何ヶ月か前のことなんだけど、うちの奥さんからもう使わなくなった「iPad2」をもらいました。ロジクールのワイヤレスキーボード付きです。溝の部分にiPadを置いて立たせることができるタイプです。
iPad2と言うと、相当に昔のiPadです。おそらく5年位前?に買ったものです。だから、今となっては非常に動作が遅くて、一緒にもらったキーボードで文字を打とうとしても、文字が遅れて入力されるような感じで、全く使い物になりません。
しかし、dアニメとかで動画を鑑賞するくらいだったら、全く問題なく使えます。なので、このiPad2は自分の中では動画専用マシンとなっていて、毎日のように使っています。
ところが、一つだけ問題がありまして、このキーボードに立てて使うのはちょいとばかり使いにくい!ってことなんです。キーボード部分の出っ張りが邪魔なのよね・・・
なので、このiPadに合うケースなどがほしいなと思っていたのだけど、いかんせん昔のiPadなのでハードオフとかでも中々いい感じのものを見つけることができません。ネットだとあるんだけど、この古いiPadのためにあまり高いお金を出すのは嫌だなあと・・・
そこで、ないのならば作ってしまおう!と思い立ちまして、家に余っていた真鍮の板を使って作ることにしてみました。
<目次>
真鍮を使ってiPadスタンドをDIY
で、完成したのはこんな感じです。この記事ではこの真鍮製スタンドを作る工程を写真などと一緒に紹介していきます。
作ろうと思ったきっかけ
iPad2と一緒にもらったロジクールのキーボードは、iPadを立たせるためのスタンドの役目もできちゃうやつです。
Logicool ロジクール K480WH Bluetooth ワイヤレス キーボード マルチOS:Windows Mac iOS Android Chrome OS 対応
- 出版社/メーカー: ロジクール
- 発売日: 2014/09/12
- メディア: Personal Computers
- この商品を含むブログ (5件) を見る
古いやつだから全く同じのじゃないんだけどこういうやつね。
まあ、これはこれで良いものなんだけど、例えば我が家で料理をするときに使うときなんかは、けっこう不便なんですよ。
こんな感じで、キッチンの棚に置いて動画を流したりしてるんだけど、キーボードの部分が前にはみ出してしまうのです。お玉を取ろうとしたら手とかが当たってたまに落ちてしまいそうになるのです。
これだと、非常に使いにくいのでなんとかせねばとずっと思っていました。
ハードオフとかに行ったときには、100円とかでいい感じの古いiPad用のいい感じのケースとか売ってないかな〜と探すんだけど、なかなかいい感じのものを見つけることはできません。そこで、いい感じに使いやすくてシンプルで使いやすくてかっこいいiPadスタンドを作ってしまおう!と思いついたというわけです。
金属製のスタンド
余談になるのですが、世の中には金属製のiPadスタンドは存在していて売られています。iPadやMacの素材と同じ、アルミ製の物がほとんどですね。
- 出版社/メーカー: サンワダイレクト
- メディア: エレクトロニクス
- この商品を含むブログを見る
でも、今回製作する真鍮製のiPadスタンドは売られているのを見たことがありませんよね。なので、自作ならではの品物になるはずです。
実は僕、以前にもiPhoneのならば真鍮製のスタンドは作ったことがあります。
↑こんな感じで、クリップみたいに挟み込むタイプのものです。(ケースも自作です。)
今回製作するiPadスタンドは、このiPhoneスタンドの大きいサイズのものというわけですね。
大きさを決める
さて、前置きが長くなりましたがけど、場所を作業場に移動しまして、ちゃちゃっと製作してしまうことにします。
まずは、デザインというか、どうやってiPadを固定するか?というアイデアとデザインは考えてある状態なので、具体的に何ミリで作れば良いのか?ということを決めます。
コピー用紙を使って、実際にiPadにあてがってサイズをざっくりと決定します。
そんでスケッチブックに図を書きます。自分がわかっていれば良い!という気持ちで書いたので、ものすごく適当過ぎて恥ずかしいですけど、こんな感じです。
これを元に真鍮板を切ったり磨いたり曲げたりしていきます。
糸鋸で真鍮板を切る
家にちょうどいい感じのサイズの真鍮板があったので、これを材料にして作っていきます。真鍮板の厚みも1mmということで、ちょうど良いです。
真鍮板は糸鋸(いとのこ)という道具を使って切り出して材料とします。
基本的に糸鋸は「スリ板」と呼ばれる板の上で使います。この上に真鍮板を乗せて、スリ板の中央の隙間の部分に糸鋸の刃を入れてゴリゴリと切っていくというわけです。
糸鋸はその名の通り、糸のような刃で金属などを切断する道具なのだけど、ノコ刃にもいろんな番手(サイズ)のものがあります。
今回は、直線だけの単純な形のカットで1mm厚の真鍮板ということで0番のノコ刃を選択しました。
糸鋸はノコ刃をピンと張って、刃に蝋をつけながら左手でしっかり真鍮板を固定しながら切っていくと引っかからずに上手に使えます。
さて、早速切っていきたいところですが、けがき針を使って、先程書いた図を見ながら糸鋸で切る場所の印をつけます。けがき針で引っ掻いたところを目印にしながら切っていきます。
これで準備完了です。
スリ板の上に真鍮板を設置して、糸鋸でゴリゴリと切っていきます。
