人生を考えるとどうってことないんですよ。誤差です。だから、本当に芸大の学生生活が苦痛に感じるのであれば、思い切って一年くらい休学しちゃうってのは個人的には全然ありです。いきなり芸大辞めちゃったり、病気になって体調崩すよりはずっと良いですからね。
リフレッシュして戻ってくれば、今までは見えなかった何か新しいものが見えてくるかもしれません。
まとめ
まだまだいろいろと書きたいことはありますが、長くなってきたのでこの辺で終わりにしておきます。
正直言って、東京芸大で学生生活を送っていく中でいつの間にかフェードアウトしてしまう人ってけっこういるんですよ。まあ元も子もない話だけど、もっとぶっちゃけて言うと、病む人はどんなに気をつけていても病みます。だから、ここに長ったらしく書いたことは気休めに過ぎないかもしれません。
・・・同級生で大学院で一緒に修了できるかと思ったら、途中で「就職したいから」と言う理由で学校やめちゃった人がいたんですけど、あれもやはり病んでたんだと思います。冷静に考えてみれば、あと一年頑張って修了制作作って「大学院修了」という肩書きをもらってから就職すれば良いだけじゃないですか?だけど、それができないってのはやっぱりどっかおかしかったんだろうなあと思うわけです。
その同級生、学部生の前半は技術的にもかなりすごくて成績優秀だったと思ったんですけど、途中から作品も急にパッとしない感じになってました。作品ってやっぱその人の精神状態が出るってことなんでしょうね。今になって思えば、あまり他の人といるところも見なかったし孤立もしていたのかもしれません。
別に芸大美大に通っている学生に限った話じゃないけど、なにか悩みがあるのであれば誰かに相談したりするのは大事なことだと思います。思い切って休学したりして気晴らししてもいいし、それでも調子が出なかったら心療内科やカウンセリングを受けに行って相談するのも良いでしょう。
基本的には、芸大に入ったら周囲を気にせずに自分のやりたいことをやりたいようにやっていくのがベストだとは思います。それが基本で、それができないと病む可能性が高いです。
だけど、それだけだと別のところでぶつかって病むかもしれないというのが芸術系大学に在籍して制作活動をしていくことの難しさなのではないかと感じることが多くありました。芸大に受かる人は我が強くて不器用な人が多いので、学年に何人かは必ずそういう人がいます。
とまあ、まとめるとそんな感じです。
こうしていろいろ書いちゃうと、芸大って実はやばい場所?みたいに思ってしまうかもしれないけど合う人には楽しい環境ですよ。僕もいろいろ大変なことはあったけど、ずっと制作s楽しい学生生活を送った方だと思っております。
4月から芸大に入学する新入生の方、無理しない程度に頑張ってくださいね。