実は、真鍮の板が大きめなので、この糸鋸だと弓の部分が引っかかって2回に分けて切らなくてはならないから少し苦労しました。大きいタイプの糸鋸もあるので、そちらを使えばよかったかもです。
切れた。
さて、このままの状態だと角が尖っていて触ると痛い状態なので、角の部分をさらに糸鋸で丸く切り落とします。
きれいに切れました。
ヤスリがけ
糸鋸で切っただけの状態だと、バリが出ていて危険な状態です。なので、道具をいろいろと使ってエッジの部分を綺麗にしていきます。
真鍮板のエッジを磨くために使用する道具はこれらです。左から「ヤスリ」「キサゲ」「ヘラ」です。
まずはざっくりと削るために粗い目のヤスリを使って糸鋸で切ったギザギザしたところを削り落としていきます。
綺麗にできたら、次は細目のヤスリを使います。
角が尖っていると痛い感じになるので、細かいヤスリで軽くバリを取ります。
↑写真だとわかりにくいと思うけど、けっこう綺麗になりました。これでヤスリがけは終了です。
キサゲをかける
次はキサゲを使います。キサゲと言うのは、ヤスリがけした跡を削り取る道具ですね。彫金ではこんな感じで、ヤスリがけをして、その次に使う必須の道具なのでございます。
ちょっと丸まっている真鍮板の角の部分もヤスリの跡をキサゲで取ってしまいます。
ヘラがけ
キサゲの次は、ヘラです。
ヘラと言うのは、「超硬」というめちゃくちゃ硬い金属でできていて、鏡のように非常に綺麗に磨かれている棒みたいな道具です。
これをキサゲがけしたあとの金属にコリコリと強い力で押し付けるように擦ると、押し付けられた金属の方も綺麗にピカッとなるという道具です。また、ヘラを使うと金属が締まるので、その部分に傷がつきにくくなります。
超硬のヘラを、切り出した真鍮板の側面全体にかけたらOKです。
写真だとわかりにくいけど、ピカピカツルツルになりました。
ヘアライン加工
表面の部分はヘアライン加工にします。
ヘアライン加工と言っても、丁寧に紙やすりで一定方向にやするだけですけどね。
紙やすりは120番のものを使いました。適当な大きさの木っ端を紙やすりにあてがいながら両面削ります。
けっこう綺麗にできた気がする。
あとは曲げるだけです。
曲げる
曲げる前に定規で測りながら油性マジックで曲げる場所の印をつけます。油性マジックは完成後にエタノールで消します。
真鍮板を曲げるためにはこの「ベンダー」という道具を使用します。ベンダーというと、金属加工の工場とかに行くとめちゃくちゃ巨大なやつがあったりするんだけど、これは家庭用?のやつですね。簡易的なベンダーですが、家に1台あると何かと便利です。
ホーザン(HOZAN) メタルベンダー 板金折り曲げ機 K-130
- 出版社/メーカー: ホーザン(HOZAN)
- 発売日: 2012/03/09
- メディア: スポーツ用品
- この商品を含むブログを見る
さて、このベンダーを使ってどうやって真鍮板を曲げるのかと言うと・・・
まず、真鍮板をベンダーに挟み込むようにして固定します。(この時、小型のクランプがあると、この小型のベンダーでもわりとガッチリと固定できます。)
そして、手前の青い板を取っ手を持って持ち上げます。
すると、間に挟んだ板も一緒に曲がっているという寸法です。簡単です。
こんな感じで合計3箇所曲げます。
これで完成です。
後は、油性マジックで線を書いた所や、その他の汚れなどを綺麗に洗浄したら完成です。
完成
完成です。
写真を撮りながら作業して、ここまでで所要時間は約1時間半くらいでした。
↑逆側から見たところ。
なかなかそれっぽい雰囲気に仕上がった気がします。
これはこの真鍮製iPadスタンドを実際に装着してみたところです。けっこうシンプルな見た目でよろしいのではないかと思います。
↑逆側から見たところ。ガッチリと固定できています。金属製なので、机の上に置くと純正のiPadケースなどよりも安定感あります。
装着方法は簡単です。ぐいっと引っ張ってちょっとだけ広げて、クリップみたいにガションと挟み込めば装着完了です。
↑ちなみに逆側にすれば、浅い角度で立たせることもできます。(このiPadだとあまりやらないけど)ウェブページを閲覧するときなんかは、この角度の方がやりやすいでしょう。
この真鍮iPadスタンドは、表面の特別な処理は特に何もしてません。なので、時間の経過とともに表面が酸化して徐々に茶色く変色していくはずです。ですが、それはそれで真鍮という素材の味なので、良いということにしましょう。
使ってみての感想
出来上がってから数日間ほど使ってみたのですが、中々に使いやすいです。
かなりしっかりと挟み込むことができるので、↑こんな感じで持っても大丈夫です。
今までは、キーボードの部分とiPadが固定されていなかったので、持ち運ぶときちょっとばかり気をつけないといけなかったんですよ。でも、このスタンドを装着したiPadならば片手で気軽に持ち運べるようになりました。
キッチンの棚にもピッタリサイズで置けるようになりました。
これで、料理のときにアニメを見ていても、落としてしまう心配がなくなりました。スッキリしました。
まとめ
以上が真鍮製クリップ式iPadスタンドの作り方でした。
作るのはそんなに大変じゃなかったし、家にあった材料で作ることができたので実質タダでDIYできました。作ってよかったです。
やっぱり慣れてる素材だと楽だよね。
真鍮などの金属素材の加工は、道具や技術がないとハードル高いかもしれないけど、慣れるとわりと簡単にいろいろと作れます。DIYの幅が広がります。
売っていないけど必要なものは作るしかありません。だから作りました。
ちゃんと使えるものができて良かったです。